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 ライトHノベルの部屋  ライトHノベルの部屋  ライトHノベルの部屋
     ~ラブラブハーレムの世界へようこそ♪~


恋風(5) 恋風(5) 美姉妹といっしょ♪~新婚編
 
「ふふっ♪ それじゃ、いっただっきま~~~~すっ♪ ……ぱくっ♥」

「どれどれ……♪ 今日の宏のペニスは……おぉっ! いつも通りビッグだな♥ ……あむっ♪」

「ちょっとっ! もうガマン汁が溢れてるじゃないっ。……やっぱり、宏にはあたいがいないとダメね♥ ……はむっ♥」

 ショーツを脱いで一糸纏わぬ姿になった美女三人は瞳を妖しく光らせ、臨戦態勢の整ったイチモツ目掛けて一斉に食い付いた。

「あぁ! きっ、気持ち好い! 若姉、ほのかさん、千恵姉の舌がそれぞれ蠢いて……っ!」

 布団の上で大の字に横たわる宏は、三枚の舌による三種類の動きに思わず腰を浮かせる。
 亀頭裏の筋が集まる所を重点的に舐め擦る者、裏筋を根本から亀頭裏まで舐め上げる者、鈴口に舌先を突っ込んでカウパー汁を強制的に啜る者など、それぞれが強烈な刺激を送り込んで来るのだ。

「うふ♪ 宏ちゃんのおちんちん、今日も美味しいよぉ~。それじゃ、た~~~っぷりと御奉仕してあげるね♥」

 宏の右側で横たわり、完全勃起した竿の右側でいくつも浮き出た青黒い血管に唾液で湿らせた舌先を這わせる若菜。
 尖らせた舌先を小刻みに震わせ、絶妙なバイブレーションをも与えてゆく。

「あぁ、この張り出たカリの具合はどうだ!? この段差がオレ達のGスポットを擦り上げて、あっという間にアクメへと導いてくれるんだぜ♪ それにこの……どんどん湧き出すトロトロのおつゆが何とも言えない旨さでさ♥」

 宏に覆い被さり、張り詰めた亀頭を頬張ってガマン汁を美味しそうに啜るほのか。
 吸引しながらカウパー氏腺液に濡れ光る唇でカリの段差を扱き、舌全体を使って亀頭を舐め回してゆく。

「あんっ! 宏のオチンチン、こんなガチガチに勃起させて……御奉仕のし甲斐があるわね♪」

 宏の左側で横向きに寝そべり、弓なりに反り返った竿の左側に唇を寄せ、灼けた鉄棒と化した肉棒を甘噛みする千恵。
 ペニスにキスマークを付けるが如くきつく吸い付き、甘噛みしたまま顎を左右に動かして海綿体を刺激する。
 いずれも顔を宏の股間に、腰を宏の顔へ向ける三者三様のシックスナインだ。

「うぅ、トリプルフェラは何度されても効くなぁ。それぞれの動きはバラバラなのに送り込まれる快感は三位一体となって……たまらんっ!」

 仰向けのまま、思わず腰を浮かせて更なるフェラを要求する宏。
 三人の淫魔達も、夫の要求に応えて一本の竿のありとあらゆる部分を持ち回りで攻め立てる。

「ほらっ。こうやって……おつゆが出る穴をほじってやるぜ♪」

 鈴口に尖らせた舌先を突っ込み、回転させるとそのまま裏筋を舐め下がるほのか。

「裏筋をこんなに膨らませて……だらしないわねっ♪ 特にこの筋が集まってる場所なんか……すごくエッチっ♥」

 チュッチュッと熱いキスを繰り返しながら根本から亀頭裏へ唇と舌先を這わせる千恵。

「あんっ♥ ここに宏ちゃんの子種がい~~~っぱい詰まってるんだね~。……あむっ♥」

 震わせた舌先を睾丸へと当て、口に含むと舌の上で陰嚢を転がす若菜。
 ついでに目の前の菊座を優しく、しかし執拗に擦りつつバイブレーションを効かす事も忘れない。
 いずれも、夫の性感ポイントを知り尽くした愛情たっぷりな御奉仕フェラだ。

