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ライトHノベルの部屋
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~ラブラブハーレムの世界へようこそ♪~
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恋模様(4)
恋模様(4)
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美姉妹といっしょ♪~新婚編
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「暇だ」
「……暇、だね」
「ホント、暇」
「……どうして暇に?」
「暇になったからです」
五月晴れの、とある平日の午後。 千恵はリビングのソファーに半ばぼんやりとしたまま腰掛け、対面に座る優と禅問答のようなやりとりをしていた。 いつもは株価をチェックしている優も、今は千恵同様に何をするでも無く時間を持て余していた。
「……だったら、ミケクンと遊んでようかな。で、ミケクンは?」
「ニャンコですか? 午前中は真奈美さんの後に付いてウロウロしてたようですが……そう言えばどこ行ったんだろ? リビングには……いませんね」
「……お昼ご飯上げた時はいたよね」
「はい、みんなと一緒に食べてました。それからは……あたいも見てません。家(うち)の中にいなければ、たぶん外で遊んでるかと」
「……そっか。縁側に座って日向ぼっこしながらミケクンを膝に載せてまったりしたかったのに」
「それじゃ、まるでリタイアしたご老体のようですが……。でも、確かにニャンコはいつも晶さんか真奈美さん、時々、宏の膝の上で丸くなってるか、それ以外はソファーで寝てるかですもんね」
温かく穏やかな風が開け放たれた窓からリビングを駆け抜けると二人の黒髪を優しく撫で、垣根を軽く揺らす音と小鳥のさえずりが千恵と優の耳に心地好く届いても来る。
「……ミケクンにも選ぶ自由がある、ってコトだね。どうやらミケクンは、ボク達は眼中に無いらしい」
「そ、そう言う風に聞くと、あたいらでは不満なように聞こえますが?」
「……ま、仕方無い。ミケクンにとって真奈美は命の恩人。他の人間が無理矢理構うのは、好く無い」
「そうですね。こちらが何だかんだ構ったり遊んだりしても、ニャンコにとって居心地が好い方を好むし膝に乗るんでしょうから」
「……うむ。ま、今やすっかりとこのお屋敷を根城にしているし、ボク達と遊んでもくれるだけでも儲け物」
「あ、あははは……何だか、あたいらでは力不足、って感じですね」
可愛がっているのに相手にされず、思いっ切り脱力する千恵。 眉が八の字に下がり、がっくりと頭(こうべ)を垂れると腰まで届くポニーテールがサラリと背中を滑り落ちてゆく。
「……気にしない気にしない。ミケクンにはミケクンの意思がある。そもそも、猫は人では無く屋敷に懐くと言う」
「あ、それ、田舎(むこう)にいる時にも聞いた事あります。引っ越しする時に飼い猫を連れて行っても、元の家に戻ってしまう、って」
「……ミケクンは猫にしておくのが惜しい程、頭が好くて賢い。ちょっとやそっとじゃこのお屋敷は勿論、真奈美やボク達から離れる事は無いだろうから、自然な流れのまま接すれば、そのうち膝に乗ってくれるようになる」
「ですね~。あの可愛らしい姿を見てるだけでも癒されますし♪」
「……そう言う事。……………………それにしても暇だね」
諦めたように優がソファーの背もたれに深く沈むと、千恵は苦笑いを浮かべた。
「い、いきなり現実に戻りましたね。まぁ、実際、する事無くなっちゃいましたし」
「……お風呂掃除は?」
「飛鳥ちゃんと美優樹ちゃんが、『今日は二コマ目からなので』と、大学(がっこう)行く前に手伝ってくれたので、タイルの目地から天井の隅のカビとかすっかり落ちて新品同様、ピッカピカになってます」
「……トイレ掃除は?」
「お風呂掃除の間に、多恵子さんがあっという間に四箇所全部、仕上げちゃいました」
千恵は感嘆の息を漏らし、ひょいと肩を竦めた。
「流石と言うか何と言うか、飛鳥ちゃんと美優樹ちゃんを立派に育て上げ、長らく主婦をこなしていたからこその手際好さ、なんでしょうね。無駄な動きが一切無くて参考になります」
「……なるほど、ボクも主婦の端くれとして大いに見習わなきゃ。じゃぁ、キッチンの掃除とメンテは?」
「こっちも午前中に若菜がやり終えてます」
「……備品の点検や補充はどうなって――」
「あたいが昨日のうちに済ませてあります。今日の昼前に補充品も届けられたので既に仕舞ってあります」
「……リビングや廊下の掃除――」
「優さんと真奈美さんが二階で洗濯物を干している間に、多恵子さんとあたいとでやっておきました」
「……そうだった。……………………あ、それじゃ生鮮品の買い出し――」
「若菜と真奈美さんと多恵子さんが行ってるので、あと小一時間は帰らないと思います。夕飯の仕込みやお風呂の準備は三人が帰ってからになります。ついでに言うと、社会人組の帰宅予定は十八時過ぎ、飛鳥ちゃんと美優樹ちゃんの学生コンビは十八時半ですっ」
ふんっ、と少々勢い込んだら、眉を八の字に下げた優がポツリと零した。
「……千恵さんの、いじわる。ボクに最後まで言わせないなんて、まるで小姑みたい」
「――って、なんで泣くんですか! あたいは聞かれるままに応えただけですっ! しかも小姑って――」
優の豹変振りに慌てて腰を浮かせると、表情をコロリと戻した優が瞳を細めてニコリと笑う。
「……判ってる。ホンの冗談♪」
「ゆ、優さん~。泣き顔で冗談言うの、勘弁して下さい~。心臓に悪いですからっ」
「……うふふ♪ 少しは時間、潰れたかな?」
「へ? あ……。ったくぅ、優さんってばお茶目さんなんだから~」
深い溜息と同時に脱力し、苦笑する千恵。 時々炸裂する優のバイタリティー溢れる言動に振り回されるものの、決して嫌では無い。 むしろ後味がスッキリと感じるのは、心の奥底で言葉のキャッチボールを楽しんでいる所為かもしれない。
「……でも、暇なのは確か」
「まぁ、そうですね。でも、家事で手持ち無沙汰の時間、確かに増えましたよね? ……そう、春先辺りから」
「……多恵子さんを始め、手伝ってくれる飛鳥ちゃんや美優樹ちゃん達も家事にだいぶ慣れて来たからね」
優も新規参入組の奥さん達を想い浮かべているようで、満足気に何度も頷いている。
「人手が足りてる、って、こーゆー状態を言うんでしょうね。最初の頃とは大違いだわ」
「……そうだね。みんなヒロクンを中心に集い、助け合って生きてる。これぞ大家族の醍醐味♪」
「あはは! ホント、十一人家族ですもんね! こんな大きなお屋敷でも、普通の家(うち)と同じ労力で維持管理出来るから凄いです」
「……ヒロクン様々。ボクもこの暮らしが楽しくて仕方無い。ネットトレードは順調だし、奥さん達へ利益を分け合ってるから各自の貯金も潤沢♪」
自慢気に胸を張る優に、千恵はその無邪気さに小さく笑う。 普段はクールな表情が多い優だが、時々可愛らしい笑顔を見せるのが、優の魅力のひとつなのだ。
「それには感謝してます。あたい達は何もしてないのに貯金を増やして貰って」
「……ううん、気にしなくて好い。ボクが勝手にしてるだけだから、期待せず買った宝くじが当たったと思って貰えれば好い。まぁ、ヒロクンに言われた通りにしてるだけだけどね」
「それにしては、いつだったか、ひと月で一千万近く、増えた事がありましたよね。ホラ、経済新聞にも載った、株価上昇の企業……とかの時に」
「あぁ、あの時か。それはたまたま、偶然の産物、だよ。年に何回も無い株価花丸急上昇だったからね。面白半分で買った株だけど、売却したタイミングが巧い事、最高値とかち合っただけ。まぁ、だからこそヒット作を生む新興(ベンチャー)企業は面白いし、株取引も止められない♪」
「でも、半分は期待してた、ってコトじゃないですか。それに株価っていつも上昇してるばかりじゃ無いんですよね?」
千恵としては当たり前の事を言ったつもりだったが、優の表情が見る間に曇って来た。 笑みが消え、眉が八の字に下がってしまった事から、どうやら無意識に地雷原へ踏み込んでしまったらしい。
「……………………うん。時に数千万単位で損をしてヒロクンに顔向け出来無くなる。こんな時は滅茶苦茶落ち込むけど、無条件で赦してくれるヒロクンがいるからボクは救われる。まぁ、山あり谷ありが株価だし、それを見極め売買し利益を出すのがボクの腕の見せ所だし、ボクを信頼してお金を任せてくれるヒロクンへの恩返しにもなってる」
