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     ~ラブラブハーレムの世界へようこそ♪~


恋路(3) 恋路(3) 美姉妹といっしょ♪~新婚編
 
「宏ちゃん~、背中にオイル塗ってぇ~♥ 焼き始めだから~、きちんと塗っておきたいの~♪」

「宏、オレにも塗ってくれよ。保湿成分が多いオイルだから、隅々まで、た~~~っぷり、とな♪」

 昼食(宿が用意してくれた極旨の海鮮バーベキューだった♪)を終え、砂浜に敷かれたシートの上でみんなと一緒にゴロンと横になり、お茶を飲みつつまったりと過ごしていたら、若菜とほのかから声を掛けられた。
 しかも、二人して白いうなじを見せ付けるように長い髪を首の後ろで手繰り寄せ、胸の前へと流した。
 その匂い立つ色香と願ってもないリクエストに、宏は速攻で首肯する。

「オッケー♪ 丁度好い食休みになるしね」

 手渡されたオイル片手に、俯せになった若菜の横に座る。

「って若姉? ワンピの水着着てるけど、どーすんの? 背中の見えてる部分を塗れば好いの?」

「宏ちゃんが脱がせて~♪ 腰の下までぐっと下げたら跨って好いから~。何だったら、全部脱がしても好いよ~♥ てか、そうして欲しいな~♪」

 その言葉に若菜の姉である千恵が「ナニ、バカ言ってんのっ!」と吼え、宏も欲望に忠実な若菜に苦笑する。

「だ、大胆だね。ここにいるの、俺達だけじゃ無いよ?」

「大丈夫だよ~♪ さっきタープを低くして角度も変えたから、浜や道路からは見えないよ~♪」

 宏達はここに来て早々、砂浜の端――岩場との境目にヘキサゴン型の大型タープを三つ張っていた。
 この場所ならば浜に出入りする人の動線とは反対側になり、好奇の視線も避けられると判断したのだ。

(なんせ、スーパーモデル以上の美女が十人も揃ってるもんねー。目立たないのに越したことは無いし)

 ここに来るまでの道中(特に混み合った列車の中)で、いったいどれだけの数の視線を浴びた事か……思い出すだけでも辟易する。
 しかも、宏自身が午前中の『ジョーズ君♪』騒動で一躍、時の人(?)となり、余計、人目に敏感になってしまった。
 もっとも、奥方達は注目されるのに慣れているらしく、全く意に介さなかったのが救いだ。

「準備万端だね。それじゃ~遠慮無く跨らせて貰うね♪ 若姉、水着ずらすから、ちょっと胸を浮かせて……そう、オイルが付かないよう、大きく下げるからね♪」

「いやん♪ お尻の割れ目、出てる~♪ ……宏ちゃん~、俯せると横チチの膨らみが色っぺ~でしょ~♪」

「って、若姉がぐっと下げて、って言ったんでしょ! まぁ、確かにそそる曲線美だね……(ごくりっ)」

 宏も、人目が無ければ大胆になれる。
 午前中の晶や夏穂、飛鳥と美優樹との青姦、水姦(水中姦?)が好い例だ。
 オイルをたっぷり手に塗すと何度も捏ね回し、人肌に温めてから雪のように真っ白な背中に手を滑らせる。

「あひゃん♥ はぅん♥ あぅん♥ ふぅん♥ うふん♥ あはん♥」

「――って若姉! 手を滑らす度に色っぽい声、上げないで! やりにくいじゃん」

「えへへ~、イカにもタコにも、カップルで来た夏の海っぽいでしょ~♪ 『あ、手が滑った♥』とか言って、オッパイ触ってもイイよ~。ってか触って~♥」

「へいへい。俺が悪かったです」

「あ~ん、宏ちゃん、ノリが悪い~っ! 海でデートするカップル、再現するの~!」

 宏は取り留めの無い会話を楽しみつつ、陶磁器かと思うような白く肌理細やかな背中から腰、腕までを隈無く念入りに撫でさすってゆく。
 肩から二の腕と、腰から肩甲骨まで塗り上げ、そのまま胴体の横に手を伸ばして脇の下からバストの裾ギリギリを掠めて腰骨の下まで。

(このまま手を伸ばせば若姉のオッパイや尻、揉み放題なんだよなー♪ でも自重自重。陽はまだ高いし)

 張りのある肌と、柔らかだけど弾力のある筋肉のバランスが何とも艶めかしい。
 それに、尻に敷いたヒップの盛り上がりと弾力も思いの外、心地好い。
 オマケに、尻の割れ目と股間のイチモツが水着越しと言えど、ピタリとハマっているのは……役得として甘受する。

(若姉は薙刀でインターハイ出てたからかな、贅肉の無い締まった肉体は今も健在だな。肩や二の腕の筋肉なんて、現役並みじゃね? 背筋も鍛えられてるし、引退してから既に六年以上経ってるのに凄いな)

 家事はハードな肉体労働である、と思い至らぬ宏が幼馴染の肉体美に見惚れ、感触に酔いしれていたら。

「オイオイ、次にオレが控えてるんだから、そろそろ切り上げてくれないかなー」

 バカップルよろしく若菜とイチャイチャ(ネチャネチャ?)していたら、頬を膨らませたほのかからクレームが付いた。

「あ、ごめん。すぐ行くね。……ハイ、若姉終了! ほのかさん、お待たせ……てっ!?」

 もっと塗って~、前は全部塗って~♥ と、全裸になり掛けた若菜をどうにか宥(なだ)め、後ろへ振り向いたら、目の前には金色の三角ビキニのブラを脱ぎ捨てた美女が仰向けで待っていた。
 当然、横に崩れない美乳(八十三センチのCカップだ♪)やピンク色の頂が美味しそうに打ち震えている様子が真っ先に目に飛び込んで来る。

「このまま塗って好いぜ♪ 宏だって、こっちの方が嬉しいだろ?」

「まぁ、それはそうだけど……いくらタープの角度変えても、海側からは丸見えだよ?」

「ここにはオレ達だけしかいないから大丈夫だ。他のグループはみんな引き上げちゃったしな。……物騒な騒動、誰かさんが起こしたからな♪」

 タープから首を出し、周囲を見渡すと確かに自分達以外、誰もいなかった。
 ほのかの話では、さっきの『ジョーズ君♪』騒動が後を引いている……らしい。

「マジで!?」

 夢の世界から現実世界へ一気に引き戻される宏。
 心拍数が跳ね上がり、どうやら自分が思っていた以上に、『ジョーズ君♪』は騒ぎになっていたようだ。
 直接的な責任は一切無くとも騒ぎの元となった事に変わりは無く、反省する宏。

(でも、済んだ事は仕方無いよなぁ。駆け付けた警察や消防、役場の人達から警告注意お小言、一切受けなかったし。ってか、むしろ大笑いしてたよなー。……にしても、ここ、ホントに夏休み中の海水浴場か? 観光客はおろか、地元の人すらいないって、いったい……。俺が地元民だったら、毎日朝から晩まで泳いでるぞ!?)

 心癒される風光明媚な景色や透明度抜群の海は見飽きているのか――そんな事をつらつら考えていたら、ご当主の憂いを全て払うかのように晶が声高に笑い声を上げた。

「あはははは! ヒロ、ほのかの話は冗談よ! だからそんな本気(マジ)にならなくて大丈夫よ!」

 それを証明するかのように、他の面々からの、弾ける笑顔。
 優と真奈美、多恵子は「可哀想だから止めたんだけどね」と言いつつ頬が緩み、瞳も笑っている。
 どうやら、奥さん達が仕掛け人となったプチドッキリ(?)を喰らったようだ。

「ほのかさん~、勘弁してよ~。みんなも! 心臓に悪いじゃんか~。……でも、冗談で好かったよ。サメが出た、なんて話が広まったら、それこそシャレじゃ済まなくなるしね」

「あはははは! 悪かったな、宏! まぁ、ちょとした、夏の海だからこそのオチャラケだ。気にするな♪」

「フフ……あはははは! してやられたよ。降参!」

 いつもは自分がドッキリを仕掛ける側だったのに、見事、ドッキリに嵌ってしまった。
 それでも、心底安心した筈だのに、未だに心臓がドキドキしているのは……それだけみんなの笑顔が眩しく、自分も無意識に楽しんでいる証拠だろう。