「くぅ~~~~、だんだんフェラが激しくなって……このままじゃ……」

 快感のツボを押しまくる妻達の御奉仕(口撃?)に、宏は射精を必死に堪(こら)える。
 それぞれの口からもたらされる性電気が前立腺を盛んに刺激し、脊髄を駆け抜けて脳天を痺れさせるのだ。
 部屋は唾液とカウパーが交じり合う音や啜る音で満ち溢れ、荒い鼻息さえも聞こえて来た。
 三人の美女が勃起肉を頬張り、扱き上げる早さが倍増していたのだ。
 最初は単純に御奉仕と言った感じだったが、どうやら己の身体の火照りと共に精液を求める方向へといつの間にかシフトしたようだ。
 三人共、身体をほんのりと赤く染め、全身に細かい汗を浮かべた完全な発情状態になっている。

「……ならばっ!」

 唾液を啜る音に交じり、新たに粘着質な水音が聞こえ出す。
 宏の両手が左右で横たわる美女の淫裂を捉えたのだ。

「こっちからも攻めちゃる! それにしても……いやぁ~~~絶景かな絶景かな♥」

 仰向けになった宏の目の前にはほのか、右には若菜、左には千恵の、それぞれ涎を垂らしている無毛の淫裂が丸見えなのだ。

「若姉のオマンコはいつ見てもグリーンピースみたいなクリが大きく膨らんでいるし、ワレメからはみ出たピンク色のビラビラが濡れ光った蝶の羽みたいに拡がって……すっごくスケベなオマンコだよな~♪」

 言いつつ、人差し指で膣口を掻き回しつつ親指でコリコリに硬くなった秘核の周囲を軽くなぞる。
 そして中指は御奉仕のお返しとばかり菊座に宛がい、細かいバイブレーションを与える。
 しかし、アクメには導かない。

「あひゃんっ! ひっ、宏ちゃん! そんな焦らさないでぇ~。御奉仕出来無くなっちゃうぅ~~~っ」

 勃起肉から唇を外し、腰と内腿を震わせつつ鼻に掛かった甘え声を上げる若菜。
 紅真珠、秘孔、菊門の三点同時攻撃で高みに昇ったまま、アクメの一歩手前で足踏みさせられているのだ。
 更なる刺激を求めてか、噴き出す愛液が宏の右手首までしとどに濡らしている。

「うわっ、ほのかさんのオマンコ、全く弄ってないのにパックリと開いて……。ほら、クリがズル剥けになってピクピク震えてるし、大量の蜜で塗されたラヴィアは充血して肉厚のステーキみたくなってる♪ おしっこの穴も処女膜の残り片も丸見えになって……あ、また落ちて来た」

「こっ、こらぁっ! そんなコト、言うんじゃねぇっ! はっ、恥ずかしいだろっ!」

 長い漆黒の髪を振り乱す若菜の悶え様に加え、宏の実況中継により己の状態を知らされたほのかは羞恥で耳まで真っ赤に染まる。
 透明なピンク色の秘唇は小刻みに蠢めき、ぽっかりと空いた淫孔からは白い本気汁がトロトロと溢れ出して宏の口を直撃する。

「もうっ、止め処もなく溢れて……しょうがないなぁ♪」

 ハーフ美女が恥じらう姿にほくそ笑んだ宏は唇に落ちた温かな蜜をペロリと舐め、そのまま完熟フルーツと化したほのかの淫裂へとむしゃぶりつく。
 綺麗に剃り上げたほのかの股間は陶磁器の様にツルツルで、邪魔な陰毛が無いお陰で肌触りがもの凄く好い。