「あ、いえ、損失を責める気は無くって! あの、あたい達は資産運用に関してはからっきしだから優さんにお任せします! これからもお願いします! で、話は戻って今後の予定なんですが、どうせ暇なら、いっそ――」
年上を泣かせて(?)しまった罪悪感に苛まれた千恵は慌てて腰を浮かせ、話題を切り替える。 この美女に暗い顔は似合わない。
「……なるほど。ボクも賛成♪」
ソファーから身を乗り出した千恵の提案に、優は驚きつつもニコリと笑って即・快諾した。
☆ ☆ ☆
「……これは盲点だった」
「でしょ~♪ 一度、これをやりたかったんですよねー」
「……その気持ちは好く判る。でも、何で下着姿に?」
「エヘヘ♪ この方が、より宏と触れ合ってる気がして♥」
「……確かに、ヒロクンの香りに素肌が包まれて……イイかも♥」
優は千恵と一緒にブラとショーツだけの姿になり、宏のベッドで昼寝を決め込んでいた。 俯せになっている千恵は枕に顔を埋(うず)めて何度も深呼吸しているし、補助枕を抱き枕の如く股の間に挟み込んでもいる。 しかもよくよく見ると、小刻みに股間を揺らしているが……これは武士の情けで見なかった事にする。
(千恵さんったら、枕濡らしたら湿気や移り香でバレちゃうのに……ま、いっか。ボクも同じ事、するだろうし)
なにせ、自分もシーツに身をくるんで恍惚然としたまま千恵と同じくスーハーしているのだから。
「……ヒロクンの……春の陽射しのような温もりと切なくなる香りが……どこか安心する。ね、千恵さん」
「……………………」
「……? 千恵さん、どうした……って、ふふ♪」
首を巡らせると、そこには枕を抱いて安らかな寝息を立てている千恵がいた。 しかもよくよく見ると、ショーツのクロッチと枕に少なからず濡れた染みまで……。
「……ふふ♪ 千恵さん、夢見心地。その気持ち、痛い程判る。ボクもこのままマットに身を沈めたい程だし」
シーツにくるまりながら、優は胸の前で手を合わせて祈るようなポーズを取る。
(……ヒロクンの香りに包まれて……ボクも濡れて来ちゃった。ヒロクンの香りは……常習性があって甚だ危険♥)
思いつつ、何度も深呼吸する優。 自分でも鼓動が早まり、顔や耳が熱く火照って来るのが判る。 鏡を見たら、きっと首から上が真っ赤に染まっている事だろう。
「……それに、このマリッジリングがボクを安心させてくれる」
左手の薬指で煌めくプラチナリングに、優は唇を寄せ、そっとキス。
「……ヒロクンとの、夫婦の証。このリングが、ボクの心を支えてくれてる」
宏の顔を想い浮かべつつ、優は微睡(まどろ)みの海に心地好く漂い始めた――。
☆ ☆ ☆
「あれ? 布団から好い匂いがする。……フンフン、これは……」
就寝前、ロングTシャツにトランクス姿となった宏は自室のベッドの上で嗅ぎ慣れた匂いに気付いた。 屈んで鼻を近付けると優しい香りが肺一杯に拡がり、それはいつも傍にいて頼り甲斐のある従姉と幼馴染の御姐様の姿を浮かび上がらせた。
「これは優姉と千恵姉だな。布団を干してくれた時に匂いが移ったのかな? って、枕からも強い匂いがするな」
今日のように朝から好天だと、いつも千恵が布団を干してくれるのだ。
「だけど、お日様に当てたフカフカ感や温もりは無いな。今日は干さなかったのかな? じゃ、何で匂いが? まぁ、ベッドメイクの時にでも移ったのかもしれないな」
ベッド中央で胡座を掻いて思い巡らせていると。
「宏、入るわよ♪」
「……ヒロクン、お邪魔するね♪」
薄っすらと寝化粧を施した千恵と優が目元を赤らめてやって来た。 後ろ手にドアを閉めると腰を左右に振り、妙に身体をくねらせ流し目をくれながら近付いて来る。 その様子からすると、二人共ヤル気満々、気合充分らしい。 千恵などは意識的なのか無意識なのか不明だが、赤いルージュの塗られた唇を盛んに滑(ぬめ)った舌先で舐め回してもいる。 今日はこの二人が朝までのお相手なのだ。
「千恵姉、優姉、その格好は……」
しかも、夜の衣装までバッチリと決めているのだから、今夜に掛ける期待と意気込みがビシバシ伝わって来る。
「千恵姉、そのピンクのベビードール、どこで仕入れたの? すっげ~可愛い♥ しかもセクシーだし千恵姉に凄く似合ってる……ってか、似合い過ぎてる♪」
宏の熱視線が御姐様の頭の先から順に下りてゆく。
「ポニーテールを結うリボンとベビードール、そしてショーツがピンク色に統一されてて可愛らしさが引き立ってる♪ ブラをしてないから淡い桜色の乳輪と既に勃起してる乳首が透けて見えて……しかも、ヒラヒラしてる裾が紐ショーツのデルタ地帯をチラ見せするから……堪らんっ♥」
腰まで届く、やや紫掛かった黒髪と身に纏うピンク色の対比が照度を落として電球色に変えたシーリングライトに映え、それが露わになった肩や腕、むっちりとした太腿の白い肌と相まって宏の股間を盛んに疼かせるのだ。
「千恵姉の艶姿、何度見ても興奮するよ! 透けた衣装に浮かび上がるボディラインが、これまた綺麗だし♪」
「宏ったら目が血走って……えっちなんだから♥」
鼻息荒いご当主に、頬を紅(あか)く染めた千恵はモジモジと内腿を摺り合わせる。 もしかしたら、既に蜜を溢れさせているのかもしれない。
「でも、褒めてくれてありがと♥ その……若菜がナニやら買う、ってんで一緒に通販カタログ見てたら、『これ~、絶対に似合うよ~♪』、ってんであの娘(こ)が勝手に決め付けて囃し立てたの! あたいは似合わないって思ってたんだけど、買ってしまった以上、着ないと勿体無い……し、宏に見て欲しいなぁ、なんて思ったり……思わなかったり」
横を向いて、しどろもどろになりつつ一気に喋る千恵。 どうやら妹である若菜を出しにして自分からオーダーしたようだ。 その証拠に両手を後ろで組み、胸を張ったモデル立ちで見せ付けるように佇んでいる。
「千恵姉が胸を張ると……オッパイが強調されるね。流石、Dカップは伊達じゃ無いね。ベビードールが押し上げられて……丸く押し上げられた突起が透けてて、すっげ~色っぽいよ♪」
涎を垂らさんばかりの宏からの賛辞に、千恵は一瞬目を見張り、すぐに破顔した。 片や、屋敷でのスレンダー美人の代名詞となっている優は。
「優姉……♥ その全身黒のボディストッキング、どこで見付けたの? メチャ色っぺ~し……視る程にセクシーで、ずっと見ていたい程にそそられるよ♥」
宏の熱視線が従姉の足下から徐々に上がってゆく。
「締まった美脚に丸い腰から括れたウェスト、そしてお碗型のオッパイを平らに包む黒のストッキングが……男の性欲を刺激するわ~。しかも! 乳首のポッチが浮き出て股間の縦筋が食い込んで……これぞボディストッキングの醍醐味! これぞセクシー衣装の極み!」
シャギーにしたショートヘアとスレンダーな肢体にマッチする黒のボディストッキング姿は、宏のカウパー汁を噴出させるには充分だった。 実際、大きくテントを張った頂点にはプックリとカウパー汁が浮き出て大きな染みを作っている。
「それって、黒パンストと同じ生地で出来てるんでしょ? こうしてマジマジと見ると、黒パンストを穿いて同じ素材のハイレグ競泳水着を着た感じに似てるね♪ 広く開いた胸元の肌の白さがストッキングの黒に映えて、すっげ~エロいよ!」
瞳をギラ付かせて前のめりになって食い付く夫に、優も僅かに頬を赤く染める。 どうやら、ここまで穴が開く程に凝視されるとは思わなかったらしい。 それでも、両足を軽く交差させて美脚を強調するモデル立ちの姿勢を崩さないのは流石だ。 閨房術をマスターし、夫の目を愉しませる術に長けている優ならではの演出だ。
「……気に入ってくれた?」
「うん! 優姉の黒ボディスト、最高~っ!! 千恵姉のベビードール、最高~~っ!!」
ウィンクした宏はサムズアップで妻を褒め称え、照れる優から更なる言葉を引き出した。
「……そう言ってくれて嬉しい♥ ヒロクン、黒ストがマイブームだもんね。だから若菜さんが常時使ってる性活用品専門の通販カタログでこういう衣装を探してた。そしたら、これが似合いそうだって強く勧められた」
「優姉も若姉に勧められたんだ? 流石、若姉はこーゆーアイテムに精通して詳しいわなぁ~。……って、俺の精通は確か小学四年の……って、精通ちゃうわっ!」
宏がさもありなんと頷き、ひとりボケツッ込みしていたら、クスリと笑った優から予想と違う答えが返って来た。
「……ううん、若菜さんじゃ無くて多恵子さんに勧められた。多恵子さんも若菜さんと一緒に何かしら注文してて、『せっかくだから一緒に♪』、って誘われてボクも頼んだの」
「た、多恵子さん……」
この屋敷に来るまで最も性生活から遠かった人物の名前が出た事で、それまでの興奮が一気に萎えるような……そんな脱力感に襲われてしまう。
(俺、何やら聞いてはイケナイ領域に踏み込んでしまったんじゃね?)
