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 ライトHノベルの部屋  ライトHノベルの部屋  ライトHノベルの部屋
     ~ラブラブハーレムの世界へようこそ♪~


メヌエット(9) メヌエット(9) 美姉妹といっしょ♪~新婚編
 
 北欧バカンス五日目。
 スェーデン最北部に位置するアビスコ国立公園に来ている宏達一行は、この日も朝からスノーアトラクションで目一杯楽しもうと意気込んでいた――のだが。

「……真っ白、だな」

 朝食バイキングを済ませ、部屋に戻るや窓辺に佇んだ宏はベランダと客室を仕切る二重窓の外に目を向けたままボソリと呟いた。
 昨日は遠くに雪を抱く鋭い峰々が一望出来、近くはホテル前のスキーゲレンデに幾つも架かるリフトやカラフルなウェアに身を包んだ多数のスキー客などを視認出来たが、今は濃灰色の空から強化ガラスを打ち破る勢いで叩き付けられる白い雪しか見えない。
 しかも外窓の下隅には雪が張り付き、徐々にだが窓全体へと拡がりを見せてもいる。

(この調子じゃ一時間と持たず窓全体が雪に閉ざされるな。風も止む気配が全く無いし、これが北極圏の、真の冬の姿なんだろうな。こーゆーの見ると、家(うち)の実家でたまに見舞われる猛吹雪が可愛らしく思えるわ)

 二重窓のお陰で冷気こそ完全に遮られているものの建物全体に吹き付ける風の音や窓を震わせる音がひっきりなしに耳に届き、気の所為だと思いたいが鉄筋の建物だのに揺れているような感覚すら覚える。

(あ~ぁ。今日はついてないや)

 起床直後から自然の猛威をまざまざと見せ付けられ、諦め半分で溜息ひとつ吐(つ)くも、やはり諦め切れ無い。

「せっかくラップランドのスノーリゾートまで来たのに、一歩も外にも出られないなんて、なんでやねんっ! しかもたった二メートルあるか無いかの距離だのにベランダの手摺りすら見えんぞ?」

 未練たらしくブツブツと愚痴を零していたら。

「そりゃ、ブリザードだからでしょ。宏も好い加減、諦めたら?」

 そう相槌を打ったのは宏の生まれながらの幼馴染にして妻となって久しい千恵だ。
 二十二歳の宏は昨年、妻を続け様に娶ったが千恵はその中のひとりだ。
 最初に従姉である晶と優の双子姉妹、高校時代に知り合ったほのか、とある縁で知り合った真奈美、そして幼馴染の千恵と若菜の双子姉妹の六人と同時に結婚し、その後一年と経たず多恵子と夏穂の姉妹、飛鳥と美優樹姉妹の四人をこれまた同時に妻の座に加えている。
 その千恵が視線を窓の外に向けたまま、肩が触れる程に寄り添っているではないか。

「うわっ! ち、千恵姉っ!? び、びっくりした~」

「ん? 変なの。ずっと宏の左隣にいたのに、気付かなかった?」

 咎めるような、それでいて面白がっているような上目遣いの視線を向けて来た。
 見ると、頭の高い位置で結った白いリボンと腰まで届くポニーテールが右に左に小さく揺れているのも判った。

「あ、いや、いつの間に――」

「いつ来たかって? 『真っ白だな』とか言ってた辺りよ。そもそも、アンタが哀しそうな顔してボ~ッと突っ立ってたから、ナニ見てるのかなーって思ってさ」

 笑顔とも苦笑いとも取れる表情に、宏はその澄んだ瞳から目が離せなくなった。
 自分でも判る程に頬と耳が熱くなり、脈拍も急上昇する。
 何せ千恵は宏が娶った十人の妻達の中では二番目に小柄(身長百五十センチ)だが、贅肉の無い八頭身ボディと長い手脚はモデル体型が多く揃う妻達にあっても何ら見劣りする事は無いからだ。

(千恵姉、今日も綺麗だ)

 幼馴染からの問い掛けも忘れ、暫し目の前の美女に魅入ってしまう。
 目鼻立ちの整った小顔に、細い眉とやや吊り目がちの瞳。
 そんな勝ち気な表情と面倒見の好い性格から中学から大学まで男女問わず御姐様と呼び慕われ、特に歳下の同性から絶大なる人望を集めた麗人でもある。
 そんな頭ひとつ分小柄な美人幼馴染からじっと見上げられれば、妻に迎えて久しくとも鼓動が跳ね上がって当然だろう。

