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 ライトHノベルの部屋  ライトHノベルの部屋  ライトHノベルの部屋
     ~ラブラブハーレムの世界へようこそ♪~


優といっしょ(3) 優といっしょ(3) 美姉妹といっしょ♡ 
 
「あれ? 優姉、晶姉達は何処かに出掛けたの?」

 仕事から帰宅し、玄関に置いてあった女物の靴が三組無くなっている事に気付いた宏は出迎えた優に尋ねる。
 近所のコンビニへでも行ったのだろうか?

「……それがね」

 優は宏の着替えを手伝いながら朝方の顛末を事細かに淡々と語って聞かせる。
 あくまで事実のみを伝え、自分の感情や主観は一切加えない。
 宏はそれが優の優れた点であり、信頼出来る点だと思っている。
 主観や感情が入ると、どうしても話が大きく大袈裟になって事実と推論が綯(な)い交ぜになるからだ。

「なるほど、それでみんな帰ったのか。そりゃ、仕事を放って来た千恵姉と若姉が悪いわな~」

 話を聞き終えた宏は優が差し出してくれた座布団に座りながら苦笑し、肩を竦める。

「晶姉、かなり怒ってたんじゃない? 仕事にはシビアな女性(ひと)だから」

 宏は晶が般若みたいな顔をして叱り飛ばし、千恵と若菜が小さく畏(かしこ)まっている様(さま)を想像する。
 優は宏の想像している通りだと大きく頷く。

「……それでも千恵さんは反省して快く帰郷を承諾したんだけど……」

 最後まで言う事無く、優の言葉が尻つぼみになる。
 宏が判っているよとばかりに言葉を受ける。

「若姉がゴネた? 帰りたくない、とか?」

「……ううん、そうじゃ無いんだけど……つまり、その……」

 優にしては珍しくハッキリしない言い回しに宏は首を傾げると、目元を赤く染めた優が上目遣いに見つめて来る。

「……あのね、ボクがずるい、って」

「ずるい? ずるい、って何が?」

 宏は更に首を傾げる。

「……つまり、みんな帰るのにボクだけここに残ってヒロクンと二人っきりになるのがずるい、って」

 優は自分で言ってしまった事が恥しく、首から上が真っ赤になってしまう。
 宏は若菜らしいジェラシーに思わず笑ってしまう。
と同時に今夜から優と二人っきりになるというシチュエーションに今更ながら気付き、照れくさくなる。
 これまで誰かと二人っきりになった事など無く、いつもいずれかの姉妹二人と一緒にいるのが当り前になっていたからだ。
 宏は照れくささをほぐす意味も込めて少し強引に話題を変える。

「そっか、それじゃ今週末にはみんな戻って来るんだね?」

 宏は人数が減って広く見える部屋を見渡しながら優に確かめる。

「……うん、順調にいけば。準備の出来た人から戻って来るから、それまでに新しい部屋を決めておいた方がいいと思う」

 すっかり元の顔色に戻った優の言葉に頷きながら、宏は明日から休みが取れたと告げる。

「それじゃ、夕御飯作るね。優姉はTVでも見てて」

 宏はいつもの様に風呂を沸し始め、米を研ぎ始める。
 優は宏の後姿を眺めながら唇を噛み締め、家事の出来ない自分をこれまで以上に呪った。


     ☆     ☆     ☆


「はあぁ~~~ 極楽、極楽♪」

 じじむさい事を言いつつも、全身の力を抜いて湯船に深々と浸かる。
 一日の汗と埃を流す風呂は宏にとって一番リラックス出来る場所であり、時間でもある。
 今日一日のストレスや嫌な事がお湯の中に溶けてゆくのが実感出来るのだ。
 鼻の下までお湯に浸かって蕩けていると、扉の向こう側から優が声を掛けて来た。

「……ヒロクン、バスタオルここに置いておくね」

「あっ、ありがとう」

 宏は優の声に一瞬ビクッ、としてしまい、声が裏返ってしまった。
 背中流すね、と言って全裸の優が入って来るかと思ったのだ。

(ライトHノベルの読み過ぎだな)

 邪な妄想に宏は苦笑いを浮べ、さすがに結ばれた昨日今日でそこまでは無いだろうと思い直す。

(……でも、優姉のハダカ、綺麗だったな♪)

 シャギーにしたショートヘアが良く似合い、水晶の様に澄んだ瞳にクールだけど優しい微笑を浮べている優。
 月の女神の様にシミひとつ無い白い肌にスベスベの肌触り。
 スレンダーなボディーにキュッとくびれた腰、丸く大きく突き出した柔らかいお尻にスラリと長い足。
 掌に丁度収まり、弾力のある二つのお椀形の丘にピンと突き出たピンク色の乳首。
 無毛の恥丘の下には肉付きの良い割れ目が深々と続き、そこから覗く皺が少なく濃い朱色をした綺麗な秘唇。
 勃起するとマッチの頭ほどの大きさになるクリトリスにペニスを柔らかく包み込む柔壷……。
 優の裸を思い浮かべた事で下半身に血液が急速に集まり出す。

(おいおい、おぬしも元気よのぉ~)

 優との交わりを完全に思い出し、怒髪天を衝く状態になったペニスを見下ろして宏は呆れ返る。
 昨夜は七発も射精したのに、もう完全復活(?)している己のペニスが節操無しに思えてしまう。

(今夜も……するのかな?)

 優と二人っきりの夜に、宏はどうしたものかと考える。
 迫れば優の事だから拒まないだろうが、迫らずに何もしないと優に魅力が無いからだと逆に思われそうだ。

(こんな時、新婚家庭はどうすんだろ? そっか、イエス・ノー枕か! って、そんなモン無いわっ!)

 独身一人暮らしで嫌でも身に付く「ひとりボケツッコみ」に思わず頭を抱えても、股間は蜜壷の柔らかさや温もりを求めていきり勃っている。

(……ま、いいや。なるようになるだろう)

 宏は考えるだけ無駄、とばかりに考える事を止め、勃起状態のまま浴槽から立ち上がったその瞬間。

「……ヒロクン、背中流すね♥」

 頬を赤く染めた優が扉を開けて静々と浴室に入って来た。
 昨夜初めて交わり、ついさっきまで思い浮かべていた女性(ひと)が一糸纏わぬ姿で。
 宏は余りにお約束の展開に頭の中が真っ白になってそのまま固まってしまう。

「……あっ、んふっ♪ ヒロクン、元気♥」

 優の視線が宏の股間にピタリと固定され、熱い吐息を洩らす。

「……ヒロクン、もうそんなにして……。寝る時まで待てなかったの? ふふっ♪ いいわ。ボクに任せて♥」

 優は瞳を妖しく潤ませ、湯船に入ると固まっている宏の正面にしゃがみ込む。
 目の前には青筋を立てて反り返っているペニスが刺激を求めてピクピク震えている。

「……すごい♪ こんなに大きなものが……ボクの膣内(なか)に挿って来たんだね」

 優が人差し指で裏筋を下から上に向かってなぞり始めた所で、ようやく宏のフリーズが解ける。

「ああっ、ゆ、優姉っ! な、何をっ、はうっ!」

 優の指先が亀頭の裏の裏筋が集まっている所を擦り上げ、そのまま鈴口を突(つつ)いて来る。
 ペニスからの快感に宏は身体をブルッと震わせ、浴槽の中で思わず腰を突き出して仁王立ちになる。
 先走りの液が指と亀頭の間に銀色に輝く細い架け橋になって伸びている。

「……ふふっ♪ ヒロクン、もう溢れて来た♥ 昨日、あんなに射精(だ)したのに……すっかり元通り♪」

 優は嬉しそうに目を細め、首を左右に傾けて愛しい男のペニスをまじまじと眺める。
 この逞しい物が自分の処女膜を破ったのかと思うと、知らず知らずのうちに秘裂に露が滴ってくる。
 優は無意識に熱くて硬い茎にそっと右手を絡める。

「あぅ! ゆ、優姉っ、優姉っ!」

 宏のペニスは優からの刺激を受けて更に大きく弓なりに反り返り、カリ首も大きく開いてくる。
 茎に力が篭り、幾筋にも分かれた青黒い血管がプックリと浮かび上がっている。

「……ヒロクン、ボクが気持ち好くさせてあげるね♥」

 優は宏の顔を見上げると艶っぽく微笑み、茎を水平にすると大きく口を開いた。


                                                    (つづく)

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優といっしょ(4) 優といっしょ(4) 美姉妹といっしょ♡ 
 
「……ヒロクン。ボク、我慢出来なくなっちゃった。お願い、ヒロクンの逞しいおちんちん、ボクのおまんこに挿れてぇ~♥」

 宏の特濃ザーメンを美味しそうに呑み干した後、優が目元を赤く染め、上目遣いになっておねだりして来た。
 優はペニスをしゃぶりながら自ら秘唇を弄り、秘裂をお湯とは違うヌル付く液体で溢れ返させていたのだ。

「……ヒロクン、まだまだ元気♪ 嬉しい♥」

 優は両手を宏の腰に回し、尻たぶを撫ぜながら尻の割れ目に指を這わせて菊座を突(つつ)く。
 そして目の前の熱く硬い肉棒に頬ずりし、舌先で裏筋を舐め上げる。
 宏のペニスは一回射精(だ)しただけでは飽き足らず、優の愛情たっぷりの御奉仕と相まって大きく弓なりに反り返っている。

「はうっ! ゆ、優姉……、何だかキャラが変わってない?」

 下半身から這い上がる猛烈な快感に負けそうになりながらも、優の変わり様に首を傾げる。
 時折自分に対して甘えて来る優とは違い、何か必死な雰囲気を持っているのだ。

「……らって、ホクにはこれひか、れきないから」

 ペニスを口一杯に頬張りながら喋るので、何を言っているのか判らない。
 宏は優の頬に手を当て、ゆっくりと腰を引いてペニスを口から引き抜く。
 優は行かせてなるものかと唇で強く竿を挟み、強烈な吸引を仕掛けて来るがスポンッ、と小気味良い音と共に口から離れてしまう。