内心、冷や汗をタラリ、流す宏。
(多恵子さん、俺と契るまで二回しかセックスしてなかったのに、この変わり様は……ナニがそうさせたんだろ? やっぱ、若姉の明るいエッチ性活への情熱がみんなをソッチ方面に導いてるんだろうなぁ。ま、多恵子さんも俺と半年近く一緒に暮らしてエッチを繰り返せば、ソッチ方面に明るくなったのかもなー)
などと眉根を寄せて考え込んでいたら。
「宏ったら、何をひとりで悶々としてんのよ。おっかしいわね~」
セクシー衣装を目の当たりにして興奮したかと思いきや急に冷めるような素振りを見せた宏の百面相に、千恵がクスリと笑う。 しかも、妻達の更なる内情(?)が千恵から暴露された。
「カタログ見てたの、多恵子さんだけじゃないわよ。晶さんや真奈美さんを始め、ほのかさん、夏穂先生に飛鳥ちゃんや美優樹ちゃんも性活通販カタログを食い入るように見て、何かしら注文してたわよ。それはもう、みんな頬を染めキャッキャと騒いで楽しそうだったわねー」
「おいおい……」
宏の脳内に、夜の生活用品――つまりは各種アダルトグッズを嬉々として選ぶ妻達の姿がリアルに浮かんだ。 それを肯定し慰めるかのように、宏の手を握った優が補足した。
「……若菜さん、カタログ翳してみんなをリビングに集め、それぞれにお薦め品をあれこれ示してた。その堂々たる売り込み姿は第一級の営業ウーマンみたいだった。あの調子なら、テレビのアダルトグッズ通販番組でも充分稼げる」
「わ、若姉……。一体、ナニやってんだか。――ってか優姉。そんな番組、どこにも無いから」
若菜の性生活に対して全く衰えない情熱とバイタリティー、そして優のボケ(?)に宏は思わず苦笑いしてしまう。
「……若菜さんが言うには、購入代金が一定額を超えると送料や代引き手数料が無料になるからまとめ買いするんだ、って。しかも、購入代金の二割がお得意様ポイントとして付加され、次回の買い物で使うともっと安く仕入れる事が出来る、今回も前回で得たポイントを使うから半額近くになる、ってホクホク顔だった」
「食材だけじゃ無く、コッチでも遣り繰り上手なんだ……。と、とにかく! みんなが何を買ったかは、今は聞かないでおくよ。……聞いたら聞いたで絶対付き合わされそうだし。さて!」
深みにハマる寸前で話題を切り替えた宏は、早速、二人をベッドに寝かせる。 これ以上、奥さん達の裏側を知ると抜け出せなくなる――つまりは巻き込まれる可能性が非常に高い。 否、既に目の前に二人の淫魔が手ぐすね引いて待っているのだから、とうに巻き込まれているのは確実だ。
(でもまぁ、俺もこーゆーの、嫌いじゃ無いし♪ 明日っからの、各自の演出が楽しみだな~♪)
ここにいない奥さん達の痴態を想い浮かべた宏の肉棒に更に力が籠もり、千恵と優の視線を釘付けにする。
「じゃ、まずはじっくりと鑑賞させて貰おうかな。こんな可愛くてセクシーな奥さん、すぐに脱がすの勿体無いし♥」
Tシャツとパンツを乱暴に脱ぎ捨て、勃起肉を誇示しながらの賛辞に、千恵と優は全身を真っ赤に染めた。
「千恵姉♥ 可愛くて、だけどやっぱりセクシーだ。メリハリのあるボディーが薄いピンクのベールに包まれて……最高だよ♥」
胡座を掻いた宏は対面座位で千恵を貫いていた。 ベビードールの裾から左腕を差し入れ、指の間に乳首を挟んで下から捏ねるように乳房を揉みしだき、同時にベッドのスプリングを利用して千恵の肢体を軽々と突き上げる。
「ひ、宏! 激しいッ……そ、そんなに押し込まないでっ! 膣奥(おく)が……潰れて……感じ過ぎて……息が出来無いっ……あぁあっ!!」
喉を鳴らし、必死に酸素を取り込もうと喘ぐ千恵。 両手を宏の首に回し、両足も腰に回してきつく抱き付く千恵に、宏は手加減無しで肉槍を突き刺し、撹拌する。
「こんな可愛い奥さんを……黙って放っておく訳無いでしょ♪ じ~~~くり、た~~~っぷり、ずっこんばっこん、セックスするからねっ♥ ほら! 千恵姉のオマンコが俺のチンポを離すまいとギッチリ食い付いて来てるし♪」
「ひっ!? ……………………っっ!!」
直接的な言葉に、千恵は息を呑むのと同時に身を震わせた。 膣(なか)が急速に締まった事から、どうやらアクメを極めたらしい。 やや吊り目がちな瞳は虚ろに光り、赤く色付き戦慄く唇の端からは唾液がタラリと零れ落ちる。
「千恵姉、イッちゃったね。それじゃ――」
宏は斜め上を見上げ、潤んだ瞳で見下ろしている優と視線を重ねる。
「優姉も存分に可愛がってあげるからね♥ スレンダーな肢体がボディストッキングで、より締まって見えるよ♪ だけど膨らむ所は膨らみ、括れた所は括れて強調されてるから、より一層色っぽいね♥」
宏は千恵と交わりつつも、すぐ横に立たせた優の腰を右腕で抱き寄せ、尻の割れ目に沿って指を何度も這わせながら股間に食い付いていた。 もっとも、優も両手で宏の頭を抱えて股間に押し付けているので、どちらも積極的なのは変わらない。
「ストッキングに包まれた尻って、キュッと締まってて何度触っても飽きないね♪ それに、ここを撫でる度に優姉のオマンコから次々と愛液が溢れて……呑みきれないよ」
指先が菊座を撫で擦る度に淫裂から本気汁が染み出し、宏の口元を光らせてゆく。
――ペチャッ、クチャッ、ジュルルルッ――。
粘着質な音が部屋に響き、優と宏の性感を高め、千恵の意識を呼び覚ます。
「優姉のお汁(つゆ)、美味しいよ♥」
舌を伸ばして会陰部から舐め上げ、ストッキングを硬く押し上げている秘核を唇で挟んで吸い上げる。
「……ひ、ヒロクンの熱い舌と荒い鼻息がアソコを焦がして……それが愛液の呼び水になってるぅ。だから、ボクが濡れて乱れるのはヒロクンの所為ぃ~。ひ、ヒロクンが責任もって……ボクの疼きを鎮めないとダメェ……はぁん♥」
「了~解♪ でも、このボディストッキング――」
「……ふうん♥ や、破いても平気ぃ♪ そうして好いように……何着も仕入れてあるぅんっ! も、勿論、形や色を違えて――あひゃぁっ♥」
従姉の鼻に掛かった甘い喘ぎ声交じりの言葉を最後まで聞かず、宏は口だけでボディストッキングの股間部分を食い破り、翳りの無い濡れた淫裂を露わにする。
「凄いな……。優姉のパイパンマンコ、赤い花が咲くようにプワーって開いてく♪ 充血したラヴィアが割れ目から芽吹くように開き、続いて大陰唇が開くんだね。優姉、知ってた? ほら、割れ目が開いたらクリも一気に勃ち上がって……まさしく花弁みたいだ♪」
ボディストッキングで押さえられていた反動なのか、縦筋に押し込まれていた女の子の各パーツが一斉に花開いたのだ。
「……あぁ……ヒロクンに女の浅ましい姿、見られちゃった。責任、取ってね♥」
全身を汗と朱に染めた優からの甘いお言葉に感化され、宏は千恵の膣(なか)に灼けた精を大量に撃ち出すと同時に叫んだ。
「Yes sir!」
「……軍隊(ミリタリー)じゃ無いんだから」
「はひゃぁ――――――――~~~~~っ♥」
優の、クスリと笑う声と千恵のアクメ声は、興奮しきった宏に届くことは無かった。
☆ ☆ ☆
この後、宏の屋敷ではアダルト衣装を纏ったままのエッチが暫し流行ったと云う――。
(つづく)