「この浜から人がいなくなったのは、みんな新婚のあたし達に遠慮してくれたのよ♪」

 ネタバラしする晶がニヤリと笑うも、続く優の言葉でたちまち眉を吊り上げた。

「……みんな、ボク達を珍獣扱いで遠巻きにしてただけ。浜から引き上げたのは、お昼を食べに帰宅しただけ」

「――って、わざわざバラす事、無いでしょっ!」

 晶と優の掛け合い漫談を横目に、宏は目の前のハーフ美女に視線を戻す。

「それじゃ、ほのかさん。改めてオイル、塗るよ」

「好いぜ♪ ご当主をドッキリに仕掛けた詫びだ。好きな所を好きなように弄んで好いぞ♪ 孔の中までな♥」

「ほ、ほのかさん、本音が駄々漏れ。それじゃ、遠慮無く♪ えっと……腿の上に乗るよ?」

 僅かに頬を赤らめ、小さく頷くほのか。
 切れ長の碧眼が既に濡れている所を見ると、どうやらほのか自身も待ち焦がれていたらしい。
 宏はオイルを手で捏ねている間、目の前で横たわる北欧産ハーフ美女に視線を走らせる。

(ほのかさん、ますます色っぽくなってる気がする。日本人には到底及ばない彫りの深い美顔に、純金で作られてるんじゃないかと思うような、波打つ長い髪。手足はスラリと長いし肌も透けるように白くて肌理も細かいし。オッパイも横に崩れず綺麗なお碗型に盛り上がってるし、ピンクの乳輪は百円玉位の丁度好い大きさだしピンッと屹立してる乳首が何とも淫靡だし♥ お臍も綺麗な楕円で、お腹なんて陶器みたくスベスベだし……北欧産美女、侮り難し!)

 などと、無言で見つめていたら。

「お、おい、宏。そんな穴が空く程見つめられると、流石に恥ずかしいって。ほ、ホラ、さっさと塗ってくれよ♥」

 目元を紅(あか)く染めたほのかが膝を摺り合わせ、小さく身動(みじろ)ぎした。
 どうやらガン見、し過ぎたようだ。
 捏ねていたオイルも、人肌を通り越してすっかり熱燗になってしまった。

「あ、っと、ゴメン。余りの美しさに本気(マジ)で魅入ってた。それじゃ、改めて♪」

 うら若き美女にオイルを塗るシチュエーションはそうそう無いから、否が応でも興奮もする。
 しかも仰向けなので、塗っている間はどんな反応を示すのか、表情はどうなるかも楽しみだ。
 果たして。

「はぅん♥ あふぅ♥ はぅっ♥ んぁあ~~~♥ あん♥ はぁん♥ ひゃうっ♥ あ、あ、あ、あ~~~っ♥」

 手をゆっくり滑らす度に、熱く艶めかしい吐息を盛大に吐(つ)いて来た。
 加えて、肌に触れた場所が微妙にヒク付き、オイルで光る肢体が蠢いて色っぽい事、この上無い。

(うっわー、ほのかさんのウェスト、細っ! お碗型のオッパイ、眼福っ!!)

 特に、腰骨から胸に掛けて胴体の横を擦り上げると、ウェストの細さが好く判る。
 まるで、等身大の瓢箪を撫で擦っているかのような錯覚さえしてしまう。
 オマケに、バストの裾野を指が掠めると弾けるようにプルルン! と揺れ、すぐ元の形に戻るのだ。
 そんな双丘の不思議が面白く、何度もバストの周囲に両手をはべらせていたら。

(あ、勃って来た。ほのかさんの乳首、喘ぎ声と連動して、さっきよりずっと長く、そして太くなってる♪)

 自らの手で女体を開花させているのかと思うと、よりオイルを塗る手に力が籠もり、同時に、ほのかの艶っぽい喘ぎ声がタープの中に幾重にも漂ってゆく。
 実は、宏はここまで双丘の裾野を指が何度か掠めた程度で、乳房本体には一切、触れていない。

(ほのかさん、オッパイ見せ付けて俺を煽ろうとしたみたいだけど、いつの間にか、逆に追い詰められてるよなぁ。オッパイに手が近付くと嬌声が高まり、離れると切な気な声が上がるのが、好い証拠だし♪)

 それでも宏は色っぽい喘ぎ声が聞きたくて、わざと、胸の平原だけを撫でさすり、時々、フェイントで山腹を指で掠める。
 当然(?)、ほのかの艶っぽい声もそれに連動して抑揚が上下する。

「ほのかさん、わざとでしょ? わざと色っぽい声、上げてるでしょっ」

「バカだなぁ、宏は。愛する男からの蕩ける愛撫に、悶えない女はいないぜ?」

 ――プッツン――。

 日本人離れした絶世の美女が目尻を赤く染め、潤んだ碧眼で見上げ、尻の下で内腿をモジモジさせている――そんなほのかに、宏の理性の糸がいとも簡単に切れた。

「だったら、俺もそれに応えないとね♪」

 言いつつ、ほのかの腿から降りると、三角ビキニのボトムを電光石火の早業で剥ぎ取る宏。
 右手を白磁のような無毛の恥丘に這わせ、深く切れ込んだ縦筋に中指を沈めると、明らかにオイルとは違う粘着質な液体がねっとりと指に絡み付いて来た。
 オマケに、指の根本にはナニやら硬く尖ったしこりまで感じる。
 脱がしたボトムを見ると、体液が染みた跡が笹の葉状に残っていた。

「ほのかさん、すっかり出来上がってるね♪ オッパイだって、ホラ、こんなにも……」

 ほのかの横に陣取り、荒くなった呼吸に合わせて上下に揺れるバストに左手を宛がい、指の股で頂を挟む。
 すると見る間に指が押し広げられ、さっきよりも硬く、そして大きく屹立してゆく。
 宏は極軽くバストを揉みしだき、軽く沈めた右中指もゆっくりと縦筋に沿って動かしてゆく。

「あひゃん! ど、同時に弄るのはぁ、は、反則だぁんっ♥ し、刺激が強過ぎて……んふんっ♥ だ、ダメぇ♥」

 胸が大きく上下し、指を挟む陰唇が熱を帯び、トクトクと溢れ出る白蜜が指の動きをより活発化させる。

「ほのかさん、アソコがグチョグチョと盛大に音を立ててるの、聞こえる? まるでお漏らししたかのようにシートまで滴ってるよ。乳首だってピンコ勃ちしてるし~♪」

「ひゃぅん♥ そ、そんなコト……言われ無くてもぅ! わ、わ、わ、判ってるぅううんっ! あ、あ、あ~~~っ♥」

 ハーフ美女の無毛の股間を撫で続け、プルプル揺れる柔らかな双丘を飽きる事無く揉みしだいていると、さっきよりも熱く妖艶な喘ぎ声が連続して漏れ始めた。

(うっわー、これじゃ俺がたまらん! こんな色っぺ~ほのかさん見てたら、聖人君子でも我慢出来無いって!)

 海パンの中では、すっかりと発射準備の整った長距離ミサイルが、今か今かと出番を待っている。

「ほのかさん、オイルとは別の液体を塗ってあげるよ」

「い、好いぜっ♪ ひ、宏特製のミルク、オレに恵んでくれよ♥」

「ラジャー!」

 多くを語らずとも、互いの望みが判り合える二人。
 それでも、宏は目の前で横たわる美女に――特に蠱惑のデルタゾーンに魅入ってしまう。
 宏のフェチの原点であり、エッチエネルギーの源でもある、パイパンの丘だ。

「ホラ、見惚れてないで早く……宏の熱いの、ぶっ掛けてくれよ♥ 宏だって我慢出来無いだろ? 海パンの前が凄いコトになってるぞ。さっきから何度もピクピク動いてるし、先っちょの染みもジワジワ浮き出てる」

「……あ、ご、ごめん! 今すぐ――」

 フリーズしていたら、潤んだ瞳に熱い吐息交じりにおねだりされてしまった。
 慌てて腰を浮かせ海パンに手を掛けた所で、今度は若菜からクレームが付いた。

「宏ちゃん、ずるい~! 私にもぶっ掛けてよぅ~」

 仰向けになって涙目で見上げ、いつの間に全裸となった若菜が海パンの裾をツンツンと引っ張って来た。
 どうやら、少し放置し過ぎたらしい。
 見ると、無毛の亀裂から透明な液体がトロリと湧き出し、内腿をべっとりと光らせていた。