「はひぃっ! そ、そんな音を立てて啜るんじゃねえっ! あ、あ、あっ、そ、そんなトコ、噛むんじゃ……あぁ! ラヴィア噛んだまま引っ張るなぁ! の、伸びちゃう! ラヴィアが伸びて……元に戻らなくなっちゃうっ! ひぐぅっ!」

 愛液の滴る秘唇を甘噛みし、そのまま引っ張る宏に、ほのかは勃起肉を深く咥えたままおとがいを反らす。
 すると長い金髪がピンクに色付いた肢体を覆い、汗の浮かぶ肌に貼り付いてゆく。
 しかし、宏はほのかがアクメを迎える寸前でパッと唇を外してしまう。

「あぁっ! なんでっ!? もうちょっとでイケたのにっ!」

 絶頂寸前の焦れったさで膝が震え、汗で薄っすらと濡れ光る全身をも小刻みに震わせるほのか。
 宏は、若菜に続いて寸止めをかましたのだ。

「はぅっ! チンポが抜けちゃうよっ! ほのかさん、吸い口がキツいっ!」

 咥えた肉槍を決して離さない貪欲なほのかに、宏は思わず苦笑する。
 そんな蕩けた宏へ抗議するかのように、陰嚢を手の平で転がしつつ竿の左側に唇を寄せていた千恵が少々きつめの甘噛みをして来た。

「宏、あたいのオマンコもちゃんと弄ってっ。宏と一緒じゃなきゃイヤぁ!」

 蕩け切った声で、勃起肉に甘く語り掛ける千恵。
 姐御肌で誰からも頼りにされる千恵だが、甘えた声で擦り寄る幼馴染の可愛らしさに、宏はおろそかになっていた左手の動きを再開させる。

「あぁ、千恵姉のパイパンマンコ、いつ触っても気持ち好いよっ♪」

 剃り残しの無いツルツルの恥丘を指先で撫で、女の割れ目に中指を宛がって花園全体を手の平に収める宏。
 人差し指と薬指で大陰唇を押さえつつ、秘裂全体を回転させるようにゆっくりと揉みしだく。
 すると、千恵の股間は堰き止めていたローションをぶちまけたかのように一気に濡れそぼり、溢れた白蜜は内腿へと流れ落ちてゆく。

「はぁんっ! 宏の手、優しいっ!!」

 宏が中指を淫裂の中で泳がせる度にクチュクチュと淫猥な水音と感悦の声が上がり、攻められる千恵の全身に細かい汗が一斉に吹き出して来る。
 火照って朱(あか)く染まった肢体が汗で濡れ光り、行燈に照らされて浮かび上がるその姿は妖艶な女、そのものだ。

「あぁ、千恵姉の肉厚大陰唇が中指を挟んで……まるで素股されてるみたいで気持ち好いよ!」

 好きな男性(ひと)から寄せられる賞賛の声が千恵を更に熱く火照らせ、歓喜の声を奏でさせる。

「あんっ、う、嬉しいっ! 宏があたいの身体で……悦んでくれてるっ! ……あぁ!」

 千恵の股間は吸い付くような肌触りが抜群に好く、産毛の一本も見当たらない。
 そのお陰で蜜に濡れた指がより滑らかに動き、割れ目の中の構造や媚粘膜に刻まれた襞の一本一本までもブラインドタッチで判る程だ。

「やだっ! お豆をちゃんと弄ってっ! あ、あ゛、あっ……他のトコも……触ってぇ!」

 千恵の切羽詰まった鳴き声が部屋に木霊し、宏の左手が潮でびっしょりに濡れてしまう。
 どうやら、指の根本が肉真珠を掠めただけで潮吹きを誘発したようだ。
 しかし、千恵にとってはまだ刺激が足りない。