「宏? どしたの、ボーッとして」

「へ? あ、いや、その……」

(あぁ……好い香りがする。千恵姉、今日はレモン系の香水、着けてるんだ)

 見た目の美貌に加え、胸元に千恵の右肩が触れているので、うなじから立ち昇る幼馴染の匂いが直に鼻腔を刺激するのだ。
 当然(?)、慣れ親しんだ夜の営みでの密着度の高いスタイル――シックスナインとか対面座位とか――が頭に浮かび、午前の早い時間だのに(今は九時を過ぎた辺りだ)、愚息がムクムクと鎌首をもたげて来る。

「ま、冬の北国じゃ吹雪が起きて当たり前でしょ。実家でも一週間のうち五日は雪で二日はそうだったでしょ」

 千恵を包む甘美な香りと滾るイチモツに気を取られていたら、背中をバシンと叩かれた。
 どうやら旅行中の悪天候に呆然としているものと思ったらしく、憂いを払うかのような笑顔で励ましてくれた。
 幸い、股間のモッコリは気付かれずに済んだが、空模様に眉を顰めていた事は確かなので大きく頷いておく。

「あ、うん、そうなんだけどさ。でも、せっかくみんなも楽しみにしてたのに残念だな、って」

 ここで『幼馴染の匂いに発情してました』などと本当の事を言おうものなら「ば、バカ言ってんじゃ無いわよっ」と顔を赤らめ、高確率で岩をも砕く鋭い蹴り、或いはノックダウン確実なグ~パンチが飛んで来る事、請け合いだ(愛らしい照れ隠しだと判っていても痛いのはご免被る)。

「ま、リゾートホテルでアトラクション目の前にして缶詰! な~んて経験、滅多に無いからね。これも好い思い出よ♪」

「千恵姉♥」

 ニコリと笑いウィンクし慰めてくれる心遣いが嬉しく、宏は千恵を抱き締めベッドに押し倒したくなってしまった。
 と、そんな邪な思考を断ち切る(偶然、断ち切ってくれた?)、新たなる声が幾つか掛かった。

「ホント。な~んも見えませんね。こっちに来る時に乗った飛行機が曇の中を飛んでた時みたいです」

「せっかく宏さんとバックカントリーツアーをご一緒出来るかと期待していたのに残念です」

「この荒れ模様じゃ、今日一杯は外に出るの無理そうね」

 右隣に寄り添って来たのは黒のプリーツミニスカートと真っ赤なセーターを纏った二歳下の後輩で、その左隣には全身黒尽くめのゴスロリドレスを纏った美少女も。
 更に背後から負ぶさるよう両肩に手を置き、顎も載せて窓を覗き込むのは高校時代の三年間、お世話になった元担任の女教師だ。

「飛鳥ちゃん? 美優樹ちゃん! 夏穂先生!?」

 宏が飛鳥を見上げると、栗色のツインテールを揺らした飛鳥は真剣な表情で見つめて来た。

「こんな天気になったのは宏先輩の所為じゃありません! 私達は平気ですから気にしないで下さい!」

 どうやら千恵とのやり取りが聞こえていたらしく、眉を下げた美優樹も小さく頷いているので二人して慰めに来てくれたらしい。

「ありがと、飛鳥ちゃん♥ 美優樹ちゃん♥ その気持ちだけで充分だよ」

 いじらしさと愛おしさが胸に拡がり、二人の手を取ると温もりがじんわりと心に沁みて来る。
 飛鳥と美優樹は多恵子を母に持つ三歳違いの姉妹だ。
 二十歳(はたち)になる姉の飛鳥は宏より身長が十一センチ高く、妻達の中では妹の美優樹と並んで最も背が高い(共に身長百八十センチなのだ)。
 しかも顔が小さく腰の位置が高い九頭身ボディの持ち主なので、四歳上の若菜と六歳上の晶やほのかと並び立つスタイルの好さを誇ってもいる。

「宏先輩さえ好かったら、明日は一緒にスノーアトラクションしましょうよ!」

 瞳を煌めかせ、滑舌好く元気に話す飛鳥は宏が中学と高校の三年の時に新入生として同じ部活――陸上部に入り、共に汗を流した後輩だ。
 頭の高い位置で結ったツインテールの先端は腰まで届き、サラサラな栗色の髪と眉目秀麗の小顔はどこか小動物を彷彿とさせる愛らしさを持っている。
 切れ長の瞳と薄ピンクの唇は見る者を惹き付け、カモシカのように引き締まった脚にはミニスカとサイハイソックスが実に好く似合う現役女子大生でもある。
 総合女子大の文学部二年に属し、常に絶対領域を披露する衣装を纏って宏の目を捉えて離さない美少女だ。