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恋模様(5)
恋模様(5)
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美姉妹といっしょ♪~新婚編
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宏達十一人が住まう地域にも梅雨が訪れ、今日も木立や地面をしっとりと濡らしている、そんなある日の午後。
「さて、ここの掃除も終わりましたし、他の仕事もひと段落着きましたから、ひと休み出来ますわね」
多恵子は乾拭き用モップを持ったままリビングをざっと見渡し、満足気に頷く。 フローリングの床は飴色に光って多恵子自身を映し、ソファーの下は勿論、壁や天井の隅にも埃ひとつ無く、目が届く全てに清掃の手が行き届いている事を示していた。
「うん! そうなると思ってお茶の用意、しておいたよ~♪」
「まぁ! 手回しが好いですわね。おほほ♪」
瞳を細めた多恵子が掃除用のエプロンを外しながらダイニングテーブルの端に着くと、いつも笑顔を絶やさない若菜も嬉々として紅茶セット(今日はアップルティーとバタークッキーだ)と琥珀色の液体が入った小瓶を置き、角を挟んで座る。
「買い出しに行った姉さんと優姉さん、真奈美さんが戻るまであと小一時間は掛かるから~、それまではのんびり出来るね~」
若菜は白磁器のティーポットからマグカップに紅茶を注ぎ、最後に琥珀色の液体をティースプーン一杯分、静かに入れる。
「ありがとうございます♪」
多恵子は小さく一礼し、置かれて湯気の立つマグカップを両手で持つ。
「千恵さん達は最初にホームセンターに行く、って仰ってましたわね。……あぁ、好い香りがして、凄く美味しい♪」
鼻に抜ける芳醇な香りと紅茶の柔らかな喉越しが、何とも心と身体をリラックスさせてくれる。
「そうでしょ~♪ 最後のスプーン一杯が香りと味の決め手なんだよ~。姉さん達、足りない掃除用具とか夏に向けての防虫剤とか仕入れて、そこで車を借りてスーパーと銀行を回って来るんだって~。そうすればホームセンターやスーパーで買った嵩張る品や大量の食料を手に持ったまま雨の中を歩かずに済むから、って優姉さんが言ってたよ~」
「ホームセンターの無料レンタルサービスを利用する賢いやり方ですわ♪ でも、優さんが運転する、って聞いた途端に千恵さんが二~三歩後退り、お顔が引き攣って怯えた表情になったのですが……どうされたのでしょう?」
「そう言えばそうだったね~。姉さん、車酔いしない筈だけど……何かあったかなぁ~?」
「さぁ……どうなのでしょう。わたくしも、そこまでは伺ってませんけれど?」
二人同時に紅茶を飲む動きを止め、首を捻る若菜と多恵子。 もっとも、以前に千恵が優の運転で『途轍も無いスリルを味わった』とは知る由も無い二人だった。
「本当は飛鳥の部屋も掃除したかったのですが……もう大学生ですし、必要以上の世話焼きもどうかと思いますが、だからと言って散らかし放題、汚し放題ですとお部屋を貸して下さっている宏さんに申し訳立ちませんし、微妙なトコですわ。まぁ、美優樹が率先して片付けや掃除をして飛鳥も時々手伝っているようですので、それが唯一の救い、でしょうか」
紅茶を飲み干した多恵子は視線を下げ、ほう、と溜息ひとつ、漏らす。 その憂いた表情は外見に似ても似つかない、大人の――母親の表情だ。
「ホント、大学二年にもなるのに、いつまでも幼い子供みたく手の掛かる飛鳥(むすめ)ですわ。わたくしが細かく言わないと何もしないのですから」
多恵子は僅かに眉を寄せつつ今度は自ら二人分の紅茶を淹れ、自分のマグカップには小瓶の液体を直接注ぐ。
「ありがとう~。でも~、飛鳥ちゃんは大丈夫。ちゃんと立派に大学生、してるよ~。課題とかも以前より手際好くこなせるようになって家事も手伝ってくれてるし~」
「そうなって貰わないと困りますし、それが当たり前ですわ」
「うふふ♪ 多恵子さんも~、美人女子大生に見えるしね~♪」
「おほほほほ♪ そうでしょう、そうでしょう♪」
切れ長の瞳をニコ目にして褒める若菜に、多恵子の目元がポッ、と赤く染まる。 それでも口に手を当て、瞳を細めて高笑いするのは……自分でも若いと思っている証拠に他ならない。 もっとも、女性である以上、お世辞抜きで美人だと褒められれば嬉しくなって当然なのだ。
「うん! 全然、三十路を半分過ぎてるとは見えないもんね~」
「そ、そこは言わないで下さいまし!」
散々持ち上げられた挙げ句に年代を意識させる台詞を投げ掛けられ、思いっ切りずっこける多恵子。
「若菜さんったら、もう~」
「うふふふっ。ごめんね~」
首を竦め拝む姿勢の若菜を、幼な子のようにプッ、と小さく頬を膨らませ上目遣いで睨む多恵子だが、すぐに声を上げて笑う。 普段から長く艶やかな黒髪をアップに纏め、立ち居振る舞いも大人びた雰囲気を纏っている多恵子だが、顔立ちは齢(よわい)三十七にして娘の飛鳥や美優樹と同じ、ティーンエイジのそれなのだ。 しかも屋敷最小の身長なので、屋敷最大の娘達と並ぶと決まって三姉妹の末っ子に見られると言う若々しさを誇っており、多恵子自身も自慢にしていた。 そんな明るい性格も加わり、多恵子はいつまで経っても初々しくいられるのだ。
「でも、三十路に見えないと言われて悪い気はしませんわ。おほほのほ♪」
自慢に思っている部分を褒められた所為か顔全体が火照り、体温と鼓動が少し上がった気がした。 そしてそのまま二杯目の紅茶をあっという間に飲み干し、三杯目は紅茶と琥珀色の液体の比率が半々になるように淹れる。
「でも~、お母さんなんだから部屋の掃除位、構わないんじゃない~? 私の家(うち)も私と姉さんが大学(がっこう)行ってる間にお母さんが掃除とか片付けとかしてたよ~?」
「そうですわね。大概のご家庭ではそれが普通ですし母親として当然なのでしょうけど……」
飲み干したマグカップをそっと置くと目を伏せ、多恵子は言葉を濁す。 四杯目は紅茶を少しだけ淹れ、あとは琥珀色の液体をカップの縁までドボドボと注ぐ。 若菜は、そんな多恵子の微妙な変化に首を傾げた。
「多恵子さん、どうかしたの~? ソレ、そんなに入れると後で来ちゃうよ~? それに~、何か心配事~?」
「あ、いえ……その……」
言うか言うまいか、口籠もる多恵子。 それまでの明るく楽しい雰囲気にそぐわない、重く暗いカーテンが多恵子の心にのし掛かる。
(こんなコト、人様に聞かせるような話では……。でも、若菜さんなら聞いてくれるかもしれませんわね。『若菜は道理や理屈より心で判断し本質を見抜くから凄いんだ』、って千恵さんや皆さん仰ってましたし)
暫し逡巡の後、多恵子は心の奥底で鍵を掛けていた部分を初めて、自分から開けた。 もっとも、普段の多恵子ならば決して自らの闇を誰にも見せなかっただろう。 だのに、目の前に座る若菜の純粋な人柄と心地好い酔いが、多恵子の心の鍵を緩めたのかも、しれない。 そう、若菜が最初に用意した小瓶の中身は、紅茶に入れる為のブランデーだったのだ。 しかも、多恵子は二杯目の紅茶から少なくない量のブランデーを紅茶に注いでは短時間で飲み干してもいた。 そんなホロ酔いも手伝って、多恵子はこれまで誰にも言っていなかった心の内面を打ち明けた。 もしかしたら、もはや自分で抱えるには重過ぎて支え切れなくなった――のかもしれない。