「……だって、ボクにはこれしか出来ないから。家事が出来ないボクにはヒロクンを悦ばせる事位しか出来ない」

 優は左手で玉袋を揉みしだき、右手で竿を扱きながら瞳を潤ませて見上げて来る。
 宏は優の心の内に秘められた知られざる一面を初めて知り、何とも言えない思いに囚われる。

「優姉、それは違うよ。俺は優姉が傍に居てくれるだけで幸せなんだ。優姉が居てくれるから嬉しいんだ。だからそんな風に自分を卑下しないで」

 宏は浴槽の中で目線を優の高さに合わせてしゃがみ込み、軽く唇にキスをする。
 宏がしゃがんだ事でお湯が浴槽から勢い良く溢れ出す。

「家事が出来なくても優姉は優姉だよ♪ 出来ないなら、これから少しづつ覚えていけばいい事だしね♪」

 そう言うときつく抱き締め、背中に回した手で優の後頭部と背中を優しく撫でてあげる。
 優の瞳からは涙が止め処も無く溢れ、宏の頬を濡らしてゆく。
 宏は涙を啜りながら右手を優の胸に伸ばし、頂上で硬く尖っている蕾を指の股に挟んで弾力のある丘をゆっくりと揉みしだく。

「だから優姉。何も気にしなくてもいいよ。家事が出来ようが出来まいが、俺の好きな優姉には変わり無いからさ♪」

 優は己の心の弱い部分、引け目に感じていた部分が嬉し涙と共に流れてゆくのを感じた。

「……ヒロクン、ありがとう。ボク、ヒロクンと従姉で良かった。ヒロクンを好きになって良かった。ヒロクンと結ばれてボクは本当に幸せだよ♪」

 泣き笑いの表情のまま優は腰を浮かせ、浴槽の中で正座している宏の上に跨る。
 右手でそそり勃っている肉棒を掴み、昨日開通した膣口に宛がうと二度、三度と亀頭と秘裂を擦り合わせてからゆっくりと腰を落として宏を呑み込んでゆく。

「ああっ! ……挿って来るっ、ヒロクンが挿って来るぅ~♥」

 狭い肉壷に大きな熱い鉄棒が掻き分けながら奥へ奥へと潜り込んで来る感触に優は歓喜の声を上げる。
 処女を失ってから最初の交歓だが、痛みは全く感じない。
 むしろ宏を歓迎するかの様に柔襞が蠢き、ペニスを万遍無く包み込む。

「ああっ! 優姉に呑まれるっ! 膣内(なか)が熱くて、ヌルヌルしてて……凄く気持ち好いっ♪ そ、それに……亀頭に張り付いて来るっ!」

 宏はペニスから伝わる感触に腰を大きく震わせると左手で優を強く抱き締め、右手はバストを優しく揉みしだき続ける。
 それと同時に、跨った優を下から突き上げる様に腰を動かし、優の温かい柔襞の感触を存分に味わう。
 浴槽の湯が二人の動きに合わせて激しく波打ち、どんどん浴槽から零れ落ちてゆく。

「ああんっ、ヒロクン、ヒロクンッ! 好きっ、好きっ! 大好きぃ~♥」

 優は宏の腰に両足を絡ませ、両手は首に回して股間を前後に擦り付けながら強くしがみ付く。
 いつしか優の頬に流れる嬉し涙が歓喜の涙に替った事を二人は気付かない。
 しかし合体したは良いが狭い浴槽の中なのでお互い思う様に抽送出来ないのがもどかしく、代わりに貪る様なディープキスを交わす。
 上と下の口で繋がりながら宏の手は優の胸をまさぐり、優の手は宏の頭を掻き毟(むし)る。

「優姉っ! 好きだよっ! 愛してるっ!!」

 宏は優の背中に回していた手を下ろし、吸い付くような肌触りの尻を撫で付けながら菊座を擦り、圧迫する。
 優は膣と菊座からの刺激に背中を仰け反らせ、一際高い喘ぎ声を上げる。

「はあんっ、らめっ、そ、そこ弄っちゃイヤ~~!!」

 呂律の廻らなくなった優が涎を垂らしながら首を左右に振り、ペニスを咥え込んだ膣が無意識にギュッ、と締まる。

「ああっ! 締まるっ! ゆ、優姉っ、そ、そんなに締めないでっ! い、イッちゃうっ!」

 宏はまるで手で握られているかの様なヴァギナの締め付けに、早くもギブアップ宣言してしまう。
 膣に挿入してまだ三分も経ってないが、昨日童貞を失ったばかりの男にこらえ性がある訳無いのだ。

「い、イってっ! いつでも、好きな時にイってっ! 膣内(なか)に頂戴っ! 膣内(なか)にくれなきゃイヤァ!」

 優は愛する男性(ひと)の精液を子宮に浴びるべく、より一層強くしがみ付き、腰を密着させる。
 すると優のズル剥けになったクリトリスが宏の陰毛で擦られ、優の喘ぎが一段と激しく大きくなる。

「ああっ、い、イクッ! ボクもイッちゃうぅぅぅ~~!!」

 優は全身性感帯になったかの様な感覚に陥り、宏と触れている所全てから快感の波をビリビリと受ける。
 やがて自分の息遣いが宏の息遣いとシンクロし、同時に果て様としていた。


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新居(1) 新居(1) 美姉妹といっしょ♡ 
 
 宏と優の誰にも邪魔されない、アパートでの二人っきりの蜜月生活は三日間続いた。
 宏は絶倫ともいえる精力で優の膣内(なか)に何度も何度もたっぷりと精液を注ぎ込み、優も宏に抱かれる心地良さに酔いしれ、熱いザーメンを子宮口に、口にと大量に浴びた。
 時には優が主導権を握り、蜜壷で貪る様にペニスを扱き上げて思う存分濃厚な精を吸い上げ、宏もまた優の求めに応じて何回でも新鮮なスペルマを噴き上げた。
 交わる毎(ごと)に宏の早漏癖は改善し、三分から五分、八分から十数分と持ち堪えられる様になり、また優もクリトリスからのオルガスムスだけでは無く、膣からのオルガスムスも得られる様になった。
 結果、宏は一度挿入すると抜かずの三発は当り前になり、優も潮を吹きながらアクメを迎え、白目を剥いて失神する事も多くなった。
 二人は繋がったまま眠りに落ち、目が覚めると再び交わって宏は白濁液を迸らせ、優も悦んで宏の新鮮な体液を受け入れた。
 部屋は勿論、風呂場、台所、果てはトイレの中と時、場所を選ばすに二人は交わり、歓喜の声を奏でたのだった。


         ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「へぇ~♪ なかなか面構(つらがま)えの好い家じゃない。気に入ったわ♪」

 晶はひと抱えもあろう太さの古木で出来た門柱の間を抜け、中庭から家全体を見渡しながら会心の笑みを浮べる。
 そよ風になびくソフトウェーブのロングヘアーをそのままに、片手に白いハンドバッグを持った晶は胸元が大きく開いたノースリーブ(膝下丈)の純白のワンピースを身に纏い、黒のチョーカーと白のカチューシャをアクセントにした清楚な装いをしていて、まるで深窓の御令嬢の様だ。

「それに、広い中庭が付いているのが好いわね♪ ……ん? あれは……梅の木かしら。随分と風流なのね♪」

 中庭の隅に植わっている梅の巨木を見て、晶は嬉しそうに目を細める。
 晶は梅、桃、桜といった春の花が大好きなのだ。
 晶から少し離れた所では晴れて自由の身になった若菜と千恵が手を取り合い、家を見上げて歓声を上げている。
 若菜は漆黒のストレートロングヘアの先端を紫色のリボンで縛り、アイボリーホワイト色の長袖のブラウスに黒のフレアスカートを着こなした姿で、黙っていれば旧家の御息女の様だ。

「すごいわ~♪ コンクリートジャングルの大都会東京にも、緑豊かでこ~んな大きな一軒家ってあったのね~♪ 意外だわ~」

 若菜がはしゃぎながら宏を見下ろす様に話し掛けて来ると、宏は首を上に向けてそれに応える。
 若菜は身長が百七十五センチあり、高めのヒールを履くと軽く百八十センチを超えてしまい、百六十九センチの宏と話すとどうしてもそうなってしまう。

「宏ちゃん、ここって実はド田舎~?」

 若菜の微妙(?)な思い違いの台詞に晶がクスリと笑い、宏に顔を向ける。

「随分としっかりとした造りね。実家よりも立派だわ。元は武家屋敷だったんだっけ?」

 晶は先日、宏と電話で話した内容を思い出しながら尋ねる。
 宏は晶の右隣に並び、家に視線を向けたままこの家の成り立ちを話す。

「ん~、ちょっと違うんだ。元々は武家屋敷を真似て造った商人宿だったんだって。それを大家さんの爺様が若い時に別荘として譲り受けて住宅用に改装したんだって。だからこの家は昔ながらの一間半間(181.8cm×90.9cm)サイズを基に造られているんだって」

「よくそんな立派な家をヒロが借りられたわね。どんな手段を使ったの?」

 晶は宏を見つめたまま、好奇心丸出しの大きな瞳で訊ねて来る。
 千恵と若菜も、宏の言葉をワクワクしながら待っている。
 宏は顔を左に向け、水晶の様に透き通った瞳に答える。
 晶と宏の身長はほぼ同じなので、首を上下に振らずに済む。(それでも宏が一センチ低い)

「引越し先を考えていた時、この家の存在を思い出したんだ。大家さんから広い空き家があるって聞かされてたから。んで、ダメもとで結婚するからここを借りられないか? って聞いたら、ずっと空いてる位なら、って快く貸してくれたんだ。家賃もアパートと同額でいいって。結婚の御祝儀価格だってさ♪」

 宏は軽く笑い、晶にサムズアップ~握り拳の親指を立てたポーズ~する。
 が、直ぐに晶に向かって頭を下げる。

「ごめん、晶姉。せっかく他に住む所を紹介してくれたのに反故にしちゃって。本当にごめん」

「ヒロ、その事はもういい、って散々電話で言ったでしょ? あたしは気にしてないわ。逆にあたしからお礼を言いたい位だわ。あたしが幾つか候補に挙(あ)げたマンションよりも何倍も広いし住み心地も良さげだし、しかも周りの環境も自然に恵まれて抜群に好いんですもの♪ ヒロ、ありがとう♥」