(但し、飛鳥ちゃんにバストサイズの話題は半ばタブーだからなぁ。美優樹ちゃんは八十センチのBカップだのに、飛鳥ちゃんは七十四センチ。奥さん達の中で唯一のAカップホルダー、だもんな)

 この後輩、少し前まで極度の貧乳コンプレックスに陥っていたからだ。
 しかし結婚を機に(他の奥さん達の尽力もあって)徐々に解消される方向へ働き、今では殆ど己の貧乳を嫌悪しないまでになっている。
 もっとも、飛鳥の前でバストサイズの話題が出ると途端にヘソを曲げ、思いっ切り拗ねてしまうから今尚注意を要するが。

「宏さん。明日は美優樹と一緒に雪原デート、しませんか? 先程、ホテルのフロントで景色の好い場所を教えて戴きましたから」

 一方、目元を紅(あか)く染め、澄んだ声で淑やかな口調で言うのは美優樹だ。
 常に白のレースで縁取られた黒のゴスロリドレスを身に纏い、頭には同色のヘッドドレスを装備した完璧なゴスロリっ娘(こ)である。
 しかも齢(よわい)十七だのに、鏡に映したかのように姉と同じ外観をしているから驚きだ。
 身長体重は元より、髪の色と長さにヘアスタイル、顔の造りに声質、肌の色や肌理の細やかさに手脚の長さ……。
 裸になると宏以外は見分けが付かず、まるで一卵性双生児の如く同じボディをしているのが飛鳥と美優樹姉妹なのだ。
 もっとも、二人のバストサイズが公になってからは、例え同じ衣装を纏っても誰でも見分けが付くようになったが(飛鳥は好い顔しないが)。

(あらら。美優樹ちゃん、照れちゃって可愛いなぁ♥)

 唯一、姉との違いは性格が控え目で大人しい事だろうか(飛鳥は元気溌剌娘なのだ)。
 しかも纏う衣装と相まって超高級フランス人形のようにも見えてしまうが、外見に騙されてはいけない。
 現在十七歳の美優樹は中学で一年、高校で二年の飛び級をしている。
 世間一般でその年齢は高校二年生に相当するが、美優樹はその才能を見込まれ、(飛鳥が受験し合格した)女子大に招聘された才女でもある。
 入学当初から工学部に在籍し、二年生になって応募した航空工学の某コンペでは見事優勝した実力を持つ、将来有望な幼妻(?)なのだ。
 先の入国審査やホテルのフロントでの完璧な受け答えからも、晶やほのかと対等な英語力を有しているのも周知の通りだ。

(ウハハ♪ 飛鳥ちゃんと美優樹ちゃんからのお誘いか。明日はパラダイスだな♥)

 そんな美少女姉妹から言い寄られ、宏の中で愛情メーターが大きく振れる。
 握った手に力を籠めると、姉妹揃って頬が紅(あか)く染まり瞳が潤んでゆくのがハッキリと判った。

「飛鳥ちゃん♥ 美優樹ちゃん♥」

「宏先輩」

「宏さん」

 三人が見つめ合い、ハート漂う甘い雰囲気になりかけたら。

「ちょっと、宏クン? ウチの存在、忘れちゃいませんかー」

 他人(ひと)の恋路を強制変更させるかのような尖った声と両肩に爪が食い込む痛みで我に返った。

「――あ、夏穂先生もいたんだった」

 意識外からの攻撃で思わず発した言葉に、大爆笑の渦が沸き起こった。
 この部屋はツインルームにエキストラベッドを入れた三人用なのでお世辞にも広いとは言えない。
 そんな所へ総勢十一人が揃っているので声が反響し、姦しさが半端無い程となった。

「ひ、宏クンっ! お、おどれは言うに事欠いて……」

 しかも言われた本人だけが憤然とし、眉と瞳を吊り上げ頬を引き攣らせる姿が笑いのタネにもなっている(晶なぞ指を差し、腹を抱えて笑い転げている)。
 夏穂は今年三十二歳、私立の女子高で教鞭を執る現役の国語教師だ。
 蒼味掛かった黒髪を肩まで伸ばし、張りのある肌に知的な雰囲気を漂わせる引き締まった顔、そして太過ぎず細過ぎない手脚と均整の取れたボディは年相応に円熟味を増し、周囲に色香を振り捲く聡明な女性(ひと)である。