「わたくしは飛鳥に対して偉そうにあれこれ言っていますが……本当は無責任な母親なのです」
「え? 今、なんて?」
目を見張り、紅茶を飲む動きがピタリと止まる若菜。 どうやら、これまで抱いていた母親像を否定するかのようなフレーズに耳を疑ったようだ。 そんな判り易い反応を示す若菜が微笑ましく映りつつ、多恵子は話を続ける。
「飛鳥の、中学入学時の騒動はもうご存じですよね?」
「髪の色で一悶着あったって云う、あれ、だよね~。髪を染めるな、って言う校則なのに黒く染めろ、って言われた」
多恵子は小さく頷き、マグカップをグイッ、と傾ける。
「問題が起きた当初はどうしたら好いのか、まるで判りませんでした。小学校の時は何の問題も無かったのに、中学に入っていきなり、でしたから」
「うん、そうだよね~。戸惑うよね~」
「そして何より辛かったのは、母親だのに苦しんでいる娘を……飛鳥を救う事が出来無い事でした」
「そ、そんな!」
細い眉を八の字に下げ、言葉を失う若菜。 まだ子供がいない立場なので、こればかりは何と言って好いのか判らないのだろう、口だけがパクパクしている。
「あの娘(こ)が学校不信で不登校になり、わたくしが学校側と掛け合っても『黒髪以外は認めない』、のひと言で取り合って貰えない日が続き、終いには門前払いになりました」
「うん……宏ちゃんから聞いた~。我が母校ながら非道い仕打ちだよね~」
「そんな時、宏さんが立ち上がって下さり……あとはご存じの通りです」
「宏ちゃんが~、あの手この手で不埒な学校側をやっつけたんだよね~♪」
嬉しそうに瞳を細める若菜に、小さく微笑んで大きく頷く多恵子。
「全ての問題が解決し、飛鳥が何の憂いも無く学校に戻ってわたくしは、めでたしめでたし、と手放しで喜んでいたのです。何より、あの娘(こ)に笑顔が戻ったのが心底嬉しかった」
「うんうん♪ お母さんならそう思って当然だよね~♪」
多恵子の言葉に、我が事のように一喜一憂し、表情もコロコロ変わる若菜。 そんな素直で純粋な女性を前にしても、多恵子の心は一向に晴れなかった。
「でも、飛鳥が笑顔で部活や宏さんの話をする度に……わたくしは違和感を抱き始めていました。そして……ある日、気付いたんです。わたくしは母親として何もしていないのだ、と」
「それって……」
「本来ならば、保護者であり母親であるわたくしが率先して各方面に働き掛けなければならなかったのです。しかし、わたくしは……動こうとしませんでした」
「でも……でも……」
「宏さんが、それはそれは見事な采配振りを発揮して多くの味方を得、学校側を交渉の席に座らせ、果てに飛鳥や不当な扱いを受けていた生徒達を勝たせた手腕にわたくしは感服し、そのまま傍観者となってしまいました」
「そ、それを言うなら~、何もしなかった他の生徒達の親だって同じだと思うよ~?」
ようやく言葉を搾り出した若菜に、静かに首を横に振る多恵子。
「そうかもしれませんが、わたくしの……母親としての責がそれを赦しません。……赦さないのです」
「そんな! それじゃ自分に厳し過ぎるよ~。当時は誰も権力者に太刀打ち出来無かったんだから仕方無いよ~」
「いいえ。わたくしは当事者の親であるのに、中 学生である宏さんの厚意に甘んじていたのです。母親なのに我が子の人権すら守れなかったのです。他人様(ひとさま)に……年端の行かぬ、ひとりの男の子に全てを委ねてしまった。そして……それを善(よ)しとしてしまった」
「そんなこと無いよ~! だって、だって――」
若菜はさっきから必死になって言葉を探し、何とかしようとしてくれている。 自分の事でここまで心配し必死になってくれる若菜に、多恵子はブランデーとは別に心が温かくなった。
(若菜さんは、本当に素直で好い女性(ひと)ですわ。宏さんが好きになってお嫁さんにした気持ちがよ~く判ります)
ひと回りも歳下だのに親身になってくれる若菜の優しさに、多恵子は少し心が軽くなった――そんな気がした。
「わたくしの心の中にいる、もうひとりのわたくしが囁くのです。『寄せられる厚意と好意に縋って生きていけば好い、女はそうして生きて行ける生き物なのだ、利便を図ってくれる片親の家庭環境を利用してしまえ』、と。そして……わたくしはそれに屈してしまった」
「そんなっ! 多恵子さんは――」
「わたくしはズルい……狡賢い女、なんです。自分の子供に降り掛かる火の粉を宏さんに振り払って貰って喜んでいた女なんです」
「違う!! それは違うよ~っ! 多恵子さんは飛鳥ちゃんを立派に育て上げた、誰よりも優秀なお母さんだよ~!」
「本来ならば、身を挺してでも娘を守らねばならぬのに、それすらしなかった。だから母親失格なのです」
「でも……でも~」
両握り拳をブンブンと上下に振って髪を振り乱し、半分泣き顔の若菜。 的確な言葉を掛けられないもどかしさや自分の感情の揺らぎも多分にあるのだろう、切れ長の瞳には薄っすらと光るものが浮かんでいる。
「多恵子さん~、そんなに自分を責めちゃダメだよ~。それじゃ多恵子さんが可哀想だよ~。そんなコト聞いたら飛鳥ちゃん、絶対に悲しんじゃうよ~」
ポロポロと涙を零し、両手をぎゅっ、と握って来る若菜に、多恵子は慰めるよう優しく握り返した。
「だから、あの娘(こ)には一生、内緒なのです」
「っ!」
薄く笑みを浮かべた多恵子の表情を見た若菜は絶句し、顔を伏せてそのまま固まってしまう。 そして壁時計の秒針の音が暫しリビングに響いた後、若菜の澄んだ声がリビングに小さく流れた。
「こんな哀しい笑顔、私、見た事無いよぅ~」
多恵子は、若菜の率直な感想を聞かなかった事にした。 これ以上、人様を哀しませる話題を続ける勇気は無かったし、それが自分の事ならば尚更だ。
(やはり……わたくし事は言わない方が好かったですわね。若菜さんには辛い思いをさせてしまいました)
涙ぐむ若菜に胸が痛いほど締め付けられ、思わず顔を背けてしまう。 そんな後悔の念で心苦しく思っていると、若菜が顔をキッ、と上げ、濡れた瞳を真っ直ぐこちらに向けて言い切った。
「たとえ多恵子さんがどう想っていても~、宏ちゃんや私達が一緒になって多恵子さんを赦し支えるから! 私達も飛鳥ちゃん美優樹ちゃんを守るから! 多恵子さんの苦しみは私達の苦しみでもあるんだよ~! だからひとりで抱え込まないで! もっと宏ちゃんや私達を頼って好いから! もっともっと甘えて好いからっ! だって、私達は一心同体の夫婦なんだから~!!」
「!!」
息を呑んだ多恵子は全身に雷撃を受けたような衝撃を覚えた。 鼓動が急上昇し、脳が揺さ振られ脊髄を抜けて全身に震えが起こる。
(あぁ! 若菜さんに打ち明けて本当に好かった! こんなわたくしを……赦し受け入れて下さった!)
今度は多恵子の黒目がちな瞳に、薄っすらと光るものが浮かぶ。
(宏さんに嫁いで好かった! このような素晴らしい奥方達に巡り逢えて、わたくしは本当に果報者です!!)