 晶は自分が東京支店に転勤する(栄転だったりする)事を条件に、会社のコネ(会長や社長の事だ)を利用して空いている家族用社員住宅の幾つかを新居用として宏に示していたのだ。

「でも、それだと社宅を借りないって事になって転勤の話も流れて……」

「大丈夫♪ 社宅を止めて旦那の家に住む、って言ってあるから♥ 結婚と転勤を同時にこなした形にしたから何の心配もいらないわ♪」

 晶は自分の唇に当てた人差し指を宏の唇に宛がって言葉を遮る。
 宏は晶の転勤話が流れた事で、晶の仕事に支障が生じたのではないかと心痛めていたのだ。

「でも、直接謝りたかったんだ。電話では無く」

「ヒロ……。ったく、いつの間に男らしくなっちゃって♪ 感激したぞ♥」

 晶は瞳を潤ませ、宏の頭をわしわしと掻き毟る。
 宏はくすぐったそうに目を細め、首を縮めながら晶の手の温もりを味わう。

「……この家を借りられたのも、家賃も安く済んだのも、みんなヒロクンの人徳の為せる技♥」

 宏の右の袖口を摘まみ、半歩下がって佇んでいた優がチラッと上目遣いになって微笑んでくれる。
 優は宏よりも四センチ身長が低い。
 ショートヘアをシャギーにした優は年季の入ったジーンズを穿き、オレンジ色のトレーナーに白いパーカーを羽織った姿で、ともすると線の細い美少年にも見えなくは無い。
 しかし細いウェストラインにトレーナーの中から押し上げる柔らかそうな二つの膨らみが魅力的な女性である事を示している。

「家の裏側は松林と竹林になってるんだ」

 晶の熱い視線と優の褒め言葉に照れながら、宏は家の裏手を指し示す。
 そこには幅二百メートル以上はあるだろうか、天然の松林が五十メートル幅に亘って植林された竹林を挟んで垣根の向う側でうっそうと茂っている。

「裏側って言うと北側ね。背の高い松林と竹林で自然の防風林って事ね。さすが先人の知恵って所かしら。……ん!?」

 晶はふと何か考え込む仕草をし、家の裏側で生い茂る松林と竹林に目をやり、続いて中庭に視線を走らせると大きく頷いた。

「なるほどね~♪ 洒落(しゃれ)も効いてるわね、この家(うち)♪」

「判った? さすが晶姉だね♪」

 晶はここに到着以来、面白くて仕方が無いといった表情で頬が緩みっぱなしになっている。
 晶と宏が見つめ合いながら笑っていると、若菜が首を盛んに捻りながら話に加わる。

「ねえねえ~、この家に洒落なんてあるの~? ここで落語家さんに座布団配りでもやってるの~?? それとも何処かに隠し部屋があるとか~???」

 若菜が必死になって頭を回転させている隣で千恵が周囲を見渡し、すぐに判ったとばかり破顔し、頷く。

「千恵姉も判ったみたいだね♪」

 若菜以外の全員が先人の趣の深さに感じ入っていると、頭から煙を噴いた若菜が地団駄を踏みながら白旗を掲げる。

「何なのよ~。全然判んない~~!」

 そんな若菜にみんなの笑い声が辺りに響く中、宏はこの家の粋な造りを教えてあげる。

「若姉、家の裏には昔からの松林と新たに植えた竹林。そして中庭に梅の木だよ♪」

「松林と竹林と梅の木~? それが何~?? 筍と梅干でも埋まっているの~? もったいぶらないで早く教えてよ~」

 駄々をこね始めた若菜に千恵が呆れ返った様に頭を抱え、日本海溝よりも深い溜息を付く。

「こ、ここまでおバカだとは思わなかったわ……。あんたと双子である事を辞めたくなったわ」

 千恵のげんなりとした呟きに晶も優も、そして宏も腹を抱えて笑ってしまう。

「松と竹と梅で松竹梅だよ、若姉♪ この家(うち)、松竹梅が揃っているんだ♪」

 宏の台詞にみんなと一緒に若菜も大きく頷き、そしてのたまった。

「そっか、しょうちくばい、かぁ~。……で、しょうちくばい、って、何~?」

 家の上を鴉が『カ~』と鳴いて通り過ぎる。
 門の中では、若菜以外の四人の人間が五分間は凍っていた、とは近所のオバサンから後に聞いたのだった。

「宏、家の中はどうなっているの?」

 頭を大きく振って気を取り直した千恵は若菜を無視し、にこやかに聞いて来る。
 若菜を押し退けて(余りの情けなさに若菜の存在を消した様だ)千恵が宏の傍に寄ると、優は手を放して一歩下がる。
 千恵はやや紫がかった黒髪を白いリボンで高い位置に縛ったロングポニーテールという、いつものヘアスタイルに黒のTシャツに黒の革ジャンを着込み、下はジーンズ穿きのラフで行動的なスタイルをしている。

「中は十畳の和室が五つと同じ広さの洋室がひとつ、二十畳近い広さの食堂兼リビング、トイレが二ヶ所に十二畳位の大きな風呂場があるよ」

 宏の話を聴くうちに、晶と若菜は見た目以上に広い家へ住める事で歓喜の声を上げる。
 千恵は宏の話を聞き、新たな愛の巣を感慨深げに見上げていたが何かに気付いた様に振り向いた。

「それだけ広いと掃除が大変でしょ? まだ手付かずの所があれば手伝うわよ?」

 千恵が宏の右腕を取り、顔を下から覗き込んで来る。
 なにせ千恵の身長は百五十センチなので隣り合って話しているとどうしても千恵は上を向き、宏は下を向く格好になってしまう。
 宏は千恵の嬉しい申し出に心が温かくなる。

「ありがとう、千恵姉♪ ひと通り全部の部屋は掃除してあるから大丈夫。すぐに使えるよ♪」

 宏がウィンクして答えると、千恵は目元を赤く染めて宏の腕を胸に抱き締めて来た。

「でもホント、掃除が大変だったよ。優姉と一緒に掃除しまくっても丸々二日掛かったよ。空き家だった期間が長かったから家中埃だらけだったもん」

 宏は笑いながら優を見、優も黙ったまま頷くと聞きつけた晶が首をぐるりんと回して驚きの声を上げる。

「優が!? この娘(こ)、家事一切出来ないのよ!?」

 晶は信じられないとばかり声のトーンが上がる。
 そして優に向き直ってまじまじと顔を見つめ、何気に酷い台詞をサラリと曰(のたま)う。

「ホントに!? ただ窓を開けただけ、とか、ただ窓を閉めただけ、じゃないの?」

「……掃除機、はたき、箒、塵取りの使い方をヒロクンから教えて貰った。雑巾掛けも出来る様になった」

 優は自慢げに胸を反らすと、七七センチの形良い胸(Cカップだ♪)がふるるん、と服の下で揺れる。
 晶は優の揺れる胸と顔を交互に見、苦笑交じりの声で独り言の様に言う。

「お母さんがあれ程言っても家事を全くしなかった優が、ヒロが絡むとコロッっと変わるのね。ある意味、恐怖だわ」

 晶は目を真ん丸にして驚いている。

「……恐怖、って……お姉ちゃん、それ失礼。ボクだって、これからはヒロクンの妻として家事を覚える」

 優は憮然とした表情になってむくれるが、優の意外な可愛らしさにみんな思わず声を上げて笑い出す。

(みんな新しい住処(すみか)を気に入ってくれた様だな)

 宏は青空に吸い込まれる幾多の笑い声を聞き、ホッと胸を撫で下ろす。
 内心、みんなに気に入って貰えるかどうかビクビクしていたのだ。
 宏達は背の高さ程の垣根に囲まれた築ン十年の木造平屋建ての一軒家を眩しげに見上げ、これからここでの生活に思いを馳せる。

「さ、みんな。家の中を案内するよ。中に入って」

「は~いっ、旦那様♥」

「判りましたわ、あなた♥」

「う、うん、宏♥」

 宏の掛け声に若菜が、晶が思い思いの、しかし何故か息の合った甘い返事を返して来る。
 千恵だけは顔を赤らめながらも、いつも通りの呼び方だ。
 宏は優と顔を見合わせて小さく笑う。

「うっわ~、『旦那様』に『あなた』、だって♪ メチャ照れるな~」

「これからはそう言う呼び方にも慣れないと♥」

 優がそっと手を握ってくる。
 宏は優の柔らかく温かい手をそっと握り返すと同時に、顔が赤くなるのが判った。
 今更ながらにみんなと結婚した事を実感していると、若菜が真っ先に玄関に飛び込み、三畳近い広さの土間で靴を脱ぎながら家の中に向かって大きな声を掛ける。

「お邪魔しま~~すっ!!」

 その言葉を聞いた宏は、すかさず若菜に訂正させる。

「若姉、『お邪魔します』じゃ無いよ。ここは俺達みんなの家(うち)なんだから……」

 宏は言葉を区切り、みんなを見渡して言う。

「これからは『ただいま』だよ♪」

 宏の言葉に、みんなの顔が一気に綻(ほころ)ぶ。
 大きく頷く晶、満面の笑顔の若菜、赤ら顔の千恵、幸せそうな優。

「「「ただいま~~っ!」」」

「おかえり、みんな♪」

 若菜の、晶の、千恵の三重奏に宏は当主として、夫として満面の笑みで答えた。


                                             (つづく)

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新居(2) 新居(2) 美姉妹といっしょ♡ 
 
「この玄関を上がって右に折れた東廊下の右側に和室が二つ、左側は手前から風呂へ続く脱衣所兼洗面所、その隣にトイレ、一番奥が洋間になってるんだ」

 宏とその一行は三和土(たたき)から上がると鈍く黒光りし、程好く使い込まれた板張りの廊下を奥へと進んでゆく。
 家の造りが丈夫なので多人数が同時に歩いても軋(きし)みひとつしない。

