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ライトHノベルの部屋
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~ラブラブハーレムの世界へようこそ♪~
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アンサンブル(2)
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美姉妹といっしょ♪~新婚編
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宏達が凱旋帰郷した翌日。 午後から宏の家を訪ねた夏穂達四人は笑顔で出迎えた宏に先導され、晶達の待つ十二畳の和室へ通された。 夏穂はスリムジーンズとジージャン姿、飛鳥はタータンチェックのシャツに黒のニーソと赤いミニスカ姿、美優樹は黒を基調とした裾の長いゴスロリ衣装と、みんな飾らぬ普段着だ。 宏達とは旧知の間柄なので、特に着飾るような真似はしない。 四人は部屋の奥から夏穂、飛鳥、美優樹、そして飛鳥の母の順で畏まり、大きなテーブルを挟んだ反対側には宏を前に六人の妻達も控えているのだが――。
「……なぁ、千恵ちゃん。飛鳥ちゃんのママ……多恵子(たえこ)さん、って言ったっけ? 彼女、ホントに飛鳥ちゃんのママなのか?」
「あ、いや、その~、あたいも今日初めて会ったから本物かどうか聞かれても……。でも、さっき自己紹介した時にハッキリと『飛鳥と美優樹の母です』って言ってたし……」
ほのかと千恵が困惑気味に額を突き合わせてヒソヒソと話せば、隣り合って座る晶と優の双子美女姉妹(ふたごしまい)も鳩が豆鉄砲を食らったかのような顔をしている。
(……って、ちょっと優! 何で母親が娘と同世代に見えるのよっ!? あれじゃ、どう見ても母娘(おやこ)じゃなくて、姉妹でしょうにっ!)
(……ボクに聞かれても困る。けど、妹である夏穂先生の方が年上に見えるから面白い♪ ……じゃない、不思議)
瞳だけを動かし、目線で会話する晶と優。 その表情には普段のクールさが嘘のように驚愕の(優は興味津々が混じった)色が浮かんでいる。
「うっわぁ~、何ともはや……。年上の女性に可愛い……と言っては失礼かしら? でも……やっぱり可愛い♥ としか言えないわ」
そこへ、ちょっと垂れ目がちな瞳を輝かせた真奈美の独り言も加わる。 元々、考え方が柔軟な真奈美はほのかや晶の戸惑いとは違い、純粋にひとりの女性として多恵子を見ていた。
「涼しげな瞳や鼻筋が通った顔付きなんか、さすが母娘姉妹ね。飛鳥ちゃんや美優樹ちゃん、夏穂さんと面影が似てるわ~♪」
新たなキャラの登場に、真奈美の好奇心は全開だ。
「……………………」
片や、若菜は切れ長の瞳を大きく見開き、あんぐりと口を開けたまま固まっている。 どうやら見た目のインパクトに惑わされ、何をどうして好いのか判らないらしい。 普段、冴え渡るボケが全く出てこない。 かくして、六人の妻達の視線は初対面となる多恵子ひとりに集まっていた。 それはまるで珍獣を見るかのような、はたまた捕えた宇宙人を遠目で見るかのような好奇と驚愕に満ち溢れ、宏の家の一階客間はちょっとしたミステリーゾーンと化していた。
「あ……、あはははは~」
ただひとり、以前から多恵子を知る宏だけが妻達の戸惑いに苦笑していた。
(やっぱり、みんな戸惑うし驚くよなぁ~。六年前、飛鳥ちゃんと美優樹ちゃんをみんなに初めて紹介した時以上の驚き具合だ。あの時は三つ違いなのに顔が全く同じだ、生命の神秘だ、なんて騒いだけど、今回はその比じゃないな)
宏は数年振りに逢う、後輩の母に視線を向ける。 長い黒髪をアップに纏めた多恵子は正真正銘、飛鳥と美優樹の母であり、夏穂の六歳年上の姉でもある。 にも係わらず、どう見ても飛鳥と同じ年代かそれ以下にしか見えない。
(見た目は夏穂先生より若いし、飛鳥ちゃん達の妹、と言っても十分通用するもんな~)
黒目がちな二重(ふたえ)の瞳は愛らしく、目鼻立ちの整った小顔にピンクに煌めく薄い唇がキュートだ。 額も広く、多恵子は同年代の大人よりもハイティーンに属する顔立ちなのだ。