「宏、もっと! もっと弄ってぇ! もっと強く弄ってぇ!」

 アクメを迎えたいが、意地悪な宏はなかなか肉芽や膣肉を弄ってくれない。
 膣前庭に指先を泳がせたまま、軽く撫で擦るだけなのだ。

「あん、焦らしちゃイヤぁっ! 宏ぃ、いっぱいイカせてぇ~~~!」

 姉の切ない声が、イキそうでイケない若菜の情欲を激しく揺さ振る。

「ひ、宏ちゃん! やだやだっ、クリの周りだけ弄らないで~! クリ触ってぇ! ビラビラも弄ってっ! 膣内(なか)に指をツッ込んでぇ~! 一緒にイキたいのぉ~~~っ!!」

「ひ、宏! 膣内(なか)も弄ってぇ! 膣内(なか)にも欲しいのぉ!」

 切れ長の瞳に薄っすらと涙を浮かべた若菜のリクエストに、千恵の弾けた欲望が重なってゆく。
 己の欲望を前面に出し、宏への御奉仕は忘却の彼方へと消えている双子姉妹。
 口の端から涎を垂らし、全身を小刻みに痙攣させているのは、これまで何度も何度も寸止めを食らっている影響だ。

「後生だからっ! 宏ちゃん! イカせてぇ! お願いだからぁ~~~っ!! 何でも言うコト聞くから、イカせてぇ~~~~~!!」

「宏、宏~~~っ!! 精液ちょうだいっ! あたいのオマンコに一杯注いでぇ~~っ!」

 我慢し切れなくなった若菜が涙目で絶叫し、この勃起肉が膣内(なか)に欲しいと亀頭にむしゃぶりつく。
 漆黒の髪を振り乱し、顔を激しく上下させて喉奥まで使ったハードなディープスロートだ。
 千恵は竿の根本をキツく握ったまま精液の詰まった陰嚢にしゃぶり付き、反り返ったペニスの根本を扱いたまま我を失っている。
 宏は幼馴染で双子姉妹の乱れ様に心が弾み、わざと指の動きを緩やかにする。

「「やだやだっ! 早くイカせてぇ~~~~っ!!」」

 双子ならではの息もピッタリな台詞に、勃起肉を完全に奪われたほのかがタラリと冷や汗を一粒、浮かべる。

「ひ、宏って、時々、ドSになるよな。昨日、晶に散々搾り尽くされた反動か? まぁ、どっちの宏も好きだし、エッチも気持ち好いからいいけどさ」

 宏に覆い被さったままのほのかが呟くように口にすると、宏が千恵と若菜の無毛の股間から手を抜いて応えた。

「むふふ♪ それじゃ、ほのかさんからじっくりたっぷり、イカせてあげる♪」

 宏が向けた視線の先には多数のタオルと浴衣の帯、それと三つのアイマスクが用意されていた。
 それまでの甘いムードはどこへやら。
 宏への御奉仕が一転、一方的に攻められる形になっている。

「って、オレからっ!? しかも、ソフトSM!? あ、いや、ちょっと待ってっ! オレはもう可愛がって貰えたから充分……なっ、話せば判る! な、な、落ち着いて話そう……って、うわぁぁぁぁぁあああっ!」

 思わず素(?)に戻ったほのかは、目の色が変わっていた宏から逃れようとしたが一歩遅かった。
 いつの間に入れ替わったのか、宏がマウントポジションに着いていたのだ。
 どうやら散々寸止めを食らい、腰が抜けて全く動けなかった事が災いしたらしい。

「ひぁぁぁぁぁぁああああああっ!! ~~~~~~♥」

 ほのかの絶望的(でも、ちょっと嬉しそう)な尻上がりの哭声――最後は甘い声――が屋敷に響き、イキかけている千恵と若菜の美姉妹を(期待で)震わせた。


     ☆     ☆     ☆


 その頃。

 ……うふん……はぅ……んん……はぁん……あぁっ!