「宏ちゃん~、東廊下、って?」

 若菜が首を傾げながら腕を絡めてくる。
 すると柑橘系の香水の香りがほんのりと宏を包み込み、四日振りに嗅ぐ若菜の匂いに宏は思わず深呼吸してしまう。

「あ、そっか。それ、俺が勝手に付けた名前なんだ。この家(うち)、リビングを挟んで廊下が西側と東側に伸びているんだ。今いる所が東側の廊下だから東廊下。リビングから玄関や風呂、洋間へ通じる方なんだ。西廊下はリビングから納戸と和室、中庭への出入り口に通じているんだ」

「へ~、判りやすいわね、それ。うん♪ 今後はその呼び方でいきましょう♪」

 晶が全員を見渡すと、みんな大きく頷いて了承する。

「それに、何だか天井が高くない? 気のせいかしら……?」

 晶は天井を見上げ、続いて宏を見る。

「この家(うち)、床から天井まで三メートルあって、普通の家より五十センチ位高いんだって。だから部屋の鴨居(かもい)も同じだけ高くしてあるんだってさ」

 宏が大家さんからの情報を伝えると、若菜が嬉しそうな顔になる。
 背の高い若菜は普通の家に居ると、時々鴨居に頭をぶつけそうになるのだ。

「あっ! ここ、出窓になってる♪ 意外とハイカラなのね♪」

 千恵が廊下の突き当たりから外を眺める。
 腰の高さ程の所から天井近くまである出窓の外には、垣根の濃い緑と蒼い空に白い雲がゆったりと浮かんでいる様子がハッキリと見える。

「うん、この家(うち)、昔はプロパンガスと井戸水を使ってたらしいんだけど、住宅用に改装した時に現代的にしたんだって。窓は全てアルミサッシにして都市ガスと上下水道を引いて、トイレも水洗化したって。それでここと北側の窓は全て出窓になっているんだ。勿論、ちゃんと開くよ♪」

 宏の言葉に若菜が嬉しそうに両手を叩く。

「やった~! 私、出窓のある家に住むのが夢だったの~♪」

「じゃ、あんたは北向きの部屋に決定ね。あたい達は南向きの部屋にするわ♪」

 若菜の台詞に素早く千恵がツッコむ。
 松竹梅事件(?)をまだ根に持っている様だ。

「え゛~~、そ、そんなぁ~。姉さんのいけずぅ~」

「ふんっ!」

 若菜の泣き声にそっぽを向く千恵だが、その目は愉しそうに笑っている。
 本当はとっくの昔に許して(諦めたとも言う)いるのだ。

「はいはい、部屋割りは後でみんなで決めましょうね。今は屋敷の探検が先よ♪」

 晶が笑いを堪(こら)えつつ千恵と若菜の美姉妹(しまい)をとりなし、宏に向かって頷く。
 案内を続けて、という合図だ。
 宏は廊下右側の和室二間に続いて左側にある洋間の扉を開ける。

「「「うわ~~~♪」」」

 晶、若菜、千恵が同時に歓声を上げる。
 部屋の白い壁には間接照明が幾つか並び、廊下と同じ色合いの床、シャンデリアこそ無いものの可変照明の埋め込まれた高い天井、出窓と東向きの大きな窓からは垣根の向うに竹林と青空が見渡せ、家の外観からは想像も出来無い凝った造りの部屋だったのだ。
 が、よくよく見ると壁や天井は白に近い、シックで落ち着いたクリーム色をしている事に気付く。
 午前の光りが明るく射し込んでいるので白く見えたのだ。

「ここが唯一の洋間。商人宿の時は娯楽室だったんだって。広さは大家さんは十畳だ、って言うんだけど、もう少し広いみたいなんだ。俺も板張りの部屋って畳が無くて広さが測れないから判んないけど、柱の配置や窓の取り方からすると、十四~五畳近くありそうなんだ」

 宏が部屋を見渡しながら解説すると、若菜が苦笑混じりに手を挙げる。

「宏ちゃん~、板張り、って……。せめて現代日本風に『フローリング』、って言ってよ~。宏ちゃん、もしかして昭和ヒトケタ生まれ?」

「あ゛、う゛、うん、まぁ、確かに、フローリングとも言うね」

 若菜のツッコみに宏はたじろぎ、顔を赤らめてしどろもどろになる。
 宏の慌てぶりに若菜だけではなく、みんなが笑いを噛み殺す。
 宏は時々(いつもと言う説もあるが)無意識に古い言葉遣いや言い回しをして、その都度会社の仲間や若菜達から「今は昭和初期か!」とか「何時の生まれだ!」とツッコまれるのだ。

「ここはリビングを除いて一番広い部屋けど、北東側の部屋なんだ」

 宏が照れ隠しで強引に話を逸らすと、千恵が笑いながらもフォローしてくれる。

「あたいは板張りの方が判り易くていいわ♪ それに大きな窓が二面もあって、午前中は陽も射しているし悪く無い部屋だと思うわよ」

「そっ、それじゃ、姉さんはこの部屋に決定ね!」

「あら♪ あたいが一番広い部屋を使ってもいいのかしら? そ・れ・に、部屋割りは全ての部屋を見てからね、わ・か・な・ちゃん♪」

「あう゛~」

 若菜がここぞとばかりに先程やり込められたリベンジに打って出るも、そんな事はお見通しよと笑みを浮べた千恵のカウンターが綺麗に決まり、あえなく撃沈する。
 しかしその表情に悔しさは無く、笑顔が弾けている。

「ふふっ♪ 二人とも愉しそうね♪」

 晶も優も普段以上に柔らかい微笑を浮かべ、美姉妹の掛け合いを愉しんでいる。
 二人は晶の尽力もあって田舎での仕事をキッチリと辞め、晴れて今日、宏の許へ嫁ぐ事が出来たのだ。
 加えて愛する男性(ひと)と新居での生活に心が逸(はや)っているので、ちょっとした姉妹同士のジャブの応酬にも熱が入り、同時に心から愉しめるのだ。

(愉しいのはあたしもなんだけどね♪)

 晶も、今朝美姉妹と一緒に上京する前から心浮かれて仕方が無かった。
 転勤の手続きに若干の調整を要したが希望通り東京支店に配属され(会長や社長は転勤を渋った)、愛しい宏と一緒に風情ある一軒家で寝起きを共に出来るのだ。
 嬉しく無い訳が無い。
 その証拠にこの家に来てからは少女の様に瞳を煌めかせ、終始微笑んで足取りも軽やかになっている。
 普段の凛とした大人の女性という姿は影を潜め、修学旅行で浮かれている女子高生の様なのだ。

「さ、宏♪ 次は浴室ね。どんなお風呂か楽しみだわ♪」

 千恵は早く風呂場を見たいらしく、宏の腕を取って自ら先頭に立って歩き出す。
 宏は引き摺られる様に廊下を歩き、洗面所に連れ込まれる。

「ここが脱衣所兼洗面所。入って左側が浴室で右側に洗面台、奥が洗濯機ね。元宿屋だったから洗面台も二つあるんだ。ちゃんとお湯も出て冬の朝なんかは重宝する……」

 と、宏の説明が終わるのを待ちきれずにひと足早く隣の浴室に潜り込んだ若菜から大きな歓声が上がった。

「わぁ~~~~♪ すっご~~~い大きな浴槽っ! これなら五人一遍にお風呂入れるわ~~♥」

 若菜のはしゃぐ声に千恵と晶は宏そっちのけで「抜け駆けしなさんな!」とか「どれどれ♪」と足早に浴室へ消えてゆく。
 脱衣所には苦笑を浮べる宏と、朝からずっと微笑んでいる優が残された。

「……みんな気分はルンルン♪ 無理もない。ヒロクンとの新生活だもん。勿論、ボクもね♥」

 優は宏を見つめながら宏の手を取り、掌を自分の頬に這わせてそっと手の平にキスをする。
 宏も優の細いウェストに手を回して優しく抱き寄せ、視線を外す事無く熱いベーゼを交わす。
 互いに時間を忘れ、情熱的に舌を絡ませ合っていると……。

「宏ちゃ~ん、あんまり他の奥さんの前でエコ贔屓は良くないと思うな~~♪」

「優、随分人前でも積極的になったわね~♪ もしかしてあたし達の事、見えて無い?」

「宏……。後であたいにも『して』くれるんでしょうね~♪」

 浴室に移った筈の三人の六つの瞳が嫉妬少々、微笑ましさ一杯で宏と優を捉えていた。
 二人は一瞬固まったのち、磁石が反発する様にパッと離れる。

「あ、どうぞお気になさらずにお続けになって結構ですのよ~。お~~っほっほっほっ♪」

 ニヤケた若菜の高笑いに千恵が「馬鹿言ってんじゃ無いわよっ」と苦笑しながら背伸びをして若菜のおでこを小突き、晶はずっと微笑んだまま宏と優を愛でている。

「はう……」

 優は真っ赤になって俯き、宏は照れを隠す為に慌てて浴室に入って浴槽の説明を始める。
 今更という気もするが、敢えて誰も何も言わない。
 ただ、優しい目で微笑んでいるだけだ。

「あ~、こほん。見ての通りこの浴槽だけで四畳半位の大きさがあって、浴室全体で十二畳チョイの広さなんだ。隣の脱衣所が七畳ちょっとの広さだよ」

「やっぱり元宿屋さんだけあって広いわね~。これなら手足を思う存分伸ばせられるわ♪ うん、出窓がいい雰囲気だわ♪」

 壁と天井の白さとタイルの薄いブルーが出窓からの明かりに光り輝いて浴室内を明るく照らし出し、千恵は眩しそうに目を細める。
千恵は大の温泉好きで、気が向くと温泉立ち寄り湯にちょくちょく出掛けるのだ。

「それじゃ、次はリビングね。さ、行くわよ♪」

 晶が先頭に立って歩き出すと、若菜と優が風呂の大きさについて会話しながら後を付いてゆく。

「千恵姉? どうし、た、の……?」

 浴室に最後まで残っていた千恵はみんなが廊下へ出た途端、勢い良く宏に抱き付いて胸に頬ずりして来る。
 宏は戸惑いながらも反射的に千恵の背中に両手を回して優しく受け止める。

「逢いたかったっ! 電話で声を聞いても淋しさは拭えなかった……。たった三日なのに、実家にいる間淋しくて淋しくて仕方無かった……。宏ぃ♥ 好きよ、大好き♥ 愛してるわ♥」