歓びに震える多恵子は、感謝の気持ちを言葉と態度で示した。 ひと回り以上、歳の離れた若菜に深々と頭(こうべ)を下げ、切れ長の澄んだ瞳を見据えてから口を開いた。
「ありがとうございます。そう言って戴けて、わたくしは幸せです。若菜さんに出逢えて幸せです!」
「……うん。そう言って貰えて嬉しいよぅ~。私も多恵子さんと一緒に暮らせて幸せだよぅ~」
「ぷぷっ! 若菜さんったら……皆さんが認めるお屋敷のムードメーカーだけはありますわね」
泣き顔で笑う器用な若菜に、多恵子はつい、噴き出してしまった。 その甲斐あってか、昂ぶっていた気分がようやく落ち着いた多恵子は、今度は想い人への熱い想いを紡ぎ出した。
「こんなダメな母親でしたが、飛鳥との会話の中で宏さんの名前が出ると、いつしか鼓動が早まり意識するようになっていました。きっと、その時既に宏さんへの想いが宿り、膨らんでいたのでしょう」
「宏ちゃんは~、私達を大切にしてくれるから好きになっても、ちっとも不思議じゃ無いよ~」
クスンクスンと涙と鼻を啜りながらも、ようやく笑みが戻りつつある若菜。
「三十を過ぎたオバサンが中 学生の男の子に恋するなんてあり得ない――。初めはそう思っていました。しかも相手は娘の先輩です。でも、わたくしはいつしか宏さんの訪問を心待ちにしていました。今思うと、それはきっと……」
「恋、だね~。宏ちゃんは一目惚れされるタイプじゃ無いけど、接してるうちにいつしか好きになってるタイプだもんね~♥」
ここでやっと、若菜の曇っていた表情が元通りに明るくなった。 俯き加減だった顔が上に向いて瞳に輝きが増し、目元もほんのりと紅(あか)く、色付いても来る。 女の子は恋の話題――特に好きな異性の話になると表情や仕草が一変すると言うが、その通りかもしれない。
「そうなのです。毎日学校帰りに家(うち)に寄って下さり、わたくしたち三人を気遣ってくれる宏さんを、わたくしはただの中 学生とは思えずに……いつしかひとりの男性として見ていたのです。だから全ての問題が解決した時に、年甲斐も無く恋に落ちたのでしょうね」
「恋に年齢や立場は関係無いよ~。何かと理屈付けて恋を否定するのは、その恋が真剣じゃ無いからだよ~。そんな言い訳や逃げ道を求めるようじゃ、ホントの恋は成就しないもんね~♪ 私は宏ちゃんまっしぐら、だったも~ん♥」
どうだと言わんばかりに胸を張る若菜。 そんな可愛らしい仕草に、多恵子は嬉しくなった。
(千恵さんや皆さんが仰る通り、ホント、心で語りますわね。お見事です♪)
ひとり莞爾と笑う多恵子だった。
「それに……飛鳥の件があったからこそ、美優樹は何の問題も無く同じ中学に進む事が出来、更に一年飛び級出来たのも宏さんのお陰なのです」
「?」
「飛鳥が卒業し、全く同じ外見の妹が入れ替わるように入学すれば、当然、学校側は大騒ぎになります。でも、宏さんが残した新たな校則があったからこそ、美優樹は無事に中学に在籍出来、飛び級に繋がったのです。あの娘(こ)が――美優樹が色眼鏡で見られなかったのも、全て宏さんのお陰なのです」
「あ……!」
あんぐりと口を開け、虚を衝かれたかのように半ば呆然とする若菜。
「この事は宏さんや飛鳥、そして美優樹すら気付いていないようですけどね。でも、ホント、宏さんの功績は偉大ですわ。飛鳥だけでは無く、美優樹すら結果的に救う事になったのですから。……あ、この事も内密に、ね♪」
クスリと笑いウィンクする多恵子に、若菜は掛ける言葉も無く、ただただ目の前に座る偉大な『母』の姿をじっと見つめていたのだった。
☆ ☆ ☆
(多恵子さん、紅茶にブランデーをドバドバ入れてグビグビ呑み干すから一時はどうなるかと思ったよ~。でも、お酒に強いだけあってケロッとしてるのは、流石、夏穂先生のお姉さんだけあるね~。それにしても……)
そろそろ買い物部隊が帰って来る頃合いとなり、二人は休憩を終えて荷受けの準備に取り掛かっていた。 若菜は真っ直ぐ腰まで届く漆黒の髪を首の後ろでひとつに縛り直しながら、ティーポットやマグカップを洗っている多恵子に視線を向ける。
(いつもニコニコ顔の多恵子さんが、あんな辛い想いを胸に仕舞っていただなんて、ちっとも知らなかったな~)
宏を夫とする同じ奥さん仲間だとずっと思っていたが、今更ながら多恵子は二児の母親だと言う現実を突き付けられた気分だ。
(あんな重くて大きい想いを、何年間もあんな小さな身体に抱えていただなんて、今でも信じられないよ~)
鼻歌交じりにキッチンで足取り軽く動き回る多恵子の背中を、若菜は複雑な思いで見つめる。
(ブランデーの効用で私に打ち明けてくれたみたいだけど、これで少しは心が軽くなってくれたなら好いな~。こんなの、姉さんが聞いたらまともに受け取って一緒に考え込んで共倒れになりそうだし~)
実の姉――千恵の性格を好く知る双子ならではの分析だ。
(人間、誰しも心の奥底に何かしら抱えているんだね~。……ってコトは~、いつも溌剌してる姉さん――はどうでもイイとして、どんな時も凛としてる晶姉さんとか弾ける笑顔が素敵なほのかさんや夏穂先生、そして愛しの宏ちゃんにも、ナニか隠してるコト、あるのかな~? 本棚の本に挟んだ昔貰ったラブレター、とかキーボードの裏に貼り付けたヘソクリの一万円札……とか?)
若菜の(微妙~にズレた)脳内に、屋敷の住人の顔が次々と浮かんでは消えてゆく。
(ま、誰が何を抱えているにしても私が支えて盛り立てないと! その為にも明るく楽しい性活道具、日々チェックしとかなきゃね~♪ 確か明日、ご贔屓にしてるサイトからメルマガが届くから~、そこでみんなが愉しめる掘り出し物があると好いな~♪)
無意識に自分の役目をきっちり(?)こなしている若菜だった。
☆ ☆ ☆
「あの、多恵子さん? 今日はいったいどうしたんですか? いつもよか……なんて言うか……その……甘えん坊モード全開、なんですが?」
全裸のままベッド中央で胡座を掻く宏に、衣装を纏う多恵子は小柄な身の丈を活かしてお父さんの膝に乗る幼 女の如く、背中を預ける形で乗っかっていた。 しかも瞳を潤ませ、鼻を鳴らして頬擦りまでして来る始末だ。
「くぅ~ん♥ 宏さんに、甘えてますの♥ んふぅ~ん♥」
「あの~、多恵子、さん?」
「だってぇ、若菜さんが『もっと甘えても好い』って仰るからぁ~ん♥」
鼻と喉を鳴らし首を巡らせ唇をついばむ多恵子に、宏はたじろぎつつ背後で密着している若菜に視線を向ける。
(若姉……。また多恵子さんに要らんコト、言ったな?)
ジト目で問い詰めるも、若菜も両手で宏の肩を抱きながら目を丸くしている。 その様子から、どうやら想像した以上に多恵子が反応しているので戸惑っているようだ。
「た、多恵子さん、一気に弾けたね~」
「いったい、多恵子さんに何が起きた?」
若菜には何やら心当たりがあるようだが、宏には何が原因でそうなったのか、皆目見当が付かない。 しかし、多恵子の全身から放たれている「好き好き♥ 大好きオーラ」だけは、朴念仁を自負していても判る。 なにせ、尻に敷いた勃起肉を左右に揺すって、ず~~~っと刺激してもいるのだから。
「甘えられるのはまだ好いとして……多恵子さん?」
「はい♥ 何ですのん♥」
「その纏っている服について、ですが」
宏の目線(熱視線とも言う)が、呼ばれて嬉しそうに振り向く多恵子の衣装を上から下に向かってスキャンする。 多恵子が身に付けているのは、上半身は襟と袖口が臙脂色に縁取られた白の半袖体育着、下半身を覆うのは袖口と同じ臙脂色のブルマと黒のハイソックス言う、何ともマニアックな衣装だったのだ。 しかも。
「この服、明らかにサイズがひと回り小さいでしょっ。ノーブラノーパンなのが丸判りです! 上着はDカップのオッパイが大きく押し上げ乳首がプックリ浮き出てお臍も丸見えだし、ブルマも尻や股間に深々と食い込んでるし!」
完全に見て楽しむ(?)衣装だったから堪らない。 加えて、着ている本人が、ともすると義務教育の最終年齢にも見える訳で……。 これでフル勃起しガマン汁を零さない男がいたら、それはもうコスプレエッチからの引退を意味するだろう。 当然、宏のペニスは臨戦態勢がとうの昔に整い、今も多恵子の尻を力強く押し上げ脈打っている。
「こんな萌え衣装、いったいどこで調達――って、まさか!」
焦る(悦ぶ?)宏の脳裏に、先日、優と千恵から聞いた言葉が甦った。
(若姉が性活通販カタログ翳して、みんなそれぞれ何かしら仕入れてた、とか言ってた、アレかぁ?)