「!!」

 机に向かってレポートを纏めていた飛鳥は、どこからか聞こえた微かな声に一瞬息を呑み、すぐに深い溜め息を吐(つ)く。
 机の上に置いた時計を見ると、少し前に日付が替わっている。
 それまで一心に動かしていたペンを止め、隣で課題を仕上げていた妹にそっと声を掛ける。

「ねぇ、美優樹。宏先輩と一緒に暮らし始めて一週間経つけど、ここ最近、こう……もやもやっ、として陰鬱な気分になるのは……どうしてかな?」

 形好い眉をハの字に下げ、自嘲気味に呟く飛鳥。
 しかし、心当たりが無い訳では無い。
 ただ、確認したかっただけなのだ。
 そんな姉の物悲しい声に、妹の美優樹もペンを止めて向き直る。

「お姉ちゃんもそうだったんだ。美優樹も、宏さんといられる嬉しさで毎日が明るくて楽しい、と思ってたんだけど、実際は切なく想う日が多くなってるの」

 ゴスロリ衣装の美少女が愁いを帯びた表情で力無く笑う様は、切れ長の瞳に哀しさを湛えた飛鳥よりも深刻そうに映る。
 見つめ合う二人は同時に顔を下に向け、今なお漏れ聞こえて来る喘ぎ声の発生源へと視線を移す。

「あんっ! いいっ! このままっ……膣内(なか)にっ……膣内に射精(だ)してっ! はぁあんっ! やっと……イクっ~~~っ!」

 視線を向けた事により、心なしかさっきよりもハッキリと声が聞こえるのは――気のせいだろうか。

「……これって、若菜先輩の声……だよね?」

「……うん、たぶん。あと……ほのかさんと……千恵さんもいるみたい」

 姉妹は同時に目元を赤く染め、同じタイミングで肩を小さく竦める。
 二人に宛がわれた部屋は若菜の部屋の真上にあるので、女の悦びの声が廊下や階段を伝って聞こえて来るのだ。
 普段なら階下の音は全く聞こえないが、ここまで声が届くのは廊下に面した襖を少し開けてあるに違いない。
 どうやら、今夜も数人で寝床を共にしているようだ。

「あ~ぁ。何だか……思っていた事と実際に遭遇するのでは、天と地ほども違うねっ」

 飛鳥はペンを机に投げ出すと両手を頭の上で組んで大きく伸びをし、少し声を大にする。
 このまま男女の――宏が絡む睦み事の声を聞きたくなかったのだ。

「宏先輩は新婚さんだし、夫婦の間に、その……えっと……え、エッチが伴う事は……下宿が決まった時に頭の中では十分承知していた筈なんだけど、実際に毎晩、宏先輩が女性と……その……してる……声を耳にすると、自分の気持ちとどう折り合いを付けて好いのか判らなくなるのよねー」

 恥ずかしさから顔を赤らめ、エッチの部分は思わず早口になり、肝心な部分は声が小さくなる飛鳥。
 性に興味はあっても、実際に口にするのとは別物なのだ。

「……うん。好きな男性(ひと)が傍にいるだけで喜んでいた自分が嘘みたい。何だか、宏さんとの間に見えない壁が立ち塞がったみたい」

 美優樹もペンを置き、椅子の背もたれに大きく寄り掛かって溜め息を吐(つ)く。
 心なしか視線が俯き、表情も曇りがちだ。

「美優樹もお姉ちゃんと同じく、心に想う男性(ひと)が毎晩のように女性を抱いている事が何とも切なく、辛く心にのし掛かって来ちゃうの。……たとえ、それが奥さんだと判っていてもね」

「あ、美優樹もそう感じてたんだ。実は私もそうだったんだ~。思った以上に宏先輩が遠い存在になってた……って言うか、近付きたくても近づけない、みたいな。それが何とも……そう、切ないのよ。切なさが辛いのよ」

 心が晴れない理由を改めて確認する事になったツインテール姉妹。
 長く伸ばした茶色の髪が小さく揺れ、力無く背中を流れ落ちる。
 二人は顔を寄せ、額を突き合わせてヒソヒソと声を潜めていたつもりだったが、その内容は隣のブース(区画)に筒抜けだったようだ。
 自分達のブースと隣を半分区切るパーティションからニヤケ顔の夏穂が頭半分、覗かせていたのだ。