「千恵姉……」

 宏を見つめる千恵の大きな瞳には薄っすらと光るものが浮かび、今にも零れ落ちそうになっている。
 普段の初心で恥しがり屋の千恵の姿は何処にも無く、ただ、恋する乙女がひとりいるだけだった。
 宏は潤んだ瞳を見つめたまま、ピンク色に光り輝く唇にそっと自分の唇を重ねる。
 そして千恵が感じた淋しさを吸い出す様に激しく千恵の舌を吸い、自分の口の中へと導く。

「はむんっ! あんっ♪ んふんっ♥」

 千恵は熱い吐息を洩らしながら宏に強く抱き付き、積極的に舌を蠢かせ、宏の存在や温もりを確かめるかの様に口の中を貪って来る。
 舌を激しく絡ませ合い、唾液の交換を済ませてようやく落ち着いたのか、千恵がゆっくりと離れる。

「えへっ♪ 充電完了♪ 宏、ありがと♥」

 いつもの表情に戻った千恵の瞳には、もう淋しさの欠片も見られない。
 千恵は宏に手を差し伸べ、晴れやかな笑みを浮べる。

「さ、いこう♪ みんな待ってるわ」

 宏は小さな、しかしとても温かい千恵の手を宝物に触れるかの様にそっと自分の掌に収めた。
 脱衣所を出て右に廊下を進み、玄関を左に見ながら突き当たりの部屋へ入る。
 廊下とリビングの間口は廊下と同じ幅で作られ、ドアは付いていない。

「お待たせ。ここがリビングだよ」

 宏と千恵が手を繋ぎながら入って来ても、誰一人として何をしていたのか聞き出す様な無粋者はいない。
 みんな千恵の気持ちは自分と同じなのだという事を判っているからだ。

「元は帳場……フロントとロビーだった所だよ」

 みんな物珍しげにあちこちに視線を動かし、眩しそうに目を細めている。
 床から天井までの高さの大きな四枚組みのガラスサッシから初夏の陽射しがさんさんと部屋の奥の方まで降り注ぎ、綺麗に磨かれた床に反射して白い天井までをも明るく照らし出しているのだ。

「広さは約二十畳あって、隣のダイニングキッチンと合わせると三十畳はあるよ」

「キッチンだけで十畳もあるの!? 凄いわ~♪」

 若菜が目を輝かせ、スキップしながらキッチンへ向かう。
 時折大ボケかます若菜だが、料理の腕前は五人中ピカイチなのだ。

「きゃ~~~♥ 凄いすご~いっ!! コンロが四つにグリルもオーブンも付いてるぅ~♪ これ、業務用のレンジだわ、ラッキ~♥ 出窓の付いたシンクも明るくて広いし、蛇口も二つあってすっごく使い易そうっ♪ いや~ん、勝手口まで付いてるぅ~♪ ザザエさんの台所みた~い♥」

 若菜はシンクの前で小躍りし、切れ長の目は喜びに満ち溢れて輝いている。
 宏が若菜の隣に歩み寄ると、若菜がいきなり抱き付き、強烈なキスを仕掛けて来た。

「宏ちゃん、ありがとう♪ こんな立派なお台所、私初めて。私、宏ちゃんの為に精一杯、美味しい御飯作るからね♥」

 そう言うと再び唇を重ね、舌を絡めて来る。
 宏も若菜の熱烈な舌使いから彼女の喜び具合を感じ取る。

「さ、若姉。残りの部屋も見てしまおう♪」

 若菜の手を取ってリビングに戻ると、みんな既にリビングから移動して西廊下で待っていた。
 廊下は一間(百八十一センチ)分の幅があるので、三~四人がたむろしていても全く狭苦しい感じがしない。

「リビングから廊下に出てすぐ右の扉がトイレで、その隣が納戸。あとは襖があるから判ると思うけど和室が三つ。廊下の突き当りからは中庭に出入り出来る様になっているんだ」

 宏の声を聞きながら晶が納戸の扉を押し開き、中に入ってゆく。
 そして説明が終わるのを待ってから宏を呼ぶ。

「どうしたの? 晶姉、何かあった?」

「ヒロ、ここは? 押入れがあって出窓も付いているし、どう見ても部屋のひとつにしか見えないんだけど?」

 晶が首を傾げながら部屋を見渡し、宏に視線を向ける。
 部屋の中には千恵や若菜達がアパートに持ち込んだ姿見やファンシーケース、三人分の布団袋や宏がアパートで使っていた本棚やカラーボックス、諸々の荷物が段ボール箱に詰められて所狭しと置かれている。
部屋割りを決めるまでの一時的な荷物置き場として、宏と優でここに運び込んだのだ。

「ああ、そうだね。ここ、元は六畳の布団部屋だったんだって。で、別荘として使ってた時はメイドさんの部屋として使って、その後は納戸として板張りに替えて物置代わりに使ったんだって」

「そう……。納戸にしておくのはもったいない広さね。ま、後で使い道を考えましょう♪」

 そう言うと晶は素早く宏に近付き、頬に手を当てて軽く唇を合わせると舌先で宏の唇をなぞってからゆっくりと離れる。

「逢いたかったわ♥ また後でね♥」

 晶の艶っぽい囁きに宏はカクカクと頷き、火照った顔のまま晶と一緒に廊下に戻って中庭に面した南向きの和室に入る。

「風呂場を除いて、どの部屋も壁と天井は洋間と同じ色に統一されているんだ。あとは半畳程の広さのクローゼットと二畳分の広さの押入れが付いているから、荷物とか結構入ると思うよ」

 宏がクローゼットと押入れを開け、ついでに中庭に面している窓も開ける。

「この家(うち)、南向きの窓は全て床から天井までの高さの窓になっているんだ。だから窓を開ければ縁側感覚で腰掛ける事も出来るんだよ」

 そう言うと、中庭に向かって畳の縁に腰掛けてみる。

「直に座るとサッシの縁がちょっと痛いけど、座布団敷けば問題無し♪ 出窓のある所は小さな鉢植えなんかも置けるスペースもあるよ」

 宏が振り向いてみんなに笑い掛けると、みな思い思いの格好をしている。
 晶は立ったまま窓際から中庭を眺め、千恵は宏の隣で同じ様に座り、若菜は畳の上で大の字になっている。
 宏の斜め後ろにひっそりと佇んでいる優は、まるで宏の専属秘書の様だ。

「さ、リビングに戻ってお茶しながら部屋割りとか決めよう♪」

 宏が立ち上がると、みんな一斉に宏の傍に寄って来る。
 その顔には満面の笑みを湛(たた)えている。
 リビングに戻り、アパートで使っていた丸いちゃぶ台に四人で取り囲む。
 千恵が台所でお茶を淹れてくれているのだ。

「これだけ広いリビングに、この小さなちゃぶ台とテレビだけ置いてあるのも、何だかシュールね」

 座布団に座りながら苦笑いを浮かべる晶が右隣の宏を見る。
ちゃぶ台の他には、アパートで使っていた十四インチのテレビが部屋の隅に置いてあるだけなのだ。

「うん、ここと台所や風呂、トイレは直ぐに使える様にはしたんだ。あと生活に必要な家具や道具類はみんなが来てから決めようと思って」

 宏は家の見取り図(部屋割りや家具の配置を決めるのに新聞の折込広告の裏を利用して書いた)をちゃぶ台の上に拡げる。
 そこへ、みんなにお茶を配り終えた千恵が若菜と優の間に座って話に加わる。

「暮らすのに必用な物は、あたい達が使ってた物を実家から送ってもらう? そうすれば殆どお金は掛からないわよ?」

「ん~、それだと送料だけでも結構掛かりそうだし。俺、リサイクル家具を利用しようかと思ってたんだ。そうすればずっと安く済むからね」

 宏の考えに晶と優は頷くも、若菜は別の意見を出してきた。

「でも~、赤の他人が使った家具を私達新婚家庭に使うのもどうかと思うんだけどな~。第一、どんな曰(いわ)くが付いているのか判んないし……。離婚や家庭崩壊した所からのお下がりだったら嫌だもん。だから宏ちゃん、私がお父さんに嫁入り道具買って~、って言えば何でも新品を買ってくれるよ~♪ なんたって溺愛する娘が結婚したんだもん、嫌とは言わせないわよ~♪」

 この様な時、千恵は実直な、若菜は実に的を得て要領の好い(半分は確信犯的?な)考え方をする。

(((どうして双子なのに、こうも考え方に違いが出るのだろう?)))

 長い付き合いの宏や晶、優でさえ、つくづく不思議に思う。
 俗世間で云われている「長女は真面目、次女は要領が良い」はこの双子にも当てはまるのだろうか。
 晶が頭を軽く振り、話を戻す。

「確かに、若菜ちゃんの言い分も最もだわ。ん~~、取り敢えず今日の午後にあたし達の荷物が届くから、それまでに部屋割を決めてしまいましょう。でないと家具類を揃えるにしても、どうにも動けないわ」

 晶の真っ当な意見にみんな大きく頷く。

「それじゃ、部屋を決めてしまおう」

 宏は見取り図の上に指を置いた。


                                             (つづく)

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新居(3) 新居(3) 美姉妹といっしょ♡ 
 
「はあぁ~~~♪ 極楽、極楽♪」

 宏は湯船の中で思いっ切り手足を伸ばし、そのまま腰を滑らせてお湯の中に沈み込むと浴槽の底で大の字になる。
 見上げた先には灯りに照らされた水面が様々な形になって煌めき、まるで万華鏡の中にいるかの様な錯覚に陥る。
 暫くの間光が水面を踊っている様を眺めていたが、息が続かなくなって慌てて上体を起して顔を出す。