片眉を跳ね上げたまま前戯の真っ最中にいきなりフリーズした宏に、思考を読み取ったのか肯定するようにポッと頬を赤く染めた多恵子が恥じらいつつ、でも嬉しそうに微笑んだ。
「はい♪ 若菜さんがお薦めする衣装とサイズでしたので、思い切って仕入れてみましたの。お陰様で効果覿面ですわ♥」
自分の股間の下からニョッキリと伸びている勃起肉――しかも先端からは透明な雫が垂れている――にチラリと視線を向け、莞爾と笑う多恵子。
「わ、若姉……。A級戦犯は若姉だったのか……」
「えっへん♪ 偉いでしょ~♪」
「褒めてねぇ!」
脱力し、思わず突っ込む宏と、どうだと言わんばかりに胸を張る若菜。 コスプレエッチを嬉々として受け入れる多恵子も大概だが、それ以上に若菜による夫のツボを射たコーディネイトは、もはや超一流のスタイリスト以上の眼力だ。 ただし、エッチぃ方向のみに遺憾無く発揮されるのだから始末に負えない。
(だけど、これが若姉の神髄、なんだよなぁ。こればっかりは誰にも真似、出来無いし)
今更ながらに、幼馴染の卓越した能力(?)に脱帽する宏だった。
「えっと、その……、多恵子さん」
「はい♥」
それならば、こちらもきちんと言わねばならぬ事がある。 そもそも、多恵子は自分の為に、かような衣装を纏ってくれたのだ。 鼓動が早くなり顔も火照るが、宏は夫として言うべきを言った。
「その体操着姿、凄く似合ってます。それはもう、言葉に出来ぬ程に」
「存じ上げております♪ なにせ先程から、熱く灼けた如意棒がしきりにわたくしの聖地を突き上げておりますから♥」
夫からの褒め言葉が余程嬉しかったのか、潤んだ瞳で見上げながら半開きの唇から赤い舌先を覗かせる多恵子。 その仕草は、とても四捨五入で四十になる女性とは思えぬ初々しさと年相応の妖艶さを併せ持っていた。
(多恵子さん、いったい、どんだけバイタリティが豊富なんだ? 確か以前、黒のセーラー服、着たコトあったよなぁ。あの時は夏穂先生との女教師放課後プレイの後に乱入して来て、そのまま同級生プレイに……って、あれはあれで、すんげぇ似合ってて萌えまくったし。……ホント、着る衣装、選ばない女性(ひと)だよなぁ~)
萌え要素満載の多恵子に、宏の肉棒は多恵子が部屋に来た瞬間から、はち切れんばかりにいきり勃っていた。 今も勃起肉は多恵子の尻の割れ目に挟まっているので、当然、多恵子にも宏の反応が丸判りになっている。
「ほら、またビクンと動きましたわ♥ 宏さんの『きかん棒』、元気ですわね♪」
しかし、かく言う本人もかなり興奮しているようで、膝に乗る多恵子の身体が明らかに熱くなっているのが判るし、ブルマと接する肉竿に熱く滑(ぬめ)った感触が次第に大きくなり、腰の動きも割れ目に沿ったそれから回転運動へとシフトしている。
(多恵子さんって底知れないよなぁ。どんどん俺達との性生活を楽しんでるし。……でも悪い事じゃ無いし、むしろ本人も嬉々としてるから問題無いわな。俺も中坊に戻ったみたいで楽しいし♪)
故意か偶然か(若菜が推し薦めた時点で明らかに故意だろう)、多恵子が選んだ体操着セットは宏の中学時代の女子用と同じデザインと色だった。 それはつまり、若菜も中学時代に着ていた訳で……。 故に、外見の幼い(?)多恵子の体操着姿に萌え、盛大に勃起させてはドクン! とガマン汁を吹き零していたのだ。
「ねぇ宏ちゃん~。多恵子さんばかり見惚れてないで私も視姦してよ~。宏ちゃんが悦ぶと思って清水の舞台から飛び降りる覚悟で仕入れたんだから~」
鼻の下を伸ばした宏が可愛らしい多恵子に掛かりっ切りになっていたら、ず~~っと背後に引っ付いて(憑いて?)いた若菜からクレームが付いた。 七十八センチの美乳をこれ見よがしに押し付けているのに延々と放置され、好い加減我慢出来無くなったらしい。 四つん這いになって宏の正面に回り、セクシー写真でお馴染みの女豹のポーズを取った。
「若姉のその姿……って、もはや突っ込まない方が好いのかしらん」
「え~~~~、なんで~~~~っ!?」
自慢の衣装を呆気無くスルーされ、若菜はプク~~~ッと頬を大きく膨らませて不満の意を盛大に表わした。 オマケに、瞳には薄っすらと光るものが……。
「って、何故泣くっ!」
速攻で突っ込む宏。 どうやら、若菜の衣装も渾身の一撃だったらしい。
「この衣装、私には似合わない~?」
四つん這いのまま、涙目の上目遣いで顔を覗き込んで来る若菜。 しかも、微妙~に身体をくねらせ、長く見せた美脚や二の腕で挟んだ慎ましやかな双丘(それでもCカップはある)をもプルプル揺らして暗に(明確に!)アピールして来る。
(さ、流石、セックスマスターを自負するだけあって、自分の身体を効果的に見せる術(すべ)を心得てるよなー)
そんないじらしい仕草に目尻を下げるものの、泣かせた(?)罪悪感も手伝って宏は口籠もってしまう。
「だってさ~、黒パンストに紺のハイレグ競泳水着って……コア過ぎない? 俺にはハードルが高過ぎるよ~」
つい、弱音(怖れ?)を吐く宏だったが、思わぬ所から若菜に援軍が現われた。
「若菜さんの衣装、今度はわたくしも着てみようかしら♪ 今夜、宏さんのお部屋へ伺った時に若菜さんを見た瞬間、宏さんのおチンポが、それはもう元気に、しかも、わたくしを見た時よりも大きく反応しましたから♪」
フォローしてくれた多恵子のひと言に、途端に機嫌を直す若菜。 泣いたカラスがもう笑った――とはこの場合は言わないと思うが、それはさておき。 素直に感情を示す若菜にクスリと笑った多恵子は宏の膝から下りると若菜と並び、宏の股間に手を伸ばした。
「いつ触れても……圧倒されますわね。これが宏さんの、お大事♥ 硬くて熱くて太くて長くて……まさしく、肉槍、肉棒、肉竿、鉄槍、勃起肉、等々と呼ぶのに相応しいお姿ですわ♥ ホント、逞しいおチンポですこと♥」
「多恵子さん、チンポに戻ってます」
宏のツっ込みが聞こえなかったのか、多恵子はうっとりと顔を綻ばせ、鼻先を亀頭に近付けてスンスンと何度か匂いを嗅ぐとピンク色の唇を開き、おもむろに真っ赤に滑(ぬめ)る舌を出して亀頭裏をペロリと舐め上げた。
「あぁ……こんなに太い血管が至る所に浮き出て……ビッキビキになっていますわ♪ 亀頭も丸く張り詰め、カリ首も大きく開き、竿自体もいつもより硬くなっていますし、わたくし達の衣装を存分に気に入られた動かぬ証、ですわね♥」
顔の位置と竿の位置を何度も変えては滾るペニスをマジマジと観察し、舌を伸ばして裏筋を舐め上げ、亀頭に唇を被せると滴るガマン汁を、音を立てて強制的に吸い上げる多恵子。 そしてそのまま竿の根本まで呑み込むと喉奥で亀頭を締め上げ、強く挟んだ唇で竿を抜きながら頬がこけるまで強く吸い上げ、陰嚢から鈴口まで裏筋に沿って舌を平らにして舐め上げてゆく。
「くぅ! た、多恵子さんの、ねっちりと濃厚な舌使いが……ヘビが絡み付いてるみたいで……気持ちイイ! もっと、してくれますか?」
思わず腰を浮かせ、足を伸ばして大の字になる宏。 仰向けになった方が奉仕されている感が強く、受ける快感の度合いも座っている時より大いに増すのだ。
「はい、歓んで♥ さぁ、若菜さんも一緒にご奉仕、致しましょう♪」
夫のリクエストに瞳を細め、舌舐めずりする多恵子。 その濡れて光る瞳の色は、すっかりと発情した晶や真奈美、ほのかと全く同じだ。
「えへへ~、今夜は『放課後プレイ~部活編』、だね~♪」
多恵子と交互に舌を這わせ、肉槍の頭からかぶり付くと唇で竿を扱きつつ舌を回してカリ首を攻める若菜。 若菜も、多恵子の放つ淫靡な空気(オーラ)にすっかり感化され、ちゃっかり発情していたのだ。 竿に唾液を擦り込むよう舌で舐り、尖らせた舌先で亀頭裏の筋の集まる部分を集中的に何度も細かく舐め上げる。
「うはぁ! 若姉の情熱的な舌使いも……たまらん! 二人とも口だけでチンポに触れてるから、受ける快感の度合いが半端無いんだ」
二人からの濃厚なフェラチオに、宏の腰は自然と浮き上がっていた。 それを見て多恵子と若菜は腰を挟んだ両側へ移動し、こちらに尻を向ける形となった。 宏からは左に多恵子、右に若菜が位置し、当然、股間の様子が丸判りとなる。
(うぉ! 二人だって興奮して散々濡らしてんじゃん! 電球色にしたシーリングライトの照度を半減させてすら判るんだから、相当、だよなぁ。多恵子さんは縦筋に沿って笹の葉状にくっきり濡らしてるし、若姉なんて内腿まで愛液垂らして黒ストの色が変わってるし)
そんな事を思いつつ、宏が二人の股間にそれぞれ腕を伸ばし掛けたら。
「宏ちゃんは~、ここ最近コスプレ着衣エッチに萌えてるんだよ~。だから私達の今日の衣装もツボなんだよね~♪」
「それで若菜さんはわたくしや皆さんに色々な衣装を薦めてらしたのね。流石、幼馴染の奥さんだけありますわ。夫の嗜好を率先して取り入れ実践する――。わたくしも、大いに見習わないといけませんわね♪」