     ※     ※     ※

 夏穂、飛鳥、美優樹の三人は二階の五区画の内、最も東側の一区画――およそ十四畳分だ――を夏穂が使い、その隣の区画を飛鳥と美優樹で使うことにした。
 夏穂は社会人として個室が必要との判断でそうしたのだが、飛鳥と美優樹は二人で一部屋にしたいと宏に申し出た。
 姉妹が一区画ずつ使わせて貰うと、それぞれ十四畳、十八畳分の大きさになり、実家の六畳部屋や寮の四畳半部屋に馴れ切っていた身では広過ぎて逆に落ち着かないのだ。
 それに、二階の六割近く――およそ四十四畳分――をたった三人で使う事に躊躇いがあったのも事実だ。

「狭い方が好いだなんて、貧乏性ね~。せっかく広いスペースがあるんだから、遠慮無く使わせて貰えばいいのに。……まぁ、気持ちは判らなくは無いけど」

 叔母からは大いに笑われたが、大学(がっこう)との往復と勉強中心の生活ならば、むしろ二人一緒の方が好いと判断したのだ。
 宏や諸先輩方からは、遠慮するな、好きに使って好い、と散々言われたが、言葉だけありがたく頂戴するにとどめた。
 大学には互いの家に泊まって遊ぶような親しい友人がまだいない事も、個室に拘らない理由となった。

「あははっ! 部屋に入った右手前に棚があって右の壁際にベッド、左側にはトイレと洗面台への扉で、奥の窓際に机が二つ並んでるなんざ、まるでホテルのツインルームだな」

 ベッドや机の設置を手伝ってくれたほのかが豪快に笑い、宏も情け容赦無いほのかの言葉に苦笑した。
 確かに、機能性を重視すれば、ホテルと同じ作りになってしまう。

「でも、これから四年近く暮らすのに、これじゃ快適性に欠けるんじゃ……」

 余りの質素さに眉を寄せる宏に、美優樹は満面の笑みで応えた。

「いえ、むしろ寮生活より格段に生活環境が向上していますし、これだけでも美優樹達には御の字です。お気遣いありがとうございます」

「宏先輩、下宿させて貰っているだけでもありがたいです。私達はこれで充分過ごせますから。……あの、ありがとうございます」

 寄せられる厚意に深々と腰を折る美優樹と飛鳥。
 姉妹の使う区画は十四畳分あるので、二人で生活する分には全く不自由は無いのだ。

「そっか、二人がそう言うなら、これ以上強くは言わない。でも、何か足りない物とかあったら遠慮無く言ってね」

 宏の暖かい言葉と爽やかな笑顔――ウィンク付きに、目元を赤く染める姉妹だった。

「ウチは寝泊まりさえ出来れば文句言わないから。それに、可愛い姪っ子達とも楽しく過ごしたいし♪」

 一方、夏穂は飛鳥達のブースと完全に区切る必要はないと言い、机と椅子の奥行き分だけパーティションを残した。
 つまり、二区画分を三人で一部屋として使う事にしたのだ。
 宏と若菜を顎でこき使いつつ、廊下から入って左側――東向きの窓際にベッドを置き、バルコニーへ出られる南向きの窓を間に挟んで右際に机と本棚を置いた。

「なんだか、どこぞのIT企業のオフィスを見ているようね」

 見物に来た晶が笑いながら零したように、夏穂の過ごす部屋はオフィスで個々のデスクをパーティションで区切っている形に近いレイアウトとなった。
 夏穂達は窓に向かって机が三つ並ぶ形とし、夏穂と飛鳥の机の間で区画を分けていた。
 もちろん、廊下と各ブースの間には磨りガラス付きの引き戸がちゃんと付いているし、廊下側の窓には厚手のカーテンも付いているので必要最低限のプライバシーは確保出来ている。
 飛鳥と美優樹は、