「アパートの風呂とは大違いだな~♪ 向うは体育座りが精一杯の大きさだったし……。いや~~、やっぱ、でかい風呂は好いわ♪」

 上機嫌で鼻歌も飛び出そうかという時、浴室のドアが開いて若菜と晶が生まれたままの姿で前も隠さずに入ってきた。

「宏ちゃ~~ん、お背中流しま~~す♪」

「ヒロ、一緒に入りましょ♥」

「わわっ、若姉っ! あっ、晶姉までっ!」

 思わず股間を手で隠し、座ったまま後ろに後ずさる宏を尻目に二人は浴槽の前で立ち止まり、宏に向かってニッコリと微笑んでモデル立ちする。
 若菜は腰まで届く長い漆黒の髪を首の後ろでひとつに纏(まと)めて背中に垂らし、白い肌は天井の灯りでより一層白く輝いてその姿はまるで月の女神の様だ。
 程好く膨れた七八センチの胸(Cカップ)が呼吸に合わせてふるるんと揺れ、二つの丘の頂には桜色した突起が美味しそうに実っている。
 若菜はくびれた腰に片手を当てて軽く突き出し、足を軽く前後に開いて股間を宏に見せ付ける。

「どう? 宏ちゃん~♪ 久振りに見た私のハ・ダ・カ・は♥」

「わ、若姉……♪」

 悪戯っぽく聞いて来る若菜の囁きに宏は思わず唾を呑み込み、無毛のスリットを凝視してしまう。
 白いなだらかな恥丘から続く太く、深い割れ目には透き通る様なピンクに色付いた秘唇が大きくはみ出し、その合わせ目にはプックリと膨らんでいる秘核の包皮が覗いている。
 パイパンフェチの宏にとって若菜の天然無毛の股間はむしゃぶりつきたくなる程魅力に溢れた女体のパーツであり、若菜もそれを知っていてわざと股間を晒しているのだ。

「凄く綺麗だ♪ 晶姉も凄く色っぽいよ♪」

 宏は若菜と同じ様なポーズを取る晶にも視線を向ける。
 晶はいつものロングヘアをアップに纏め、腰に手を当てて染みひとつ無い肌を惜しげもなく宏に晒すその姿はまるでヴィーナスの様だ。
 綺麗なお椀型に盛り上がった八五センチの胸(Dカップ)はちょっとした身体の動きにもぷるるんと揺れ、既に大きく隆起したピンク色の乳首が宏に向かって自己主張している。
 晶は片手を恥丘に這わせ、自ら剃り上げた白い丘を強調する。
 初体験の夜に宏の嗜好に合わせ、何の躊躇いも無く秘毛を剃り落したのだ。
 肉付きの良い大陰唇の間からは濃いピンク色の秘唇が少しはみ出し、宏の欲情をいやが上にも昂(たか)ぶらせる。

「さあ、ヒロ。上がって。身体を洗ってあげる♪」

 ウィンクしながら流し目をくれる晶に宏はフラフラと吸い寄せられる様にして湯船の中を這い歩き、晶と若菜の前で立ち上がる。

「「あら♥」」

 二人の嬉しそうな視線が宏の股間に集まる。
 宏は月の女神とヴィーナスの光輝く裸体を目の当たりにし、既に臨戦態勢が整っていたのだ。

「さ、ここに立って~。宏ちゃんにサービスしてあげる~♪」

 若菜がボディーソープを自分の両手と胸に垂らして泡立て、宏の背中に抱き付く。
 そして両手を宏の胸に這わせながら胸を上下に擦り始めると、宏は胸と背中からの強烈な刺激を受けて思わず震えてしまう。

「わっ、若姉っ! 背中に、柔らかくて硬いモノがっ、当ってっ!」

 柔らかくも硬く尖ったモノが二つ、背中で上下に動いているのがハッキリと判るのだ。
 おまけに前に回した若菜の手が宏の乳首を擦り、時折摘まんで刺激して来るのだ。

「気持ち好い? 好かった~♪ 悦んでもらえて♥」

 ボディーソープの滑(ぬめ)りと若菜の熱い息遣いが快感の波を増幅させ、宏の下半身に血液が更に集まってしまう。

「ヒロ、あたしは下を洗ってあげるわね♪」

 晶はボディーソープを塗りたくった両手を宏の腰から太股にかけてまさぐり始める。
 その動きは焦らすようにゆっくりと、しかし確実に股間に近付いて来る。

「ああっ、晶姉っ……んむっ」

 宏が口を開いた途端、ピンク色に輝く晶の唇が宏の言葉を包み込む。
 何日か振りの宏との触れ合いを悦び、愉しむかの様に舌を繰り出して来る。

「んふ♪ 元気ね♥」

 晶は視線をチラッ、と下に向けると妖艶に微笑み、両手を大きく弓なりに反り返ったペニスに触れるか触れないかという力加減で握って来る。

「凄いわ……♪ こんなに硬くて……火傷しそうだわ♪」

「あっ、晶姉っ!! じ、焦らさないでっ! も、もっとっ……」

「ふふ♪ もっと強く握って欲しいの? こんな風に?」

 妖しい微笑を浮べた晶は右手で竿を、左手で玉袋を同時に握って来た。


                                             (つづく)

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新居(4) 新居(4) 美姉妹といっしょ♡ 
 
「ああっ、これよ、これっ♪ この形と手触り、確かに宏だわ♥」

 晶は宏に触れられて嬉しくて堪らない、といった表情で泡に塗(まみ)れたペニスの反り加減や長さ、太さや硬さを自分の記憶と照らし合わせながら絡めた指を蠢かす。
 片手で玉袋を弄びながらもう片方の手で亀頭をなぞり、カリ首のくびれを擦り上げると裏筋に指を這わせて扱き上げる。
 宏は股間から這い上がる気持ち好さの中、昼間千恵が宏に抱き付きながら言っていた事をふと思い出す。

(やけに嬉しそうだな……。ひょっとして、晶姉も逢えなくて淋しかった、とか? だったら俺から甘えてみよう♪)

 宏は両手を晶の引き締まったウェストに添えると優しく抱き寄せ、うなじに顔を埋(うず)めながらフローラル系の香水がほのかに残る耳元でそっと囁いた。

「俺、晶姉がいない間、ずっと淋しかった。だけど今こうして触れ合えてすっごく嬉しいよ♥ 好きだよ、晶姉♥」

 宏は晶の勝ち気な性格を考え、晶の気持ちを自分の気持ちと入れ替えて喋ってみる。
 すると宏の囁きを耳にした途端、晶の動きが全てピタッ、と止まり、そのまま宏に体重を預けて来た。
 そして宏の首筋に顔を埋めると細かく震えだす。
 宏は晶を強く抱き締め、片手で滑らかな背中を撫で擦(さす)って親愛の情を示す。
 若菜も晶の気持ちが判るのだろう、今は宏にバストを擦り付ける事はせずに黙って泡だらけの背中から腰までを両手でゆっくりと撫で擦(さす)っているだけだ。

「……いき、だぞ」

「えっ?」

 晶が顔を埋めたまま何事か呟くも、声が小さくて聞き取れない。
 宏はよく聴こうと顔を晶の顔へ向けようとした瞬間、晶が宏の唇に強く吸い付いて来た。
 まるで宏に自分の本心を悟られた事を誤魔化すかの様に、情熱的に舌を激しく絡め、吸い、甘噛みする。
 ひとしきり宏の口を蹂躙して落ち着いたのか、ゆっくりと唇を離して見つめて来た。

「年下のクセに生意気だぞ♪ このあたしを慰めようだなんて十年早いわよ♥」

 晶は両手で握ったペニスをギュッと掴み、透き通った大きな瞳に光るモノを浮かべながら上目遣いで軽く睨んでくる。
 その瞳の中には思いっ切り甘えたい気持ちと、みんなのリーダー的存在として人前では甘えられない気持ちが入り混じり、渦巻いているのがハッキリと見える。
 宏は自分の考えが正しかった事が判り、甘えモード全開で晶に擦り寄る。

「晶姉、俺、晶姉にもっと気持ち好くして貰いたいな♪ 俺も晶姉を感じたいし♥」

 そう言いながら勃起しているペニスを晶の無毛の下腹部に押し付ける。
 ツルツルの丘に熱いペニスが触れると二人同時に呻き声を上げ、お互い無意識に下半身を密着させる。
 晶は両手をペニスから宏の首に回して強く抱き付き、弾力のある二つの丘を宏の胸に擦り付けて硬くしこった乳首を宏の胸板で滑らせる。

「ったく、甘えちゃって~♥ んんっ、ヒロのオチンチン、熱くて火傷しそうだわ♥」

 晶は目元をほんのりと赤く染め、乳首からの快感に撃ち震えながら腰を回して宏の大きく反り返った肉棒を自分の下腹部で刺激する。
 宏は亀頭の裏側からの激烈な刺激に目の前が真っ白になり、亀頭がパンパンに張り詰める。
 すると晶は自分の臍の周囲に泡とは別にヌル付くモノが大きく拡がっている事に気付く。

「ヒロ、先っちょから透明なお露がたくさん溢れてるわよ♪ そんなに気持ち好いの?」

 身体を密着させたままおでこ同士をくっ付けて顔を覗き込むと、宏は興奮して弾む息を抑えながら照れた様に視線を外して心の内をボソッと呟く。

「晶姉だからだよ。大好きな晶姉と触れ合ってるから、我慢出来ないんだ」

 晶は宏の偽らざる台詞を聞いた途端息を呑み、雷に打たれたかの様な感覚に陥って自分は一生宏から離れられないと自覚した。
 普段は優柔不断でスケベだけれど裏表が無く、優しくて芯のある従弟(いとこ)で年下の男の子。
 言葉にしなくても自分の気持ちを判ってくれる頼りがいのある愛しい男性(ひと)。
 好きで好きで堪らない男性(ひと)から求められる嬉しさに、胸が、心が張り裂けそうになってしまったのだ。
 そして心に誓う。

(この男性(ひと)の為に、何があってもあたしは一生傍に付いてゆこう)

 晶は余りにも昂った心を静める為にゆっくりと宏から離れ、大きく息を吐く。
 このまま宏とくっ付いていたら我を忘れ、人目も時間も憚(はばか)らず乱れに乱れてしまうのが目に見えたからだ。

「晶姉、大丈夫?」

 宏は晶の突然の変化と伏せられた睫が震えている事で何が起こったのか判らず、そっと声を掛ける。
 肝心な所で鈍感なこの男は自分の発した言葉でひとりの女の一生を決定付けた事に、まるで気付いてない。
 晶は「それもまたヒロの好い所ね♪」と内心苦笑する。
 何もかも計算ずくで接せられても、心には何も響かないからだ。
 晶は二、三度大きく深呼吸して気持ちを落ち着かせると、宏に向かって微笑む。