「判った! 二人同時にするからね!」

 邪魔な布を脱ぎ捨て膝立ちになった宏は完全勃起した肉槍を右手で構え、身体の向きを器用に反転させつつ柔らかな女体を掃くよう、オイルの滑(ぬめ)りを利用して擦ってゆく。
 宏の左には純国産美女が、右には北欧産ハーフ美女がそれぞれ仰向けで横たわり、灼けた肉棒で撫で擦る度に肌を震わせ、半開きの口から妖艶な喘ぎ声をはばからず上げてゆく。

「若姉の美乳、メチャ色っぽくてイイ! ほのかさんのヴィーナスの丘、スベスベしてて気持ちイイ!」

 握る肉棒を縦横無尽に操り、若菜の勃ち誇る乳首を弾き、白蜜の湖となったほのかの淫裂を割り開いてゆく。
 ほのかの白蜜と宏のガマン汁が絡み合い、肉棒を介して若菜の肢体を薄白く染めてゆく。
 目に飛び込むエロス成分と肉棒から湧き上がる強烈な性電気で、宏は呆気無く沸点を超えてしまう。
 もっとも、この状態をそれこそ永遠に続けられたら、それはそれで神かもしれないが。

「か、カリ首が擦られて……裏筋も擦れて……もうダメ! 出すよ!」

 脊髄を震わせ脳ミソを揺さ振る快感に屈し、本日何度目かの絶頂を、まずはほのかに勢い好くぶっ掛けてゆく。

 ――ぴゅるるるる~~~っ! どぴゅん、どぴゅん! ぴゅるりら~~……――。

 午前中から連発した所為か、噴き出す勢いがいつもより若干弱く、粘り気も薄い気がするのは気の所為だろうか。
 それでも、降り注ぐ熱さと量だけは変わらないようで、白濁液を浴びた美女が恍惚状態で口を開いた。

「あぁあ……宏の熱いザーメン、身体中にたっぷり浴びるのがクセになりそうだぜ♥ 匂いも……たまらんっ♥」

 無意識なのか、深呼吸しながら両手を這わせて身体中に精液を擦り込むほのか。
 どうやら精液を浴びた事で小さなアクメを迎えたらしく、下腹部の所々がピクピクと痙攣しているのが生々しい。

「次は若姉だ! 受け取って!」

「ひゃん! 宏ちゃんの精液が降ってくるぅ♥ あぁ……夏なのにオッパイがすっかり雪化粧しちゃったよぅ~♥」

 ピンク色の頂きや山の斜面にこびり付いた白濁液をウットリと見つめ、満足気に切れ長の瞳を細める若菜。
 こちらも無意識なのだろう、身体中に飛び散った白濁液を指に絡め取り、何度も口に運んでは咀嚼している。

「雪化粧って言うより、どう見ても白い溶岩(マグマ)でしょうに」

 苦笑する――でもどこか羨ましそうな夏穂の突っ込みに、他の面々も顔を赤らめ大きく頷くのだった。


     ☆     ☆     ☆


「……ヒロクン、疲れてない? 旅は始まったばかり。無理は禁物」

「宏君、今日は朝から八面六臂の活躍してたものね。しかも昼食を挟んで午後まで」

「あははは……。優姉、お気遣い恐れ入ります。真奈美さん、活躍じゃ無いけど、何とか初日を乗り切れそうだよ」

 思わず、二人に頭を下げて礼を言う宏。
 奥さん達の中では比較的常識を持ち合わせ、普段から周囲にも気を配ってくれる二人だけあって、歳下の夫へのフォローも抜かりは無いようだ。
 宏達三人は沖の岩塊を回って少し南に下った海岸に畳三枚分の砂地を見付け、ここでひと休みする事にした。
 幸い、左右は切り立った小さな崖になっているので、浜にいる色々な面々から見つかる事はまず無いだろう。
 それに、ただでさえ美女軍団を率いて注目されていた所に『ジョーズ君♪』騒動で一躍有名人になってしまったので、ほとぼりがサメるまで身を隠すには好都合だ。

「……朝イチの列車でここまで来て宿にチェックインし、炎天下の中、午前中から海に入って休む間もなく射精(だ)し続けたら、いくらなんでもバテる。ボク達はいつでも好いから、今はゆっくり身体を休めると好い」

「そうだよ。自分の身体をいたわる事も、宏君の大事なお勤めだからね♪ 第一、ヘタって疲れた宏君とイチャイチャしても、私、楽しくないし」

「……向こうの浜にいると、お姉ちゃん達が姦しい。ハイテンションの中で過ごすと、知らず知らず疲れが溜まる」

「あ、あはは、まぁ、そうかな。それにしても、フロートひとつで、あれだけの大騒ぎになるとは思いもしなかったよ」

「私達や海岸にいた人達は膨らませる所から見てたからオモチャだって知ってたけど、車で通りかかった人が勘違いして通報しちゃったものね。最初に自転車に乗ったお巡りさんがすっ飛んで来た時は何事かと思ったわ。そしたらサイレンの音と共にパトカーやら消防車やら救急車やら続々来て、最後は海上保安庁と報道のヘリコプターまで飛び回ってたしね。まさにお祭り騒ぎだったわねー、うふふ♪」

「……ボク達や浜にいた人達が事情を説明してたらヒロクンが噂のブツを抱えて登場し、一瞬で万事解決」

「お、お祭り騒ぎ……。真奈美さん、笑いゴトじゃ無いんだけど。優姉、俺だってビックリしたよ。沖に流された『ジョーズ君♪』を回収して浜に戻ったら上を下への大騒ぎだったからね。こんなコトなら、最初から買わずに……ん?」

(まてよ? まさか……こんな騒動が起きるのを承知で尚、九割九分の値引きしてたのか、あのホームセンターはっ! だったら現品処分で叩き売りせずにメーカーへ返品すりゃ好いのに……出来映えの好さと余りの安さでつい買っちゃったじゃねーか! それとも買った俺がアホなのか? はたまた使う場所を誤った俺のミスなのかっ?)

 何やら貧乏くじを引いたような……そんな気がするも、捨てる神あれば拾う神あり、とばかり真奈美が微笑んだ。

「はい、宏君。膝枕、してあげる♪ ちょっと硬いかもしれないけど、休むには適した高さだと思うわ」

「……ん♥ ボクも、たまには奥さんらしいコトをしないと、ヒロクンから愛想を尽かされてしまう」

 夏の強烈な陽射しが当たらない岩陰に正座した真奈美がポンポンと自分の太腿を叩きながら売り込み、優もいじらしい台詞を寄越しつつ同じ姿勢、同じ仕草で真奈美の隣に陣取る。
 しかも、ちゃんと頭の方が高くなるよう、海側に宏の足が伸ばせる配慮まで。
 そして、二人して目元と頬を紅(あか)く染め、何やらモノ言いたげな潤んだ瞳でじ~~~っと見上げて来た。
 その視線は、「私が癒してあげる♥」「……ボクだって癒してあげられる♥」といわんばかりで……。

「え~っと……」

 その余りに純粋、かつ真摯な愛情に心拍数が急上昇し、手の平が汗で濡れ、自分でも首から上が真っ赤になってゆくのが判る。
 傍から見れば、口をパクパクさせた金魚のように映っているだろう。
 当然、思考が纏まらない脳ミソからは気の利いた台詞が咄嗟に出る訳が無く、結果、

「どっちがどっち?」

 などと、意味不明なボケを真顔で返してしまった。

(――って、うわーっ! ナニ言ってんだ、俺っ!? せっかく真奈美さんと優姉が膝枕してくれるって言ってんのに、俺様のバカバカバカっ!)