(でも可愛いだけじゃなく、美人さんでもあるんだよな~♪)
多恵子と娘である飛鳥と美優樹を見比べると、姉妹の美貌は母親譲りなのだと好く判る。
(顔に皺は無いし、肌に張りがあって肌理細やかだし……とても三十代半ばには見えんわなぁ~。夏穂先生も二十歳(はたち)前半に見えるし……多恵子さんの家系って、年齢を感じさせない遺伝子を持っているのかも)
多恵子は今年で三十六歳になるが、十五歳と十八歳の二人の子供がいるようには到底見え無い。 飛鳥や美優樹、夏穂と並んで歩くと三姉妹、四姉妹に間違われる事が常で、夏穂が長女、次女に飛鳥と美優樹の双子姉妹、そして童顔と背の低さから末女に多恵子というラインナップに見られる事が殆どだったと言う。
(若姉より背が高い飛鳥ちゃんと美優樹ちゃんを生んだのが、千恵姉より背が低い多恵子さんなのも面白いよな~。確か……『あと少しで百五十センチに届くのに~』、って言ってたっけ)
過去の記憶も呼び覚まし、目の前の多恵子を見つめる宏。 身長は百四十八センチと、妹の夏穂より二十二センチ低く、娘二人とは三十二センチ――頭ひとつ分も違う。
(背の低さも手伝うとは言え、二十歳もサバを読んでも通用するって凄いよなぁ~。みんなが驚くのも無理はない……か。俺も最初に飛鳥ちゃんの家(うち)で逢った時は、てっきり美優樹ちゃんの妹だと思ったもんな~)
宏には妻達の取り乱す心の内が手に取るように伝わって来る。
(ま、ビックリするのは最初だけだから、もうすぐ慣れるでしょ♪ ……にしても)
宏の視線に熱が篭もる。
(多恵子さんって、独特な雰囲気持ってるよなぁ~♪)
オフホワイトのワンピースに包まれた肢体は一目でメリハリが判る程、スタイルが良い。 膨らむ所は形好く膨らみ、深紅のベルトで細く絞られている部分からその下に続くラインは誰よりも円やかなカーブを描いている。 その所為もあって、多恵子は童顔なのに肉体は熟女張りの妖艶さも同居していると言う、ある種独特なオーラを纏っているのだ。
(美人と言う点では夏穂先生や飛鳥ちゃん、美優樹ちゃんに少しも引けを取らないし、それに加えて未亡人の肩書きも持ってるから、妙~に色っぽく感じるんだよなぁ~♪)
十五歳年上の女性に対してつい、邪(よこしま)な妄想を抱いてしまう宏。 男はいつでも『未亡人』と言うキーワードに心揺さ振られるのだ。 しかも、見た目は完全に自分と同世代以下ときてる。
(ロリっ娘未亡人の濡れた昼下がり……なんちて♪)
あれやこれやと淫靡な妄想を繰り広げていたら、素直な股間が反応し始めた。 昨夜の打ち止め(イッたものの精液が一滴しか出ず、子宮に貰い損ねた真奈美が号泣した)もなんのその、パンツの中で火が点くや否やムクムクと膨張し、青筋を立て始める。 そんな鼻の下をのばした宏に、優が眉根を寄せて背中を突(つつ)いた(爪が背中に食い込んだ)。
「……ヒロクンっ! 鼻の下、伸びてるっ」
「い゛っ!? あっ、うん。……ごめん」
我に返った宏は優に視線を向け、小さく謝る(余りの痛さに愚息は急速に鎮火した)。 宏のニヤケた顔が優には面白く無かったようだ。 晶も優と同じ(若干、嫉妬の篭った)視線を向けて来るが、二人とも多恵子と言う新キャラに注意が奪われて宏の妄想までは読み取れなかったらしい。
「えっと、それじゃ……夏穂先生のお願い事、とは?」
宏は場の空気を一新させ、訪問の真意を尋ねる。 夏穂を始め飛鳥と美優樹、特に多恵子は晒し者になっていたかのような状況に顔をやや伏せて縮こまっていたが、本来の目的を思い出して背筋を伸ばす。
「実はね……」
夏穂は形好い眉を少しだけひそめ、二ヶ月前に起こった学生寮での一件から静かに語り出す。 そして今に至るまでの状況を事細かに、包み隠さず説明する。 休職中とは言え、さすが高校教諭だけあって事実のみを判り易く話し、自分の感情は一切、表に出さない。 その上で、夏穂は宏に下宿の件――若しくは物件の紹介を申し出た。 飛鳥と美優樹も神妙な顔付きで窮状を訴え、最後に多恵子が飛鳥と美優樹の保護責任者として深々と頭を下げ(夏穂と飛鳥、美優樹も三つ指付いて頭を下げた)、力添えを願った。
☆ ☆ ☆