「大丈夫よ。ちょっと体が冷えただけ。五月といっても夜は冷えるわ」

 晶はそう誤魔化しながら宏の腕を取ってシャワーの前に立つ。
 本当は頭と身体が火照って暑い位なのだ。

「ヒロも身体を冷やすといけないわ。泡を流して湯船に入りましょう」

 晶は宏が頷くのを待ってから、宏の背後にいる若菜に視線を送った。


 若菜は頷きながら既にシャワーを手にし、みんなに付いている泡を丁寧に流す。

(晶姉さん、幸せそうな顔してる……。きっと宏ちゃんにメロメロにされたのね~♪)

 晶と宏のやり取りを傍で聞いていて、若菜は晶が何を想ったのかを薄々感じ取っていた。
 若菜はもちろん千恵も優も、みんな宏を想う気持ちは晶と一緒、皆ひとつなのだ。
 お互いがお互いの気持ちを手に取る様に判るからこそ、相手に対してより優しくなれる。
 だからこの妻達の間には「宏をずっと自分だけで独占するんだ」、「抜け駆けしちゃえ」、といった気持ちは全然起こらず、嫉妬心や妬(ねた)みから来るいざこざなどは全く存在しない。

「さ、宏ちゃん、入ろう~♪ こんなに広いと三人で入っても余裕だね~♪」

 若菜がはしゃぎながら真っ先に湯船に飛び込むと晶はゆっくりと肩まで浸かり、最後に宏が出窓を背にして座り込む。
 三人は三角形の頂点の位置で向かい合う様に座っているので、宏の位置からは二人の長い髪や尖った乳首、股間の秘裂が湯の中で幻想的に揺らめいているのが良く見える。
 また晶や若菜の位置からは宏のニョッキリと勃起したままの肉棒が湯の中で二本にも三本にも見えてしまう。
 宏は節操の無い股間を一旦鎮める為に、当り障りの無い話題を振る。

「ところで千恵姉と優姉は一緒に入ろうとしなかったの? どうせならみんな一緒に、って思わなかったのかな?」

 我ながら大胆な考えだな~、と思いながらも二人に聞いてみると若菜が笑いながら答えてくれた。

「姉さん、宏ちゃんと一緒のお風呂はまだ恥しくて出来ないんだって~。処女まで捧げたのに、変なの~」

「優は千恵ちゃん一人残して入れない、って千恵ちゃんに付き合ったのよ。あの娘(こ)らしい優しさね♪」

 晶は微笑みながら、しかし付け加える様に言い放つ。

「あたし達がいない間に随分とヒロに可愛がって貰えたから、今日のお風呂は遠慮したんじゃない?」

 ニヤケた表情で顔色を伺ってくる晶に宏は言葉が詰まり、視線をつい逸らしてしまう。
 そんな宏の態度に若菜が「やっぱり二人っきりで好い事してたんだ~」と嫉妬を滲ませて呟き、口を尖らす。

「それは誰かさんが適当な事をしたから一旦帰る嵌(は)めになったんじゃない? それを世間では『自業自得』って言うのよ、若菜ちゃん♪」

 晶が見るよりも早く、若菜はさっと視線を逸らして急いで話題を変えてくる。
 どうやら仕事を蔑(ないがし)ろにして晶に叱られた事が余程堪(こた)えている様だ。

「それにしても宏ちゃん~、ホントに良かったの~? 私達にも多少の貯えはあったのに」

 宏が首を傾げると、若菜は「家具や家電品の代金の事だよぉ」と苦笑する。

「ああ、その事か。いいんだよ。それはそれで♪ みんなの金なんだから」

 ウィンクして答えるが、若菜はまだ完全に納得出来て無い様だ。
 宏は午前中リビングでしたやり取りをもう一度、今度は判り易く若菜に語って聞かせる。

「あのお金は優姉の株価の分析と的確な読みがあってこそ六十億まで増えたのであって、俺が直接株を売買して増やした金じゃ無い、ってトコは判るよね?」

 ゆっくりと頷く若菜。

「だから元手となった十万円以外は優姉のお金なの。ここまではOK?」

 ここで若菜がずっと疑問に思っていた事を口にする。

「でも~、その十万円があったからこそ今のお金があるんだから宏ちゃんのお金じゃないの~? 優姉さんもそう言ってたじゃない~」

「うん、でもそれを言うと『卵が先か鶏が先か』みたいな議論になっちゃうから、このお金は俺個人でも優姉のお金でも無く、俺を含めて若姉、晶姉、千恵姉、優姉で共有するお金にしよう、って事にしたんだよ」

 優は初めこの考えに渋っていた(自分で増やしたとは言え、宏のお金を自分のお金とする考えにかなり抵抗があった)が、結婚したんだから大きな財産は共有化して然るべし、という宏の強い意見を受け入れてようやく納得したのだ。
 晶と千恵は最初から宏に判断を一任していたので全く問題は無かった。(当初はさすがに大金過ぎて恐縮していたが)
 ただ若菜だけはいくら宏と結婚したとはいえ、宏の財産という輪の中に自分が本当に係わってもいいのかどうか未だ判断が付かないでいるのだった。

(結婚しても宏ちゃんのお金は宏ちゃんのもので、私のお金じゃ無いわよね~)

 そんな思いが若菜にはあるのだ。
 宏は多少逆上(のぼ)せて来たので浴槽の縁(浴室の床面より少し高い)に腰掛け、膝下だけを湯の中に入れて浴槽の中にある上がり段に足を置いた格好になる。
 家計の話しですっかりノーマル状態に戻った股間の上に、エチケットとしてさり気無く両手を置く。
 いくら風呂の中で相手は妻達とはいえ、真面目な会話中に己の股間をわざと晒す気などちっとも無い。
 未だ唸っている若菜に、晶が笑いながら更に判り易いアドバイスをしてくれる。

「夫が給料袋を妻に渡すのと同じよ♪ OK?」

「毎月赤字にならない~? 五人で生活するとなると色々必要経費とかいっぱい掛かるだろうし……」

 眉を寄せ、家計の生産性を心配する。
 優は信頼しているが株価そのものは絶対じゃ無い。
 何時株価が暴落しても不思議では無い世の中なのだ。
 株取引を止めた後、宏の蓄えを食い潰す様なマネは死んでも出来ない。

「その点は大丈夫。俺と晶姉は仕事を辞める訳じゃ無いし、ひと月毎(ごと)に預金の利息も入るから。トータルで見ると、みんなにお小遣い出せて有り余る額だよ♪ 優姉に我が家の経済・財政担当になって貰ったのもそういったお金の運用に精通しているからなんだよ」

「……うん、判った~。宏ちゃんと晶姉さんがそこまで言うなら」

 若菜はようやく首を縦に振ってくれる。
 そして至極残念そうに言葉を洩らす。

「だったらぁ、もうちょっと好い家具を買って貰うんだった……。宏ちゃんのお金だと思って遠慮しちゃった~」

 宏と晶は思わず顔を見合わせ、大爆笑する。
 宏達は部屋割りを決め、晶と優の荷物が届くのを待って家具や必要な道具類を問屋街へ買いに出たのだ。
 それぞれの部屋で使うテーブルやデスクと椅子、五人分の食器が収容できる食器棚と食事用のテーブルと椅子のセット(これは若菜が強烈に欲しがった)、リビングに置くソファーセットとガラステーブル(これは宏が欲しがった)、ダブルベッド(これは晶と千恵が買った。何故ダブルなのかは……言わずもがなだ)などを買った。
 少しでも部屋を広く使う為、衣類は衣装ケースに入れてクローゼットや押入れに仕舞う方式とし、場所を取る箪笥(たんす)は買わなかった。
 また、優と若菜はベッドよりも布団が好いと言うので二人のベッドは買わなかった。
 優は寝相が悪く、ベッドだとよく落ちてしまい(晶談・本人は否定)、若菜は身長がある(百七十五センチ)ので、ロングサイズベッドでも手足を伸ばすと丈が足りない(本人談)んだそうだ。
 なので二人とも昔から布団でしか眠らない、と笑っていた。
 宏の寝具はというと……。

「やっぱり~、五人同時に余裕で寝られるだけの長さと幅のあるベッドがいいわ~♥ ね、姉さん♪」

「な゛っ! 何であたいに振るのよっ! そ、そりゃ、大きいに越した事は無いけどっ……ねえ、晶さん?」

「そうね、せっかく一番広い部屋に置くんだから……どうせなら特注で作って貰おうかしら♥ 優?」

「予算的には全く問題無し♪ ……せっかくだし、天蓋も付ける?」

「をいをい……。俺の意見は……」

 楽しそうに会話をしている五人の奇妙な組み合わせに、対応した店員は不思議そうに首を傾げていた。
 結局、問屋街で売っている中で一番大きい組み立て式(でないと部屋へ入れられない)のウルトラハイパーミラクルキングサイズのベッドを買う事にした(サイズは幅四百五十センチ、長さ二百五十センチで天蓋は宏が頭を下げ、必死に頼み込んで止めて貰った)。
 次にリビング用に五十インチの地上デジタルハイビジョン対応型プラズマディスプレイ(これは宏が猛烈に欲した)、五百リットル収容の業務用大型冷凍冷蔵庫と一升炊きの電気炊飯器(これは若菜が欲した)、八キロサイズの全自動洗濯機と同サイズの業務用衣類ガス乾燥機(これは千恵が遠慮がちに欲した)も購入した。
 また、優の財テク兼家計簿用に新たに二十一インチ液晶モニターのタワー型パソコン(CPUに四GHz、メモリに二GB、HDDに六百GB)も購入(遠慮する優に宏がプレゼントした)し、同時に光ケーブルの敷設と無線LANの導入も決めた(最後に宏は非常用として家庭用発電機も購入した)。
 それら購入した家具や家電品の配達とケーブルの工事は明日行われる事になっている。
 各自早急に使う物(部屋のカーテンや茶碗と箸など)は持ち帰ったので、帰り道は大荷物になってしまった。
 千恵は最後まで予算を気にしていたが、優に言わせると「六十億分の四百万。つまり、百五十万円持って千円の買い物をするのと同じ」なんだそうだ。
 これを聞いてみんな改めて『億』という単位の凄まじさを実感したのだった。
 優は更に「ヒロクンが教えてくれた問屋街でまとめ買いしたので、かなり安く付いた」と財政担当としてホクホク顔だった。
 この女性陣は問屋街で安く買い物をする、という発想が出て来なかったらしい。