 頭の中で、自分の頭を何度も岩場に打ち付けると沖に向かって猛然と泳ぎ去ってゆく姿がリアルに浮かんだ。
 宏は、バカ騒ぎ(?)しつつ勢いでエッチしてしまう流れとは根本的に違い、一般的な恋人同士のように(今は夫婦だが)初々しく淑やかで恥じらいもあるスキンシップに照れてしまい、思わず二の足を踏んでしまったのだ。

(馴れって恐いよなー。所構わずエッチする事に全員、躊躇いが無いもん。だからかな、こーゆー日本的な『癒し』を改めてされると、いかにもラブラブな恋人同士みたいで照れるし恥ずかしいんだよなー)

 宏の目の前に、ここにいる可憐な二人に加えて晶達八人の屈託の無い笑顔が次々と浮かんでは消えてゆく。

(でも、俺の奥さんは十人いるから仕方無いとは思うけど、時々、張り合う……と言うか、競う……と言うか、我も我も、って形になるんだよなー。そりゃ、求め尽くしてくれるのは有り難いんだけど、俺はひとししかいないから、どうしても順番に相手するしかないんだよなー)

(でもまぁ、これはこれで楽しいし幸せだから好いか♪ いくら深く考えても取り巻く環境は変わらないし、俺も若姉や夏穂先生、ほのかさんみたく素直な気持ちで接し、行動すれば好いんだよな。俺だって今回の旅行で水着美女の膝枕、して貰おうと考えてたんだから、真奈美さんと優姉の膝枕を純粋に愉しめば好いだけなんだよな)

 ――ふぅ~~~~――。

 詰まるところ、十人の美女を娶った以上は一般的な平穏とは無縁なのだと諦め、内部でわだかまっていたモノを全て排出するかのように深く、そして長く息を吐いた。
 すると肩の力が抜け、心と身体が軽くなった……ような気がした。
 どうやら知らず知らずのうちに周囲に振り回される癖が付き、己の欲望を満たす事をすっかり忘れていたようだ。
 と、ここで宏の深く長い溜息にビクンッ、と身体を震わせた美女二人が躊躇いがちに声を掛けた。

「……ヒロクン、大丈夫? もしかしてボク達、ヒロクンに無理させてた?」

「宏君、少し眉根が寄ってたよ? 私達、このままここにいても好いのかしら? それとも席を外した方が好い?」

「えっ!? あ、いや、違うんだ。二人の水着姿がメチャ可愛いくて、思わず魅入ってた」

 つい考え込んでしまい、不安気な表情をしていた二人に要らぬ心配をさせまいと咄嗟に誤魔化す宏。
 どうやら夏の海に相応しく無い顔をしていたようだ。

「それじゃ、お言葉に甘えて膝枕、して貰おうかな♪」

 考えを決めたら行動も早いのが宏だ。
 それまでの迷いや憂いを全て吹っ切り、笑顔を向けると、いそいそと二人の元へ身を寄せた。

「えっと、その、宏君? そこで……好いの?」

「……ヒロクン、それ、変化球。ボクもビックリ」

 戸惑ったように眉を八の字に下げる真奈美と、真ん丸く目を見開く優に、宏は堂々と応える。

「うん! この方が公平で一番好いと思ったんだ。それに、こっち向きの方が気持ち好さそうだし~♪」

 宏は正座する真奈美の右腿と優の左腿を密着させると、その間に俯せて顔を埋めた。
 宏から見れば右手側に真奈美が、左手側に優が座っている形になる。
 ついでに言えば、この姿勢は仰向けよりも二人の身体を同時に、かつ自由にまさぐれるナイスな形なのだ。

「……ヒロクン、エッチに関して天才。よもや、こうするとは想像の範囲外」

「だからって、正座して膝を開くのは……ちょっと恥ずかしいわ」

「そりゃ、男だし好きな女性(ひと)のムッチリ太腿を両頬に感じつつ甘い匂いに包まれたいし♪ それに、膝を開いてくれれば、こうして内腿や股間が弄り放題だしお尻も下から撫でられるし~♪」

 こうするんだよ、とばかり、宏は二人の太腿に頬擦りしつつ、左右の手を蠢かせた。

「あんっ♥ 宏君の熱い吐息が腿を灼いて……水着の上から私の割れ目、弄ってるぅ♥」

「……くっ! い、いきなりアヌス撫でるのは反則。はぅんっ♥ 水着の上からアソコ、なぞっちゃダメぇ!」

 青色のワンピース水着を纏う真奈美が内腿をヒク付かせ、水色ビキニの優は自分の胸を抱いて身を震わせる。

「真奈美さんの太腿、スベスベで気持ちイイ! 優姉も張りがあって美味しいよ♪」

「あん♥ 何度も頬擦りしながらお股、弄っちゃダメぇ♥ 私、イケナイ気分になっちゃう♥」

「……ヒロクン、太腿舐めながら、お豆擦り上げちゃダメぇ。妖しい気分にボクがなっちゃう。……って、ヒロクン、さっきから腰が浮いてる。まるで、鉄棒で支えられてるみたい」

 太腿に顔を埋(うず)めた時から、宏のイチモツは完全勃起していたのだ。
 しかし今は射精の快感を得るよりも、目の前の美女を徹底的に愛撫(イタズラ?)し悶えさせる方が断然面白い♪

「真奈美さんのココ、粘り気のある液体で洪水になってるよ? 優姉のオッパイ、先っちょが硬く尖ってるし♪」

「あんっ♥ 水着の上から押し込んでも指は挿らないわ。せめて――あひゃんっ♥ じかに見ちゃダメぇ♥」

「……あぅ♥ いつの間に胸にも手を伸ばすとは。流石、エロ大魔神たる若菜さんの師匠だけはある……ぅんっ♥」

「やっぱ、水着をずらして弄(いじ)ると、イケナイ事してるみたいで萌える~♪ 真奈美さん、クロッチ捲ったら花が咲くみたいにオマンコがひとりでに開いたし、優姉の乳首、布越しでも勃ってるの判るし♪ 二人共……どして?」

 腿に顎を載せ、縦横無尽に手を蠢かす宏に真奈美と優は抗う術を持たず、息は荒く、熱くなってゆく。

「はぁん! そ、そんなの、言えないっ。言ったら恥ずかしぃいっ!」

「うっくっ! ……ひ、ヒロクン、いつの間に隠れSモードになってる。目も据わってるぅっ!」

「ほら~、ちゃんと言わないと、もっとお仕置き、しちゃうよ~。真奈美さんのクリ、すっかり剥けて勃ってるね。指で皮ごと挟んで、優姉も水着の上からお豆に宛がって、そのまま揺らしちゃうぞ~。ホレ♪」

「「はひゃんっ!」」

 女の弱点を攻められるや真奈美と優が同時に甲高い嬌声を上げ、腰を小さく跳ね上げつつ腿に乗る宏の頭を二人一緒に鷲掴みにする。
 どうやら小さなアクメを迎えたようだ。

「ふふ、もしかして俺と若姉とほのかさんの『ぶっ掛けプレイ』を傍で見てて、身体が疼いてたのかな? そこに俺が弄ったら我慢出来無くなった、って感じかな?」

「…………っ!」

「……正解っ。ヒロクン、イジワル。女を攻めて悦んでる」

 真奈美は顔を真っ赤にして押し黙り、優も顔を赤く染めたまま横を向いてポツリと白状した。
 この間も、宏の指は二人の淫裂をまさぐり、グチョ、ニチャ、と淫靡で粘着質な水音が波の音よりも大きく、三人の耳に届いていた。

「ひ、宏君! お願いだから……指でイイからちゃんとイカせてぇ! 中途半端にイカされると切ないの!」

「……ヒロクン! 出来ればボクもイカせて欲しい。ずっと燻ってた身体を鎮めないとおかしくなりそうで……恐い」

「うん♪ それじゃ優姉のオマンコもご開帳、するね♪」

 涙目になった真奈美が小さく身体を揺すり、優も目元を真っ赤に染めながら膝の角度を更に拡げた。
 合点承知とばかり微笑んだ宏は優の濡れたクロッチも横にずらし、無毛の股間を完全に露わにする。

「二人のオマンコ、中まで丸見えだ。ピンク色のビラビラが充血して大きく開いてるし、オマンコの孔からは白いジュースがコンコンと溢れ出てるし……濃いピンク色のクリが、ピクピクしてて美味しそう♪ 立ち昇る匂いも強くて濃いね」

