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ライトHノベルの部屋
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~ラブラブハーレムの世界へようこそ♪~
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恋慕(1)
恋慕(1)
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美姉妹といっしょ♪~新婚編
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「ねぇねぇねぇねぇっ! とっ、届いてるわよっ……葉書っ……写真がっ……!」
背の高い一人の少女が長いツインテールをなびかせ、手にした三枚の葉書を振り翳しながらリビングに駆け込んで来た。 興奮の為か目鼻立ちの整った小顔は赤らみ、呂律も怪しく要領を得ない。 梅雨明け後の夏の陽射しがきつかったのだろう、額には薄っすらと汗も浮かべている。
「あら、飛鳥(あすか)ちゃん、おかえり♪ ……って、ちょっと落着きなさいよ。いい年こいたレディーがドタバタとみっともないわよ?」
冷房の効いたリビングで午後のワイドショーを眺めていた妙齢の美女が首を巡らせて少女をたしなめる。 しかし、本人もソファーで腹這いになって煎餅を齧っているので説得力がまるで無い。
「お姉ちゃん? どうしたの? そんなに慌てて」
一方、美女とガラステーブルを挟んだ反対側のソファーで専門雑誌を読んでいた美少女が顔を上げ、飛鳥と呼ばれた少女に視線を向ける。 こちらの美少女は細い眉やどこまでも澄んだ黒い瞳、薄く引伸ばされたピンク色の唇、髪型も茶髪のツインテールと、母親でさえ見分けが付かない程に少女と瓜二つの顔立ちだ。
「美優樹(みゆき)っ! こっ、これっ!」
飛鳥はソファーに寝転がる美女と美少女を前にせわしなく手にした葉書を掲げる。 美優樹と呼ばれた美少女は静かに雑誌を閉じ、そっとテーブルに置くと飛鳥に微笑む。
「お姉ちゃん、まずは座ったら?」
僅かに腰を浮かせて横に移動し、場所を空ける美優樹は正真正銘、今年十九歳になる飛鳥の三歳年下の妹だ。 その立ち居振る舞いは騒々しく駆け込んで来た少女と同じ血が流れているとは思えない程、優雅で落着いている。 服装も姉の飛鳥は白の半袖ブラウスに赤のチェックのミニスカート、スラリと長い足には黒のオーバーニーソックスと活動的なのに対し、妹の美優樹は深窓のお嬢様の如く全身黒を基調としたフリルの一杯付いた足首まで届く長袖のドレス(いわゆるゴスロリ衣装だ)と膝上までの白いニーソックスを身に纏っていた。 動の飛鳥、静の美優樹と、周りではそんな評判が立つ美少女姉妹なのだ。
「いったい何をそんなに慌ててんのよ? 写真って何?」
いつも元気一杯な(騒々しいとも言う)飛鳥に苦笑しつつ、ソファーから少し上体を浮かせて首を巡らす美女。
――ぷるるん♪――
すると腹這いになって潰れていた二つの丘は風船が膨らむかの様に元の大きさに戻り、着ている無地の黒Tシャツを大きく揺り動かす。 そんな柔らかそうな膨らみを目の当たりにした飛鳥は、すぐさま忌まわしい(?)Dカップの胸から視線を逸らす。 そして自分の胸の無さ(七十四センチのAカップだ)を忘れるかの様に、手にした葉書を美女の顔面に突き付けた。
「だって夏穂(かほ)叔母さんっ! 差出人がっ……」
色々な意味で興奮冷めやらぬ飛鳥が『叔母さん』と口にした瞬間、ソファーで寝転がっていた筈の美女がいつの間に少女の目の前に立っていた。
「こらっ! ウチは『叔母さん』ちゃうっ! 夏穂『お姉さん』と呼べと、何べん言ったら判んのよっ!」
自分より十センチ背の高い少女の頭上へグーパンチを振り下ろし、殺気の篭もった鋭い視線を向けて訂正を求める美女。 少女から叔母さん呼ばわりされた夏穂は、今年三十一歳になるれっきとした飛鳥の叔母である。 しかしその容貌たるや、とても三十路を越えた女性には見えない。 セミロングの蒼味掛かった黒髪はシルクの様にサラサラと流れて肩を隠し、シャープな顎のラインは理知的な印象を与えて職業が高校教諭である事を見る者全てに納得させる。 染みひとつない肌理の細かい白い肌の小顔には細い眉に黒目がちで切れ長な瞳と、薄く引き伸ばされたピンク色の唇が絶妙のバランスで配置され、その目鼻立ちの整った美顔は年齢を感じさせない若々しさを保っている。 膝上のプリーツスカートから覗く長い足は同性すら羨む美脚を誇り、身長百七十センチのスラリとした八頭身ナイスボディーと相まってどう見ても二十代そこそこにしか見えない。 姪の飛鳥と並んで商店街を歩いていても、十人中十人が二人は歳の近い姉妹だと証言する程の若さなのだ。