「あ、いや、多恵子さん。そーゆー部分は見習わなくてイイですっ! ってか、影響されないで下さいっ」
ペニスを頬張る多恵子の尻に、股間に触れようと伸ばした手の甲で思わずビシッ、と突っ込む宏。 すると。
――ペチンッ!――
軽くタッチする程度だった筈だのに、意外な程、小気味好い音が部屋に響いた。
「あら、突っ込まれましたわ♪ うふ♪ これで、宏さんからは、ひと通り突っ込まれた事になりますわね♥」
若菜に肉槍を譲った多恵子が破顔一笑し、黄色い声を上げた。
「はい? ひと通り……とは?」
眉根を寄せ大きく首を傾げる宏に、多恵子は喜色満面、歓喜に打ち震えて曰(のたま)った。
「わたくしの孔という孔におチンポを突っ込まれ、更にわたくしの言葉にも突っ込まれましたから♪」
「あ~~~、そっかぁ♪ 孔って、口とおまんことお尻、だね~♪ しかも宏ちゃん、いつの間にスパンキングまでマスターしちゃってるし~♪ 今度、私にもしてみて~♥」
「……おいおい」
すっかり俗世間(?)に毒された多恵子とやんやと囃す若菜に、勃起肉はそのままに完全に脱力する宏だった。
☆ ☆ ☆
「多恵子さんってば、体操着の上からでも判る程に乳首勃起させて、ブルマの股間は縦筋状に濡れてるし、こんなエッチな女子中 学生がいたら、男子生徒は勃起しまくって体育どころじゃ無いですね」
「ホラ、肉付きの好いパイパンオマンコがパックリ開いてサーモンピンクに色付く媚肉が丸見えですよ? ズル剥けに完全勃起した真珠大のクリトリスが濡れ光って触られるのを今か今かと待ってるし、皺の無いシンメトリーなラヴィアは充血し薔薇のように開いてるし、愛液噴き出す狭く小さな膣も俺のチンポを根本までガッチリ咥えて離さないし」
「皿の上のプリンみたく抽挿する度に綺麗なお碗型のオッパイがプルンプルン揺れるし、興奮してる証拠に濃いピンク色の乳首が円筒形に長く伸びてるし、チンポが膣を擦る度にアンアンと艶っぽい声を上げ、亀頭が膣奥(おく)の子宮口を突く度にあひゃん♥ と、ひと際高い鳴き声を絶え間無く上げ続けて……なんてエッチな女性(ひと)なんだっ」
「あぁ……そ、そんな立て続けに……しかもあからさまに言わないで下さいまし! 女の恥ずかしい部分を指摘されて平常でいられる女など、どこにもいませんわっ」
屈曲位で交わる夫からの明け透けな言葉に、多恵子は羞恥心を煽られ、思わず顔を横に背けた。 体操着の上着は首まで大きく捲り上げられ、ブルマの股間部分も横にずらされ挿入されているので、ともすると宏が幼気(いたいけ)な女の子を犯しているようにも見えるのだ。
(わたくしのおまんこに宏さんのおチンポがズボズボ挿(はい)っているのが丸見えです! あんな太く長いモノがわたくしの膣(なか)に突き刺さっています! 宏さんの逞しいおチンポがわたくしの愛液で濡れ光って……素敵です♥)
目に映る衝撃的(?)な構図に、多恵子の理性も崩壊寸前だった。 もっとも、いくら愛する宏との性生活に慣れて来たとは言え、この程度で取り乱すようでは、まだまだ初心者……あるいは初級者の域を脱していない証拠だろう。 なにせ、このお屋敷に住まう九人の奥さん達は、自分と違って若い頃から性に精通しているのだから。
(でも、女子中 学生はどうかと……。わたくし、女子大生のつもりでしたのに。宏さん、やっぱりロリコンの気があるのかしら? 今度、筆頭妻の晶さんや国内外に詳しいほのかさんに聞いてみませんと)
全身を襲う性電気で意識が飛びそうになりつつも、知らず知らずのうちに波風が立つ下地を作る多恵子だった。
(それはともかく。飛鳥が愛読しているレディコミも、本物のエッチを前にすると如何に稚拙かと言うのがよ~く判ります。百聞は一見にしかず、ですわ)
いくら丹念に予備知識を仕入れ、脳内シミュレートし、どんな淫らに取り繕っても、愛する男性(ひと)と僅かでも肌が触れ合えば性の魔力――性の快感に翻弄されて嫌でも地が出てしまう。 しかも、自分は奥さん達の中で最も性に開花(?)したのが遅かったのだ。 日々変化する夜の夫婦生活に恥じらいが取れず性感の波に呑み込まれても、これはこれで仕方が無いのかもしれない。
(それに、わたくしより半年前に奥さんになった千恵さんですら、未だに恥ずかしがっているコト、多々ありますし)
体格的にも仲間(?)がいて何となく安心する多恵子だったが、それでも股間と胸からの痺れるような快感に抗えないのはいつも通りだ。 覆い被さる宏が小さく身動ぎするだけでも繋がった部分から熱く滑(ぬめ)った愛液が迸っては下腹部を盛大に伝ってゆくのが判るし、ペニスが一ミリ動く度に、はしたない喘ぎ声も無意識に漏れ出てしまう。 愛する宏の温かくも逞しい身体に抱き付く手足が触れているだけでも、天にも昇る気持ち好さなのだ。 そんな時に、自分では直接見られない女の部分を赤裸々に指摘されたら……。
「ひ、宏さんっ。後生ですから、わたくしの身体を詳細に言わないで下さいまし! もう若くは無いのですし……恥ずかしくて顔から火を噴いてしまいますぅっ!」
「顔から火を噴き、下の口からも潮を噴く多恵子さん……。グッジョブ♪」
「も、もう~~~~、宏さんの、いけずぅ~~~♥」
イヤイヤと真っ赤に染めた顔を振り、宏の胸に押し付けて顔を隠す多恵子。 実際、多恵子はアクメに導かれる度に潮を噴き上げるので、宏の股間とシーツはびっしょりと濡れているのだ。
「多恵子さんの、この濡れ具合……。ホントは、多恵子さんがこの衣装でエッチ、したかったんじゃありません?」
「そ、それはっ! ……確かに、わたくしと宏さんが学生時代に出逢って恋に落ちたら……などと妄想はしましたが、こ、こんなに生々しいとは想定外です! 想像の範囲外ですっ! わたくしはこんなエッチな女じゃありません!」
図星だったので誤魔化す為に若干、拗ねた感じで言ってみる。 しかし。
「そんなコト言っても、身体は正直ですよ? ほら、多恵子さんのオマンコ、俺のチンポ咥え込んでちっとも離さないですし、多恵子さんの腰自体、小さく前後左右上下に動いてるんです。俺は今、抽挿してないんです」
「……え? ……えぇ!? え~~~~っ!!」
心外な事を言われ、目を剥き思わず絶叫する多恵子。 しかし、そう言われれば確かに宏の腰は動いていない。 だのに、膣からは盛んに性電気が発生し、全身を駆け巡ってもいる。
「あぁ!」
宏の言う通り、腰が意思とは裏腹に勝手に動いていた。 しかも、腰の螺旋運動とは……。
「~~~~~~っ!!」
羞恥と欲望が胎内で渦巻き、翻弄され、無言の叫び(嬌声?)を上げ涙目になる多恵子だった。 そこへ。
「多恵子さん~。それ、私が驚く時の台詞だよ~」
宏の背中に胸をはだけて覆い被さっていた若菜からの、苦笑しつつも小さな抗議で我に返った。 それでも。
「だって……だって宏さんのおっきくて熱いおチンポ、気持ち好いんですもの! わたくしの長らく空席だった女の孔に、血の通った宏さんの逞しいおチンポが挿し込まれて……これが凄く気持ち好くって……身体が勝手に反応してしまうんですもの! 宏さんのおチンポ、絶対に離したくはありませんっ!」
強烈な性電気の成せる技か、心からの本音が漏れてしまい、思わず後悔する多恵子。
(あぁ……こ、こんな赤裸々な事を言ってしまって、さぞや引かれたのでは)
などと杞憂していたら。
「嬉しいです。俺が多恵子さんの空いた部分を埋めているのかと思うと幸せです♥ 俺に空いた部分を埋めさせてくれて、ホントに嬉しいですっ♥」
「ひ、宏さん♥ あ……あぁ……あぁああああああああああっ!!」
まるでプロポーズをされているかのような夫からの台詞に多恵子は意識が一瞬で飛び、全身を痙攣させ、瞬く間に昇天してしまった。
「くっ、狭い孔が更にきつく締まって……チンポがちぎれそうだ! でもあったかくってヌメヌメしてて……扱かれつつ吸われる感触が気持ち好くって……俺も……イクぅっ!!」
さっきから延々と抽挿し、何度か子宮(なか)に精を放っていてもアクメ時の膣圧には敵わなかったらしく、宏が腰を小さく震わせ、小刻みに突いて来た。 すると、温かいモノが次々に撃ち出される感覚と熱い位の温もりが膣全体に拡がった。
「あぁ……宏さんの精液、温かい……。膣内(なか)いっぱいに染み込んで……わたくし、女に生まれて幸せです♥」
全身で愛する夫を抱き締め、精を授けてくれたありがたみを満喫する多恵子だった。
☆ ☆ ☆
その後。 低身長の多恵子と高身長の若菜による凸凹(?)主婦コンビは、宏は勿論、屋敷の住人達に居心地の好い雰囲気と胃袋に優しい味を生涯提供し続けるのだった――。
(つづく)
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