 歳上美女の無毛の股間をマジマジと眺め、首を伸ばしてそれぞれの甘酸っぱい匂いも満喫する。

「ひ、宏君! 嗅いじゃダメぇ! 舐めてもイイから匂いは言わないでっ」

「……ヒロクン、爽やかな笑顔のまま女をどんどん追い込んでる。いくらボクでも、ヒロクンの言葉責めには太刀打ち出来無い」

 羞恥に打ち震えているのか、二人は唇を噛み締めると己の身体をギュッ、と抱き締めた。

「そうだね、余り焦らすのも可哀想だから、まずはひと刺し、イっておこうか」

 ニヤリと笑った宏は、白い泉がこんこんと湧き出す二人の秘孔に人差し指と中指を根本まで一気に突き立てた。

 ――ブチュゥッ!――。

「「はぅうっ♥」」

 指を押し込む程に抵抗が強まり、咥える膣肉の熱さが直に伝わって来る。
 膣(なか)に溜まった白蜜が勢い好く噴き出して宏の手をびっしょりと濡らし、身体を強張らせ、息を詰める二人。
 愛液に濡れ光る皮の剥けた陰核がこれ見よがしに屹立し、指を挿れただけで二度目のアクメを迎えたようだ。

「ここまでは小手調べ。本番はこれからだよ♪ だって、指をきつく咥えてちっとも離そうとしないんだモン♪」

 指を挿れたまま小刻みに抽挿している宏からの、実に楽しそうなお言葉に目を見開く真奈美と優。

「宏君? あの、私、今のでイッたから、もう大丈夫――」

「……ヒロクン? もしかして、これからナニかしようと――」

 無意識なのか、膝に夫の頭を載せたまま(器用に)後退りする真奈美と優に、喜色満面となった宏のひと言。

「聞こえな――い♪ 知らな――い♪」

 すっかりと膝枕の醍醐味(?)に味を占めた宏は、ここぞとばかり、指の動きを活性化させた。
 二本指の腹で膣壁の上側にあるコリッとした部分――Gスポットだけを執拗に擦り上げつつ、空いた親指で秘裂の頂点で屹立している紅真珠を上下左右に転がし、弾き、押し潰す。
 頭を交互に突っ込んで内腿に舌先を這わせ、残った指で会陰部と菊座をも撫で擦る。

 ――グチョグチョグッチョン、ニチャニチャニチャァ! ニュルニュルニュル、ニュルリンッ!――

 駄々漏れしている愛液が指の潤滑油として作用し、美女二人に三点攻撃の猛烈な性電気を見舞ってゆく。

「「――――――――っっ!!」」

 攻められる二人にとって、ここは天国か、はたまた地獄か。
 声にならない叫びを何度も上げ、全身を赤く染め、噴き出す汗が肢体を妖艶に光らせてゆく。
 股間からの得も言われぬ快感が脳ミソを強制的に激しく揺さ振り、全ての思考を奪い去っていた。
 膝枕しているが故に自由に身体を動かせないもどかしさが、より快感を増幅させているとも知らずに。

「二人共、まだまだガンバルねぇ♪ そろそろ、イッとく? イこうか♪」

 一方的に強烈な性電気を喰らう真奈美と優にとって、発電元である宏の言葉はどう聞こえたのか。
 これで終わると言う安堵か、それとも、もっと続けて欲しいと願う欲望か。
 答えを出す間も無く、Gスポットへ止(とど)めを刺され、秘核も下から強烈に弾かれた二人は一瞬でホワイトアウトさせられた。

「「あ――――――――――――っ!!」」

 同時に絶頂を極め、潮を盛大に噴きつつ硬直する真奈美と優。
 仮に、周りに人の目があったとしてもアクメ声をはばからず上げていただろうその甲高い嬌声は周囲の岩に何度も跳ね返り、波や風の音と共に宏達三人に降り注いで来る。

「わ、私達が宏君を癒してあげる筈だったのに、逆に何度も激しくイカされちゃったぁ~♥」

「……ひ、ヒロクン、鬼畜。ボク達のメンツ、丸潰れ。……ついでにお豆も丸潰れ」

 宏は身体を起こすと脱力し魂が抜けた二人をそっと腕の中に抱き寄せ、耳元でそっと囁いた。

「真奈美さん、優姉、お疲れ様♥ イッた顔、すっごく可愛かったよ♥ 蕩けた顔、何度見ても綺麗だね♪ 二人には、また膝枕、して貰おうかな♪」

「「~~~~っ♥」」

 一方的に攻められ醜態を晒すも、宏の広く温かな胸の中で熱い吐息を漏らし、そっと目を閉じる二人だった――。


                                            (つづく)


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恋路(4) 恋路(4) 美姉妹といっしょ♪~新婚編
 
「それじゃ、ぼちぼち行こうか」

 充実した二泊三日の海水浴旅行を終えて実家に戻った翌日。
 十人の妻と昼食後のお茶を飲みつつくつろいでいた宏は壁時計に目を向けるとおもむろに立ち上がり、手の平を上に向けて隣に座る美女に右腕をスッと伸ばした。

「あ……うん! ありがとう。それじゃ行きましょうか」

 一瞬、目を丸くする真奈美だったが、どうやらこちらの意図を汲んでくれたらしく、目元をホンノリ紅(あか)く染めるとそっと手を重ね、腰を浮かせた。
 そんな二人に、周囲のギャラリーから一斉に囃し立てる声が湧き上がる。

「ひゅ~ひゅ~♪ 騎士(ナイト)がお姫様(プリンセス)をお迎えに来たぜ!」

「宏ったら、全くもって格好付けちゃって! 真奈美さんも、照れて顔が真っ赤っかになってるし」

「宏ちゃん~、全っ然、様になって無いよ~」

「「「あはははっ!」」」

 破顔したほのかが指笛を鳴らし、千恵と若菜の双子姉妹は容赦無く突っ込み、それを他の面々が面白そうに笑う。

「ちぇっ。俺って、そんなに威厳とか風格に乏しいのかなぁ。男として自信無くすなー」

(確かに、ちょこっとナイトを気取って見たけど……こんなにも不評とは思わんかった)

 ひとり苦笑し、がっくりとうな垂れていたら。

「うふふ♪ 私には立派なナイトに見えたわ♥」

 軽く握られた手がそっと引き寄せられ、真奈美の顔が迫って来たと思った次の瞬間には唇に温かく柔らかな感触と仄かな柑橘系の香りを残して離れていった。

「うわっ、立ち上がった勢いそのままに真奈美さんの素早いキスが宏先輩を襲ったぁ! ……今度、私もやってみようかな」

「真奈美さん、人前でも宏さんに対して積極的になってるような……。美優樹も見習わなくてはっ!」

「あんたら、そーやって物欲しそうに指咥えて見てるだけじゃ、この先何事も進まないわよ?」

 栗色のロングツインテールを跳ね上げた飛鳥と美優樹の姉妹が目を見張り、肩を竦めた夏穂が宥めるように笑う。

「ま、飛鳥と美優樹には好い刺激になるでしょう。勿論、羨んでいる夏穂ちゃんにもね♪」

「「「う゛っ!?」」」

 全てお見通しとばかり多恵子が娘と妹に向かってニコリと笑い、心中を当てられたのか押し黙ってしまう飛鳥、美優樹、夏穂だった。
 そこへ、筆頭妻の凛とした声が宏の部屋に響いた。

「ホラホラ、みんな湯飲みをさっさと片付けて、とっとと行くわよ! あたしらだって準備があるんだからねっ」

「……向こうも手ぐすね引いて待ち構えてる。心して掛からねばならない」

 目尻を少々吊り上げた晶が部屋から追い立てるようにせっつき、宏に視線を向けた優も手提げ袋を手に立ち上がる。

「晶姉、姑に会うからってそんな焦んなくて大丈夫だって。優姉、判ってる。手筈は整ってるから。それじゃ、みんな準備は好いかな? 好ければ出掛けるよ?」

「「「「「「「「は~いっ♪」」」」」」」」

 先頭を切って階段を下りる晶と優を余所に元気な声が宏の実家に木霊した――。


     ☆     ☆     ☆


「お義父(とう)さん、お義母(かあ)さん、ご無沙汰しておりました。ただいま帰りました」

 宏が腰を直角に折り曲げ口上を述べると、頭上から慌てたような声が二つ、重なって帰って来た。

「いやいや、宏君! そんな畏まらないで好いから! あぁ、ホラ、いつまでも玄関にいないで、どんどん上がった上がった!」

「宏さん、ご丁寧にありがとうございます。……って、挨拶はこれ位にして、ささ、奥へ! 皆様も遠慮せずにどうぞどうぞ」

 宏の肩に手を置いてフレンドリーに接してくれたのは宏の義父となった真奈美の父であり、九人の奥方に向かって盛んに手招きしているのは宏の義母となった真奈美の母だ。
 宏達総勢十一人は夏休みの帰省を利用し、真奈美の実家へ訪れたのだった。