「いった~い……。もうっ、ぶつ事無いじゃないっ! 夏穂叔母さんは私の叔母さんなんだから、叔母さんを叔母さんと呼んで何が悪いのよぉ!」
頭を抱えて涙目で訴える飛鳥に、目くじらを立てて仁王立ちになる夏穂。 そんな二人のやり取りを黙って見ていた美優樹は、毎回繰り広げられるコント(?)に鈴が鳴るような軽やかな笑い声を上げる。
「フフフッ♪ お姉ちゃん、いくら夏穂叔母さんが美優樹達の叔母さんである事が事実でも、夏穂叔母さんは叔母さんと呼ばれる事に物凄い抵抗を感じているんだから、そう何度も夏穂叔母さんを叔母さんと呼んだら可哀想だよ?」
「美優樹……あんたが追い討ち掛けてどーすんのよ」
自分で叔母さんと連呼していた事を棚に上げ、妹のツッ込みに呆れる飛鳥。
「だって今日に限らず、お姉ちゃんが事ある毎に『叔母さん、叔母さん』って言うから、何だか可笑しくて♪」
美優樹にとって、姉の歯に衣着せない言い方は今に始まった事では無いし、むしろストレスを内面に秘めてしまう自分から見たら羨ましい性格をしているのだ。
「それに、あんまり『叔母さん、叔母さん』って言い続けると……」
「あ……」
苦笑する美優樹の視線を追って飛鳥が顔を向けると、その当人はソファーで体育座り(しかも二人に背を向けてだ)になっていじけていた。 涙目のまま両手で足を抱え、膝に顔を押し付けて何やらブツブツと呟いている。
「ふんっ! どうせウチはあんたらの叔母さんですよ~だ。……だからってこんな若くて美人で素敵なお姉さんに向かって何度も『叔母さん叔母さん』と連呼しなくたっていいじゃんかよぉ。しかも美優樹ちゃんまで……」
ソファーの座面に人差し指で『の』の字を書く夏穂の後姿に、二人の姉妹は顔を見合わせて大笑いする。 夏穂は親類縁者を含めて二人の姪から「叔母さん」と呼ばれる事を忌み嫌っていた。 何でも「叔母さん」は歳を取った女性の総称(?)である「オバサン」に通じるらしく、まだまだ若い独身美女なのに一気に老けた気にさせるので嫌なのだと言う。
「ほら、こうなっちゃう……って言いたかったんだけど、手遅れだったみたいね」
見た目は可愛い美少女なのに、意外と辛辣な事を平気で言い放つ美優樹。 もっとも本人にその意識が無いので、その毒は余計に強烈で恐ろしい。 この点は流石、飛鳥の妹だ。
「で、お姉ちゃん。その葉書、誰からなの? ポストカードみたいだけど」
「あっ! そうだったっ! これ、宏先輩から届いたのっ!」
飛鳥が夏穂と美優樹宛の葉書をそれぞれ差し出しながら宏と口にした途端、美女と美少女がすぐさま反応した。 夏穂はそれまでの態度を一変、葉書を奪い取ると頬を紅く染めながら両手を添えて読み出し、美優樹は熱い吐息を吐(つ)きながらそっと手に取り、目を閉じるとまずは自分の胸に抱き締めた。 飛鳥も美優樹の隣に座り、自分宛の葉書を改めてじっくりと眺める。
(宏先輩……やっぱり結婚したんだ)
鮮明に写された写真を見た瞬間、羨望と嫉妬、絶望と言った感情が綯い交ぜになって湧き上がる。 そこには想い人である男性(ひと)が白のタキシードに身を包み、純白のウェディングドレスを着た見覚えのある美女六人に囲まれているのだ。 写真に写る六人の美女を羨ましく思う一方で、好きな男性(ひと)を奪われた嫉妬心や自分の手の届かない世界へ行ってしまったかのような絶望感に囚われ、胸が痛い位にきつく締め付けられる。 美優樹も同じ思いなのだろう、葉書を持つ手は小さく震え、瞳を潤ませて文面と写真を交互に眺めている。
(これでもう、宏先輩を追い掛ける意味が無くなっちゃった……。わざわざ東京の大学へ行った意味も消えちゃったな……。でも、急に忘れる事なんて出来無いし……)
飛鳥が七年間に亘る宏への想いで揺れ動く中、写真に写る宏を長い間じっと見つめていた夏穂が独り言のように呟いた。
「あと……くらい…………ね」
その台詞を耳にし、意味する所を瞬時に理解したのは妹の美優樹だった。 何しろ、その知識量や頭の柔軟性たるや十六歳にして乞われて大学に入る程の才女なのだ。
「夏穂お姉さん、もしかして……」
「夏穂姉さん?」
姪から驚きと訝しむ視線を向けられているとも知らず、夏穂は手にした一通のポストカードをまじまじと見つめ、感慨深気にもう一度、今度はハッキリと呟いた。
「あと一人位増えたって、構わないわよね?」
(つづく)
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