「美優樹達、勉強の為に下宿させて貰うのだから個々に部屋は要りません。それに、夏穂お姉さんといつでもお話出来るので、こっちの方が好いです」

 と、個人的空間を持つことに頓着しなかった。
 その机を分けるパーティションから、夏穂が顔を覗かせていたのだ。

     ※     ※     ※

「いつまでも心にモヤモヤを抱える位なら、さっさと宏クンに告白して晶ちゃん達の輪に加わればいいじゃん♪」

 姪の密談(?)を聞き付けた夏穂が姉妹の会話に加わって来た。
 突然降って湧いた声に驚いた二人が顔を上げると、ローラー付きの椅子に座ったまま近寄る叔母の姿があった。
 赤地に白のラインが入ったジャージを纏うその姿は、まるで人気学園ドラマや映画にもなった女教師、そのものだ。

「なんだったら、ウチが仲介してあげようか~?」

 自分の恋心はさておき、左手に缶ビールを持ったまま右手に持ったペンの頭で飛鳥や美優樹を指し、お気楽な口調で姪を煽っている。
 顔をほんのりと赤く染めているのは、どうやら何本もの缶ビールを傾けながら書類作成していたようだ。
 夏穂のデスク周りには、飲み干されたビール缶がいくつも転がっている。

「叔母さんっ!? いつから聞いて……って、そんな! 告白なんて、恥ずかしくて無理っ……」

 話を聞かれた恥ずかしさと大胆な提案に驚いた飛鳥がつい、禁句を口にしてしまう。
 すると、不躾な姪の言葉に缶ビールがメキョメキョと音を立てて握り潰され、鬼の形相になった夏穂がペンを突き付けた。

「こらっ! 叔母さんちゃうっ!!」

 飛鳥の言葉を遮ると黒目がちな瞳を吊り上げ、椅子に座ったまま更に迫って来る。
 心なしかセミロングの髪が蠢いて見えるのは――気のせいだと思う事にする。

「ウチの事は『お姉さん』と呼ばんかいっ! ウチは『夏穂お姉さん』だと、何回言えば判るのよっ!」

 心底嫌そうに『叔母さん』と口にする夏穂に、飛鳥が慌てて訂正(御機嫌伺い)する。

「あ、いや、だから……綺麗で若々しくて素敵な夏穂姉さん! その……私達の話、聞いてたの?」

「……な~んか、嫌みったらしく聞こえるんだけど……気のせいかしら」

 眉根を寄せ、椅子に座ったまま一歩下がる夏穂に、美優樹がやれやれ、と首を振る。
 今の叔母の態度は、街の酔っ払いオヤジが難癖付けて絡んでいる姿に他ならない。

「まぁまぁ。お姉ちゃんは本気で夏穂お姉さんの事を叔母さんと言った訳じゃないんだから、真剣に叔母さんと取らなくても好いかと思うよ? それに、叔母さんと呼ばれても叔母さんのような歳じゃないんだし」

「……あんたの方が『叔母さん』と連呼してんじゃん」

 美優樹のフォローになってないフォローに、見かねた姉がすかさずツッ込む。
 しかし、夏穂の受けたダメージは姪の想像を遥かに凌駕していたらしい。

「……ぐっすん」

 涙目で俯く夏穂・三十歳。
 椅子の上に(器用にも)体育座りし、人差し指同士を突き合わせて顔を俯けてしまう夏穂。
 姪からの『叔母さん』攻撃には、とことん打たれ弱い叔母だった。

「あ~あ、いじけちゃった。まったく、しょうがない……っ!?」

 苦笑する飛鳥の言葉を遮り、よく知る男性(ひと)の低い声が突然、割り込んで来た。

「あぅっ! だっ、射精する(だす)よっ! みんなの膣内(なか)にっ……でっ、射精す(で)るっ!!」

 殊更ハッキリと聞こえた台詞に、飛鳥と美優樹は心臓が握り潰されたかのような強い胸の痛みを覚えた。

                                            (つづく)

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