「それじゃお邪魔します。みんなもね――って、改めて見ると凄いな。まるでラッシュ時の電車みたいだ」

 顔を上げた宏が振り返ると、そこには多数の美女がひしめき合い(数人は入りきれずに玄関の外に溢れていた)、香水やら甘い体臭やらが充満して、まるで女性専用車に紛れ込んだかのような錯覚を起こしてしまった。
 と、そこへ宏の隣にいた真奈美が小さく頭を下げた。

「狭い玄関でごめんね。普通の建て売り住宅だから三和土(たたき)と上がり口を合わせても二畳程しか無くて……」

 申し訳無さそうに畏まる真奈美に、宏はニコリと笑って言い切った。

「謝る事じゃ無いよ。むしろ俺達が大人数なだけだから。さ、俺達が上がらないと後ろがいつまでも上がれないよ」

「「宏君……」」

 真奈美と義父の感激するような声に目礼した宏は、頬を紅(あか)く染めた真奈美の背中を軽く押しつつ廊下を先導する義母の背中に声を掛けた。

「それでは前もってお伝えしたように、これから台所をお借りしますね」

「はい、どうぞどうぞ。ご自由に使って下さいね」

 快諾を改めて得た宏は背後の面々に頷き、そのまま二手に分かれて行動を開始した。


     ☆     ☆     ☆


「え~~~、それじゃみんな、用意は好いかな?」

 膝立ちとなって部屋全体を見渡し、座卓を囲んで座るそれぞれが頷くのを確認した宏は、ひとり上座で畏まる真奈美に向き直って声を張り上げた。

「真奈美さん、誕生日おめでとう!」

「「「「「「「「「「「おめでとう!」」」」」」」」」」」

 ――パパパパンッ! パパンッ! パパパンッ!――

 唱和する声に続いてクラッカーの弾ける音が幾つも重なり、色とりどりの紙テープがシャワーのように本日の主役に降り掛かってゆく。
 今日、八月八日は真奈美の二十五回目の誕生日なのだ。

「ありがとう! ありがとうございます!」

『♪~ハッピバーズディ・トゥーユー、ハッピバーズディ・トゥーユ~♪』

 照れ臭そうに右に左に頭を下げる真奈美に対し、今度は誕生日ソングが流れ出す。
 何度も誕生日宴会をこなしているだけに、みんな歌い出しがバッチリ決まっている。

『♪~ハッピバーズディ・ディア真奈美~、ハッピバーズディ・トゥーユ~♪』

 歌が終わると盛大な拍手(賑やかな指笛付き♪)が沸き起こり、本日の主役に向かってお祝いコメントが次々と寄せられてゆく。

「ありがとう! みんな、本当にありがとう! とっても嬉しいわ!」

(うん! 真奈美さんも大いに喜んでるみたいだし、真奈美さんの実家で誕生日宴会開いて正解だったな)

 宏は余ったクラッカーの紐を引きつつ、満面の笑みで何度もお辞儀を繰り返す美女に魅入っていると、背後からトントンと肩を叩かれた。
 振り返ると、そこにはビール瓶を片手に義父と義母が並んで畏まっていた。

「宏君、我が娘の為に盛大な誕生日のお祝いをありがとう。感謝するよ」

「本当にありがとね! あの娘(こ)の為にこんな狭い家で、しかも大勢でお祝いして貰えるなんて思っても見なくて」

 真奈美の父は宏のグラスにビールを注ぎつつ何度も頭を下げ、真奈美の母は宏の膝に手を添え瞳も潤ませている。
 そんな二人に、宏は慌てて座布団から降りると居住まいを正した。

「いえ、そんな大層な事じゃありません。たまたま俺達の帰省の日程と真奈美さんの誕生日が合わさっただけで……俺は単に、それなら真奈美さんの実家で祝ったらどうかとみんなに提案しただけです」

「いやいや、そこまで気を遣ってくれるからこその感謝なんだ。ありがとう」

「ほんとにねぇ。私じゃ、このように数多くの豪華な御馳走は作れないもの。しかもケーキまで手作りだなんて……あの娘も幸せ者だわ」

「あ、いえ、その……恐れ入ります。若姉達もきっと喜んでます」

 宏は主役の真奈美を除いた十人で宴席作りと料理担当に分け、宴席作りは中心となって陣頭指揮に当たっていた。
 もっとも、宴会料理や誕生日ケーキに関しては若菜と千恵、多恵子と晶に任せっきりだったのだが。
 そんな事もあり、妻の両親――舅と姑から揃って頭を何度も下げられて宏は大いに恐縮してしまう。

(まだまだ若輩の俺に、余りに腰を低くされると申し訳無いなぁ。……かと言って、頭下げるの止(や)めてくれと強く言える立場じゃ無いし……)

 チビチビとグラスのビールを舐めていると(ひと口呑む度にお義父(とう)さんから目一杯注がれるのだ)、祝辞の雨あられからやっと(?)解放された真奈美が眉根を少々寄せつつ誕生日席を離れてやって来た。

「お父さんもお母さんも好い加減にして。宏君が困ってるわ。お礼はいつでも出来るんだから、今は大人しくしてて」

 どうやら、自分の両親と夫とのやり取りを聞いていたらしい。

「しかし真奈美。真奈美のいき遅れを覚悟していた我々に取って、宏君はお前を娶ってくれた救世主だぞ。ぞんざいにして好い相手では無い。むしろ拝むべき御方に厚く御礼を言うのは当然だ」

「そうよ、真奈美。宏さんのお陰でアンタは人並みにお嫁に行けたのだから、親として御礼を言うのは当然でしょ! アンタも、日頃から尽くさないとバチが当たるわよ」

「い、いき遅れ!? 人並み!? いくら何でも娘に対してそれは非道いわ。そ、そりゃ、十代の頃迄は家事全滅だったし自覚もしてたけど……」

 黒目がちの瞳を丸くして抗議するも、最後は口籠もる真奈美。
 どうやら、両親の自分に対する評価が思った以上に悪かった……らしい。

「あの、昔はどうであれ、今の真奈美さんは立派な主婦として俺達の家を守ってくれています。家事も万全でみんな大助かりしてます。だからご心配なさらずに……」

 言いつつ、今度は宏がビール瓶片手に義父へ酌をするも。

「立派な……主婦? あの真奈美が!? 嘘っ!」

「家事が万全!? あの真奈美がっ!? 嘘っ!」

 義理の息子となった人物のフォローを最後まで聞かず、真奈美の両親は驚いたように目を見開いた。

「宏君。こう言ってはナンだが、本当にうちの真奈美は主婦として役に立っているのかね? 二十歳(はたち)になるまでろくすっぽ家事が出来無かったんだが……本当は皆さんに迷惑掛けとるんじゃ無いかね?」

「宏さん、うちの娘(こ)がしでかす不始末は全て私共の責任ですので包み隠さず遠慮無く仰って下さいね!」

 どうやら何とか嫁には出したものの、娘の現在の生活振りが気に掛かるらしい。
 宏は心配気に眉を寄せる義父母を安心させるよう、殊更声を大きく、そして堂々と言い切った。

「役に立つどころか、大いに俺を……いや、俺達のマドンナとして君臨していますから安心して下さい。なにせ、彼女がいるとみんな心癒されるんですよ♪ そんな女性(ひと)、滅多にいません。真奈美さんは俺達にとって必用不可欠な存在です!」

(何も、こそこそ話す事柄じゃないし、むしろ大いに自慢出来る話だからね)

 そう思って話しのネタにされている本人に視線を向けると、目元を朱(あか)く染めて照れ臭そうに縮こまっていた。
 すると、ホッとしたのか、大きな息を吐いた義父が小さく笑った。

「そうか。あの娘(こ)が人様の役に立っているのか。……好かった好かった」

 何度も頷く父親に、真奈美は苦笑いで応える。

「んもう、お父さんったら、私を何だと思ってたの? 私が二十歳(はたち)になった秋から花嫁修業始めて、ひと通り家事を覚えたでしょう? もう忘れたの?」

「あ、いや、まぁ、その、なんだ! 真奈美はホレ、昔は凍って霜の付いた肉を『とんかつにするんだ』って、煮えたぎった油に放り込んだり新米を洗剤で研いだりしただろ。それにアイロンでワイシャツを焦がしたり裁縫道具を絨毯にバラ撒いたりして――」