夏穂の長い話を聞き終え、一同の間に漂っていた緊張の糸が緩む。 ぬるくなったお茶を啜り、どこかホッとした空気が部屋に漂う。 妻達の、飛鳥や美優樹が無事だった事への安堵の吐息なのだ。 元よりみんな優しく、気の好い連中なのだ。
「なるほど……事情は判りました。飛鳥ちゃん、大変な目に遭ってたんだね。大きな怪我しなくて好かったよ。美優樹ちゃんも入学早々、悪い寮に当たっちゃったね。そっか~、みんなの下宿先……かぁ」
座布団の上で胡座を掻き、首を傾げながら腕組みして唸る宏。 飛鳥と美優樹は宏からの労(ねぎら)いに頬を赤く染めて素直に喜ぶが、夏穂は宏の眉根が寄るのを見て手を小さく振る。
「あ~、無理に、とは言わないから。無理なら無理で諦めて自分達で物件探すから。ね、だからそんなに深く考え込まないでいいからさ♪」
夏穂の軽い言い回しに、美優樹が眉をひそめて叔母にツッ込む。
「夏穂お姉さん、無茶言ってる。深く考えなきゃいけない事を持ち込んだのはこっちなのに……。あの……宏さん、ごめんなさい。夏穂お姉さんの事は気にしないで下さい」
美優樹は好きな男性(ひと)から気遣われて嬉しいものの、再会した直後にやっかい事を押し付けた自分達がとてつもなく非常識に思えて来た。 自然と身体全体が縮こまり、声も小さくなってしまう。 しかし、宏は宏で口に出せない事情を抱えていた。
(ホントなら声を大にして快諾する所なんだけど……屋敷を土地ごと買い取って増改築している最中……なんてコト、みんなには内緒なんだよなぁ。これこそがハネム~ン最後にして最大のサプライズだし。ん~~~~、部屋自体は二階をパーテーションで区切れば何とかなるけど……下手に承諾して部屋割りとかに話が向くとネタバレの恐れがあるし……どうしよう)
言葉を発する事無く、ただただ唸って上体を左右に揺らす宏。 と、後ろで控えていた晶がいつまでも返事をしない宏に焦れて背中を突(つつ)いた。 とにかく何か返事しろ、との催促らしい。
(にしても……)
さっきの優と言い、今の晶と言い、同じ場所を同じ力加減で同じ回数突(つつ)くのはさすが双子だけある。 ……などと感心していたら、今度はもっと強い力で背中を突(つつ)かれた(つぷり、と爪が刺さる音がした)。 しかし簡単にイエスと言えない事情もあり、宏は無言を押し通す事しか出来無い。
「あ、あの! 突然な事ですし、今すぐここで返事をする訳にはいかないみたいなので、今日の所はこの辺で……」
「でも~、後期授業に間に合う為には今月末迄には引っ越さないとマズいんでしょ~? だったら今ここで決めちゃった方が好いと思うよ~。何だったら~、私達が引っ越しを手伝ってそのまま東京へ帰っても好いんだし~♪」
見るに見かねた千恵が取り敢えず保留の形を取ったらと提案しかけたものの、普段ボケボケ(?)な若菜が至極ごもっともな意見を挟むものだから、宏をより追い詰める方向へと変えてしまう。
(そう、若姉の言う通りなんだよなぁ~。飛鳥ちゃんや美優樹ちゃんの事を思えばすぐにでもOKしたいけど……来月下旬にならないと増築工事は終了しないんだよな~。だから今すぐに引っ越ししたいとか予定を早めて帰る、とか言われても困る……と言うよか無理なんだよ~)
宏の頭の中では、今月と来月は妻達の実家を訪ね歩いてそれぞれの親戚等と親睦を深めつつ工事の時間を稼ぎ、十月の最終週に工事終了と共に帰京して新たな屋敷をみんなにお披露目! と言うスケジュールが組まれていた。 二ヶ月前の人前結婚式から今日の午前中まで全て予定通りに物事が進んでいただけに、夏穂の申し出は晴天の霹靂であり、今後の舵取りが非常に難しいものとなってしまった。
(ん~~~~、拙いっ! ひっじょ~に拙いぞ、こりゃ。む~~~~、ホント、どうしよう……)
宏は内心、頭を掻き毟って悶えた。 夏穂達を助ける為には増改築のサプライズを全員にバラさないといけないし、サプライズを優先させると夏穂達が路頭に迷う。
「う゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~む゛」
宏は腕を組み、眉根に深い谷を刻んで目を瞑ったまま動かなくなった。
(つづく)
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