「それにしたって六十億って……一般家庭じゃお目にかかれない数字だよね~♪」

 若菜も逆上せたらしく上がり段に腰掛け、上半身を湯から出す。
 すると雪の様に白い肌が薄っすらと桜色に染まり、うなじから胸の前に纏めた黒髪を垂らした艶めかしい姿に宏の鼓動が一気に高まり、海綿体に血液が集まり出す。
 宏は風呂の灯りに照らされて光り輝く若菜の肢体に思わず魅入ってしまい、慌てて視線を逸らす。
 何だかんだいっても、根はまだまだ純情なのだ。

「初めて金額を知った時、俺と千恵姉は何も言えないまま目が点になってそのあとパニクッて大騒ぎしたのに、若姉は平気だったね。どうして?」

 股間の疼きを鎮める為にお金の話を続ける宏の問い掛けに、若菜はこれ以上無い位の笑顔で答えた。

「だって~、どんなお金持ちになっても、どんなに貧乏になっても、宏ちゃんは宏ちゃんでしょ~? お金の有る無しで私の好きな宏ちゃんの価値は何ら変わる事はないよ~♥」

 若菜の飾りの無い素直な台詞と心からの美しい笑顔に、宏はあっけ無く撃沈する。
 今度は宏が若菜に雷を打たれてしまったのだ。
 と同時に興奮を抑えていた股間に全身の血液が緊急招集され、見る見るうちに臨戦態勢が整ってしまう。
 もはや両手でも隠し切れない。

「!! ~~♪ んふ♥」

 切れ長の目を妖しく光らせた若菜が上がり段に腰掛けたままにじり寄る。
 宏の膝に手を当て、太股を撫で上げながら上目遣いで見つめて来る。

「宏ちゃん~♪ 私のハダカ、綺麗?」

 カクカク頷く宏に微笑むと、更に言葉を紡いでくる。

「私に欲情しちゃった? でもいいよ~♪ 私の心と身体は宏ちゃんの物だから~、何時でも何処でも好きにしても~♥」

 若菜はいつの間に宏の左腿に七八センチの柔らかくも弾力のある双丘を押し付け、太股を撫で擦(さす)っていた左手を鎌首をもたげているペニスに伸ばすと細い指をそっと絡めて来た。


                                             (つづく)

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新居(5) 新居(5) 美姉妹といっしょ♡ 
 
「あんっ♪ 凄い~っ! まるで焼けた鉄棒みたい~♥」

 若菜は切れ長の目を妖しく光らせると濃いピンク色の乳首を宏の太股に押し付け、左手でペニスをそっと握って久し振りに手にする宏の感触を味わう。
 大きく反り返った肉棒は青黒い血管が幾つも浮かび、若菜の細い指を弾くかの様にいきり勃っている。

「この形、この太さ♪ 反り返り方といい、この硬さといい、確かに宏ちゃんだわ~♥ ただいま、貴方の若菜が帰って来ましたよ~♪ 逢えなくて淋しかったですか~?」

「……あの、若姉? 誰に向かって話しているの?」

 宏は聞くだけ無駄かも、と思いつつ尋ねてみると、若菜はあっさりと宏の期待通りの答えを返して来た。

「誰って~、宏ちゃんに決まってるじゃない~♪」

 と言いつつ視線は股間にロックされたままで、手に力を篭めて勃起した肉棒を左右に振ってみせる。
 そしてゆっくりと竿を上下に扱(しご)き出す。

「うぅっ、わ、若姉……。こんな所で……ダメだよ……。ああっ!」

 若菜から受ける快感に宏の息も乱れがちになる。
 加えて弾力のある、しこった二つの突起がさっきから太股を刺激して来るので、その快感もダイレクトに股間を直撃して来るのだ。

「あんっ♥ まだおっきくなる~♪ どうしてかな~?」

 若菜は嬉しそうに微笑むと握っている手を放し、上半身を捩(よじ)って乳房を太股に強く擦り始めた。
 すると弾力のある二つの双丘が大きく形を変えてへこみ、直ぐに元の形に戻ろうと太股を押し返して来る。
 薄桜色に染まった二つの丘に目が釘付けになっている宏は、晶が若菜の反対側から近付いている事に全く気付いていなかった。

「どう、若菜ちゃん? 久しぶりに『ヒロ』と御対面した感想は♪」

 晶が宏の両膝の間に何気なく入り込み、先走りの液を垂らし始めた肉棒を眺めながら尋ねる。
 若菜は満面の笑みを浮かべ、それに答える。
 若菜と晶のバストが宏の左太股を挟んで向かい合っている状況に、とうとう宏のエロモード(?)のスイッチが入る。
 両手を後ろに着いて上体を支え、自ら両膝を大きく割り開くと腰を突き出して弓なりに反り返った勃起肉を二人の目の前に晒す。

「あら、ヒロ? どうしたの? 急に踏ん反り返って♪」

 晶はしょうがないわね、このやんちゃ坊主♪、と宏の股間を凝視しながら嬉しそうに目を細め、若菜はニョッキリと勃ち上がったペニスに目が吸い寄せられる。
 愛してやまない男性(ひと)の大きくそそり勃つシンボルに、思わず唾を呑み込んでしまう。

(この逞しいおちんちんが私の処女膜を破ったんだ~♪ よくこんな大きなモノが私の膣(なか)に挿ったわね……)

 若菜は宏の膝の間に入り込み、顔を股間に近付けてまじまじと逸物を見つめる。
 若菜の熱い息がペニスに掛ると宏の意思に関係無くピクッ、ピクッ、と反応し、その度に鈴口からカウパー線液が零(こぼ)れ落ちて竿をトロリと流れ落ちてゆく。

「今度は若菜ちゃんの番ね♪」

 晶の言葉を聞くよりも早く、若菜は舌を伸ばして裏筋を舐め上げる。
 舌先を尖らせ、竿の表面を走る皺の一つ一つに丁寧に唾液とカウパー汁を塗(まぶ)してゆく。
 その動きはまるで舌先に宏のペニスの形状を記憶させるかの様に、そして自分の想いの丈をぶつけるかの様に舌を蠢かせる。
 宏は若菜の愛情溢れる舌遣いに何度も何度もペニスを大きく震わせ、唇を噛んで暴発を防ぐ。
 握って扱かれるのとは違い、柔らかい舌先で竿の表面をなぞられてもどかしい上に、より敏感に感じてしまうのだ。

「ああん♪ 宏ちゃんの味がする~♥ 宏ちゃんのおちんちん、逢いたかった。逢いたかったよ~♥」

 感極まったのか目は潤み、鼻息も荒く、今にもペニスにむしゃぶり付きそうになっている。

「そんなにヒロに逢いたかったの?」

 晶が宏の右太股を撫で擦(さす)りながら若菜に視線を向ける。
 若菜は湯の中で自ら秘裂を割り開き、包皮の上から大粒のクリトリスを捏(こ)ね回していた指を止めて顔を上げる。

「だって……淋しかったんだもん。宏ちゃんの事を想うと切なくなって~、実家にいる間に何度も自分で慰めてみても、ちっとも気持ち好くなれないんだもん! 私には宏ちゃんが居ないと駄目なんだもんっ! 宏ちゃんが傍に居てくれないと駄目なんだもんっ!!」

 この三~四日間溜め込んだ想いが急激に溢れ、心の叫びを上げた若菜は切れ長の瞳からポロポロと大粒の涙を零し、宏の腰に両手を回して抱き付いて来た。

「若姉……」

 初めて見る若菜の泣き顔に、宏は胸が締め付けられる。
 普段は大ボケキャラ的な存在の若菜だが、心は誰よりも純粋な女の子なのだ。
 宏は上体を起し、股間に顔を埋(うず)めて泣きじゃくっている若菜の頬に手を当てながら頭を優しく撫でる。
 晶は慈愛に満ちた表情でしゃくりあげる若菜の背中をポンポンとあやしながら、宏に聞こえるか聞こえないか位の小さな声で呟いた。

「あたしと同じね……」

 宏はその言葉を聞かなかった事にし、自分の心に一生仕舞って置く事にした。
 晶は何も言ってこない宏に薄っすらと微笑み、僅かに頷いて感謝の意を表す。
 宏は若菜のピュアな心に向かって自分の飾りの無い想いを伝える。

「若姉、今日から俺と若姉はずっと一緒だよ。ずっとずっと、一生一緒だよ♥ 約束する。だからもう泣かないで」

 宏は不規則に震えている若菜の頭に自分の顔を埋(うず)めると、自分のお腹に抱える様にして強く抱き締める。
 何か甘い慰めの言葉を掛け様としても、ボキャブラリーがまるで無い宏には到底無理だったので強く抱き締める事しか出来なかったのだ。
 勃起した肉棒が若菜の頬に密着し、涙がカウパー汁に取って代わって竿全体を濡らしてゆく。
 どの位の時間、抱き締めていただろう。
 若菜がゆっくりと顔を上げ、照れた様にチロッ、と舌を出す。

「……えへへ、ごめんなさい。つい、気持ちが暴走しちゃった~♪ きっと宏ちゃんと触れ合えたから心が緩んだのね~」

「若姉……」

 宏は浴槽の上がり段に腰を下ろし、若菜の頬に手を当てて親指で涙の跡をそっと拭ってゆく。
 そして唇を寄せて跡を完全に消し去ると、そのまま軽く唇を重ねる。

「若姉。俺、若姉がずっと笑っていられる様に一生懸命頑張るから。俺、若姉の笑った顔が一番好きだから♥」

 宏の言葉を嬉しく聞いていた若菜は大きく首を横に振り、そして微笑んだ。

「頑張らなくていいから。私は宏ちゃんが傍に居るだけで最高の笑顔になれるんだよ~♥」

 そう言うと最愛なる者へ心からのキスを贈った。


                                             (つづく)

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