「お父さん! それは大昔の話っ! 忘れ去った過去の話っ!!」

 真奈美の甲高い声が、父親の続く声を覆い隠す。

「でもお前、それらは純然たる事実……」

 義父の言葉は、髪を蠢かせ眇めた瞳の娘によって完全に封じられた。
 そんな父娘(おやこ)に。

「お父さん、真奈美が皆さんの手枷足枷になっているんじゃないか、って心配してたのよ。ま、ちょっとした親バカだから気にしなくて好いわよ」

「お父さん……」

 すかさず入った母のフォローに、今度は瞳を潤ませる娘、真奈美。
 どうやら親の隠された愛情をひしひしと感じたのかもしれない。
 そんな親子三人のやり取りに、杯片手に刺身を旨そうに摘まんでいた晶が箸を置き、控え目ながら(?)も堂々と割って入って来た。

「お義父(とう)さん、大丈夫です。我が夫の言う通り、真奈美は今や立派な主婦としてあたし達の生活を支えてくれています。それはもう、筆頭妻であるあたしが保証し感謝する位ですから♪」

「そうです。私達と一緒に料理やら掃除やら洗濯やら、そつ無くこなして貰って大助かりしてますから、どうぞご安心下さい♪」

 筆頭妻と副料理長の千恵からのお墨付きに安堵の表情を浮かべるも、義父はまだ若干の不安が残っているらしく、誰も想像もしなかった台詞を零した。

「そうですか。いやぁ~、いつ何時、三行半(みくだりはん)を突き付けられ泣き帰って来るのかと思って――」

「お父さん!」

 娘からの鋭い声に臆する事無く、むしろ身を乗り出し声も顰めて宏に向かって放たれた言葉が……。

「しかも、ホレ、箱入り娘だっただけに、夜の方もマグロになっているんじゃないかと――」

「お父さん!!」

 本日最大となる真奈美の声が近所に轟き、父親の続く台詞を完全に消去した。
 どうやら度重なる暴露話と親の下ネタに、普段は穏やかな真奈美も業を煮やしたらしい。

「お父さんってば、さっきから宏君にナニ言ってんのっ! ある事無い事、ヘンなコト言わないでっ!!」

「「「どわはははははっ」」」

 いつの間にか声高に話していた父娘の会話は周囲に筒抜けだったようで、一斉に笑いの花が咲いた。


     ☆     ☆     ☆


 宴と酒が進み、当初の硬さ――義理の息子&舅と言う意識――がほぐれると義父から、より打ち解けた話も当然、出て来る。

「宏君、娘の料理の腕前はどうかね? ちゃんと食べられる物を食べられるように料理しとるかね?」

 九人の奥さんから絶大な信頼を受けていると知った後でも、親として心配らしく、若干、声を顰めて尋ねて来た。
 宏は安心させるよう、酌を交わしつつ殊更ゆっくりと言葉を紡ぐ。

「ご心配には及びません。毎日美味しい料理を作って貰って感謝してます」

「そうか。なら好いのだが……最初の頃は、それはもう非道かったからな」

「話には伺ってます。しかし、今、お義父(とう)さんが食されている青椒肉絲は真奈美さんが作った料理ですよ」

「え゜っ!? これをあの娘がっ!? いやはや……信じられんなぁ。どんなトリックを使ったんだ?」

 箸で摘んだ牛肉をしみじみ見つめていると、黙ってはいられなかったらしく真奈美が再び猛然と食って掛かる。

「非道いっ! 私が宏君と出逢ってからすぐにお料理教室とか裁縫教室に通ったでしょ! 家事だってお母さんに教わりつつ最後は完璧にこなしたじゃない!」

 普段の『癒しの真奈美』が嘘のように声を荒立て髪も逆立て目を剥く真奈美に、宏は珍しいモノを見たと思った。

(あの真奈美さんも、お義父(とう)さん相手だと、こうまで露わに感情を出すんだなぁ。ムフッ、何だか新鮮~♪)

 妻の隠された一面(?)に、相好を崩す宏だった。
 もっとも、それは他の奥さん達も同様だったようで、

「真奈美も、ヒロ以外で結構、熱くなるのね。何だか意外で……可愛いわね」

「……まぁ、好きな男性(ひと)の前とそれ以外で取る態度が違うのは女として当たり前。真奈美も普通の女の子だった、ってだけだよ、お姉ちゃん」

 目を丸くしている晶に、双子の妹の優が微笑みつつ解説し、

「真奈美のヤツ、宏やオレ達の前でもこんな風にもっと喜怒哀楽出せば好いのに……まだ『好い格好しぃ』の部分が残ってんのかな?」

「真奈美さん、お屋敷じゃ大声出さ無いし、出す機会も必要もありませんからね。でも、今日のような真奈美さんもお屋敷にいる真奈美さんもどちらも同じ真奈美さんなんだから、あたいはそれで好いと思いますよ」

 首を小さく傾げるほのかに、優しい笑顔の千恵がフォローしている。

「真奈美さんも、ご両親に掛かれば妻から娘に逆戻り、ですわね」

「ま、親子はいつまで経っても親子なのよ。ウチと宏クンが教師と教え子の関係であるみたいにね」

 姑を前にした所為か、今日は終始大人しい多恵子と夏穂が笑い合い、

「お屋敷では『癒しの真奈美さん』と言えど、実家に戻ってご両親を前にするとガラリと変わるんだね」

「そうね。お姉ちゃんよか、ずっと女の子らしいけどね♪」

「う゛っ! あ、当たってるだけに言い返せないっ」

 したり顔の飛鳥に向かって妹の美優樹からの手厳しいひと言も。
 そして。

「お義父(とう)さんにお義母(かあ)さん~。真奈美さんは宏ちゃんがいたからこそ、こうして立派な女性になったんだよ~。だから今の真奈美さんを見てあげて~。私もお料理とかで随分助けられてるし~♪ だからもっともっと褒めてあげて~♪」

 屋敷で料理長を張る若菜からの、力強い(?)フォローが妻達の代表意見となって真奈美の両親に届く。

「そうか。みんながそう言うなら、きっとそうなんだろう。そっか、そっか……」

「真奈美は好き夫に嫁いだと同時に、好き方達にも巡り逢えたのね」

 感慨深げに何度も頷くご両親に、妻達も照れ臭そうに頬を染めるのだった。


     ☆     ☆     ☆


「そうそう、真奈美さんへの誕生日プレゼントは今日の最後に贈るからお楽しみにね♪」

 右隣にいる宏からそう告げられたのは、あらかた用意した料理やドリンク類が全員の胃袋に消え、夜もそこそこ更けた頃だった。
 最後まで残されていたデザート(二段重ねの誕生日ケーキだ)をパク付きつつウィンクするご当主に、一緒にケーキを頬張っていた真奈美は小さく目を見開いた。

(宏君、何をするつもりなのかしら? 宴会の最初に渡さなかったってコトは、普通とは違うってコトよね? ……うふふ♪ 何だか楽しみだわ)

 この年若き夫のサプライズプランは常に目を見張るものがあるだけに、真奈美の心は急速に新たなる嬉しさや楽しさで満たされてゆく。

「うん、愉しみにしてるわ♪」

 素直に笑い、心から喜びを示していると、左隣でお猪口を傾けていた父親がポツリと言葉を漏らした。

「お前は……宏君と出逢い、結婚し、多くの奥さん達と生活を共にして正解だったのかもしれんな」

「せ、正解? 何が? 私、何か変わった?」

 何やらじ~っと見つめて来る父親に、思わず腰が引けてしまう。
 こんな時は、余り好い話しが出て来ないからだ。

「うむ。表情が……以前とは比べものにならない程に豊かになった。そして歳上の奥さん相手にも物怖じせず、堂々とした態度で接してもいる」

「表情? う~ん、自分では判らないわ。それに堂々とした態度と言われても……晶先輩や優先輩、ほのか先輩に多恵子さん夏穂さんは皆さん好い方なんですもの。私が好くして貰ってるだけよ」

 ケーキ用のフォークを咥えたまま小さく微笑む真奈美に、筆頭妻の晶と談笑していた母親が話しに加わって来た。

「お父さんは、真奈美が昔と比べて活き活きとしてる事に驚いてるのよ。まぁ、私もだけどね」

「あ……そう言われれば……確かに以前と比べて人前でも喜怒哀楽を出すようになったかも」

 記憶にある天井の染みを見上げて自己分析していると、さもありなんと父親が何度も頷きつつ口を開いた。

「真奈美は大学に入ってからも、どことなく自信無さ気だったが、宏君との出逢いを境に前向きになった。それまで受け身で過ごして来たのに料理教室や裁縫教室に自ら通い始め、家事も積極的に覚えようと能動的になった」

 ここで母親からの要らぬ突っ込みが。

「まぁ最初の頃は、それはもう目を覆うばかりだったけどね~。全自動の洗濯機をお釈迦にしたり~」

「う゛っ!」

「あはは。何だか目に浮かぶよ」

「いや、それは初期設定の私であって……ああ、もうっ!」

 破顔した母親の茶化しに絶句し、苦笑いしている夫には愛想笑いで誤魔化そうとしたが手遅れだったようだ。
 片や、神妙な顔付きのまま杯を傾ける父親の回想は止まらない。
 しかも、心なしか微妙~に身体が揺らぎ、顔も俯き加減になっている。
 どうやら義理の息子と九人の義理の娘相手に長時間呑み続け、相当、酒が回っているようだ。
 シャツから覗く肌が真っ赤に染まり、今にも寝落ちしそうだ。

「人見知りで家事も出来無い、何もかもダメダメな真奈美は一生、嫁には行けないと思って諦め掛けていたんだ。まぁひとり娘だし、嫁に行かずいつまでも家にいて欲しいと思った事も多々あったさ。でも――」

「……何もかもダメダメ? 一生嫁に行けない? お父さん、娘に対してさっきから非道くない? そ、そりゃ、子供の頃は人見知りしてたけど、今は違うわ」

 眉根を寄せて言葉を遮るも、酔いも手伝いすっかり感傷の海に沈んでしまった父親には通じない。

「ここにいる宏君が真奈美を変えてくれた! 我が娘を立派な人間として成長させてくれた! ありがとう、宏君! 本っ当にありがとうっ!! 宏君が私の息子になってくれて本当に好かったっ!!」

 それまで静かに語っていたと思いきや、面を上げるや否や夫の両手を握り締めつつ猛烈な勢いで何度も礼を述べる父親に、散々コケにされた(?)娘は黙っていない。

「お父さん! 宏君が困ってるでしょっ! んもう~、完全に酔っ払ってるじゃないっ! 私、寝かして来る!」

「まぁまぁ、真奈美さん、俺は大丈夫だから。お義父(とう)さんが真奈美さんを案じるのは当然だし」

「宏君……♥」

 家族の無礼にも寛大な心で接する宏に、真奈美の怒りは瞬時に恋心へと昇華する。

「お父さん、久し振りに真奈美と過ごして飲み過ぎたみたいね」

 母親もまた、酔い潰れた父親に冷水を入れたコップを渡すと、宏に向かって三つ指付いて頭(こうべ)を垂れた。

「宏さん、あんなお父さんだけど、真奈美共々、これからも宜しくね」

「はい!」

(宏君♥)

 夫の力強い返事が熱く胸を打ち、図らずも涙ぐむ真奈美だった――。


     ☆     ☆     ☆


「それじゃ、俺達は終バスで帰るね。明日は昼過ぎに迎えに来るよ」

 にこやかにそう言い残し、宏達総勢十名が帰宅したのが今から小一時間前。
 真奈美は一行と分かれ、ひとり実家に泊まる事となった。
 夫であり今日の誕生日宴会のプロデューサーを務めた宏が言うには、

「誕生日の夜は俺と二人っきりで過ごす、って言う暗黙の了解があるけど、今回は特別! 何たって久々の親子水入らずだしね。それに去年の真奈美さんの誕生日はハネム~ンの途中で迎えたから、ご両親とは会えなかったでしょ。だから今回は……ね♪」

 と、何とも粋な計らいをしてくれたのだ。
 そして大学の一年先輩でもあり筆頭妻である晶からも、

「そう言う事だから、今夜はヒロの妻からひとりの娘に戻って、ご両親とゆっくり過ごしなさい。年末以降の帰省はどうなるか判らないし、会える時に会っておくのも親孝行よ♪」

 と、ご当主判断を後押しする発言が。
 結果、布団に潜る真奈美の両隣には父親と母親が安らかな寝息を立てている状況と相成った訳である。

(こうして川の字で寝るなんて何年振りかしら? 何だか、幼い頃に戻ったみたいだわ)

 仰向けのまま首を右に左に向け、両親の顔を改めて見つめていると。

(お父さん、やっぱり白髪が増えてる。目尻や頬にも皺が……)

(お母さんも、よくよく見ると小皺が一杯。……そっか、それだけ刻(とき)が経ったって事なのね)

 常夜灯の淡い光りに浮かぶ両親の顔は、記憶の中の両親よりも確実に年輪を重ねているのが判った。
 それは自然と古い記憶――若かりし頃の両親との想い出が走馬灯のように浮かんでは消えてゆく事にもなった。

(そっか。私が川の字で寝てた四~五歳の時から既に二十年も経っているものね。うふふ、お互い、歳を取る訳だ)

 小さな笑みを零すと同時に、素面では到底言えない想いが唐突に湧き上がって来た。

(去年挙げた結婚式の時には言えなかったけど……私、お父さんとお母さんの娘に生まれて本当に好かった。お陰で宏君と運命的な出逢いを果たせたんだもの。お父さん、お母さん、私を生み育ててくれて本当にありがとう)

 目を瞑り、感謝の気持ちを何度も反芻していると、瞼に浮かぶ両親の顔がやがて愛しき男性(ひと)の顔へと変化する。

(宏君ったら、本当にサプライズが上手! まさか目に見えない物までプレゼントにしてしまうなんて……素敵だわ♥)

 真奈美の心が興奮と愛しさでより温かくなる。

(私のお誕生会は実家(ここ)でするからね、って前もって聞いてたけど、よもやプレゼントが『親子で過ごす時間』だなんて……誰も想像出来無いわよ)

 そして帰り際に晶から言われた台詞も甦って来る。

(まぁ、確かに帰省した時は誰だって親と子に戻るものね)

 当たり前の事に今迄気付かず、つい布団の中でクスリと笑ってしまった。
 加えて。

「……このプレゼントはヒロクンからの提案。どんなに歳を重ねても、親と子の関係は永遠。生まれたての子や二十歳(はたち)を迎えた子、そして顔に皺が増え白髪になっても親から見れば子供は子供」

 などと、優先輩からも優しく微笑み掛けられ、

(飛鳥ちゃんと美優樹ちゃん、夏穂さんに多恵子さん達からは『ごゆっくり~』とか『宏クンはウチが面倒見るから♪』とか『これも親孝行のひとつですよ』なんて言われちゃったし)

 更には、

「去年はオレがスウェーデンの実家で誕生日を迎えただろ。だから今年は真奈美が実家(ここ)で誕生日を迎えるのが正解だぜ♪」

「真奈美さん、あたい達の事は暫し忘れて、羽を思いっ切り伸ばして下さいね♪」

「真奈美さん~、羽を伸ばし過ぎてハメを外さないでね~♪」

 ほのか先輩や千恵ちゃん若菜ちゃんからの、温かいお言葉(?)も。
 どうやらみんなして仕掛け人だったようで、照れ臭いやら恥ずかしいやらで顔が上げられなかったっけ。
 もっとも、父親だけは心外だったらしく、

「やれやれ。この歳で嫁に出た娘と同じ部屋で寝る事になるとは……。宏君から事前に聞いて無かったら心臓が止まるトコだったぞ」

 などと眉根を寄せつつブツブツ文句を言っていたが、三つ離れていた布団をちまちまと寄せ合っているのだから笑ってしまった。

「お父さんは照れてるのよ。私だって久々だから嬉しいし」

 心底嬉しそうな両親の心中はともかく。
 真奈美の意識は再び愛しき男性(ひと)の元へと飛んでゆく。

(宏君、素敵なプレゼントをありがとう。今日の事は決して忘れないわ。宏君、愛してる♥)

 今度こそ寝ようと目を瞑ると、真奈美の瞼には愛しき男性(ひと)の笑顔がいつまでも浮かび、決して消える事は無かった――。


                                            (つづく)

 
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