「あ、あはは……。夏穂先生、ここはひとつ、教師として寛大な心で……ね♪」

 背後からの危険を察した宏の、ウィンクと投げキッスでの咄嗟のフォロー。

「フンッ! あとで覚えてなさいよっ」

 しかし夏穂の肉体年齢は三十路を越えているが、見た目はまるで違う。
 頬を膨らませ、拗ねる仕草はどう見ても二十代前半にしか見えないのだ。
 夏穂は宏の高校三年間をクラス担任として務め、晶姉妹や千恵姉妹の担任も務めていたので晶、優、千恵、若菜、宏の五人にとって恩師になるのだが、今以て年齢差を感じさせないから凄い。
 しかも時々、時場所状況を無視して痴的な女性(ひと)に変貌するから侮れない。

「流石、宏さん。夫として夏穂ちゃんをちゃんと躾けていらっしゃるわね。おほほほほ」

「し、躾って……」

 夏穂の姉である多恵子がコロコロと鈴を転がすような声で笑い、言葉を無くし打ちひしがれた(?)夏穂の姿に笑いの波が再び起こる。
 そこへ。

「……ふふ、ヒロクン、ナイス発言。悪天候で重く沈んだ空気を一瞬で笑いに変えるなど、ボクには到底真似出来無い所業。称賛に値する。流石、ボク達の選んだ旦那様だけはある」

 褒められているのか自画自賛しているのか微妙だが、確かに明るい雰囲気に変わったのは確かだろう。
 窓の外は相変わらず猛吹雪で窓ガラスがガタガタ打ち震えているが、全く気にならなくなった。
 千恵の言う通り、これも好い思い出となるだろう。

「優姉もありがと。お陰で気分一新、出来たよ」

 両手は今もツインテール姉妹に独占されているので、目線で感謝を伝える。
 頷く優もショートヘアにしたシャギーカットの髪を小さく揺らし、目元を赤らめている。
 優は晶の双子の妹で、宏の四歳上の従姉に当たる。
 お屋敷の財政を一手に預かる大蔵大臣を務め、株やFXで利益を得る投資家でもある。
 その冷静な分析と的確な判断はプロをも凌ぎ、宏が高校時代にバイトで稼いだ十万円を僅か数年で億単位にまで増やした実績を持つ猛者でもある。
 結婚後は純益を妻達に分配したり家計の足しにしたりする、お屋敷の頼れる金庫番なのだ。

「……ヒロクン」

 そんなずば抜けた才能とは裏腹に、ヘアスタイルと線の細いボディラインからあたかも美少年ぽく見えるが、胸の膨らみとウェストのくびれが立派な女性(レディー)だと教えてくれる。
 見た目との差異(ギャップ)があるのは、何も美優樹だけでは無いのだ。

「優姉♥」

 そんな美女従姉と甘く見つめ合っていたら。

「オイオイオイッ! ウチが背中に引っ付いているって、判ってる!? ねぇ、宏クンってばっ!」

 散々放置されて好い加減頭に来たのか、肩に置かれた両手が胸に回され、宏は恩師に背中からキツく抱き付かれる格好となった。
 当然、豊かに膨らむDカップ(八十四センチだ)の胸が背中で柔らかく形を変えるのがセーター越しにも判った。
 しかもこの恩師、判っているのかいないのか(絶対に前者だ)、グリグリと胸を押し付けても来る。

「か、夏穂先生! あ、当たってますってば!」

「わざと当ててんのよ。どこかの唐変木に!」

「あ、いや、夏穂先生を忘れてたんじゃ無いですからっ」

「嘘ばっか! 姪っ子や優ちゃんにばかり熱い視線贈ってたのは、何処の誰よっ! ウチと言うものがありながら、この浮気者っ!」

「あひゃぁっ!? み、耳を噛まないで! うひゃぁっ!? 股間を弄らないで! 今はっ――」

「おんや~? この、棒状に硬~く膨らんでるのは、いったい、ナニ、かな~?」

 耳たぶを甘噛みされ、力が抜けた所で、前に回されていた両手が一点に揃ってしまった。
 それまでの拗ねた口調が勝ち誇った声に変わり、夏穂の心情を如実に表している――のはともかく。

「あの、夏穂先生? 今はまだ朝食を終えたばかりの時間で――」

「ムフフ~。発情した教え子を優しく導くのも、教師の務めよん♪」

 左手を股間に深く挿し込むや指先で陰嚢を弄(まさぐ)り、右手でジーパンの上から膨らみに沿って擦るからタチが悪い。
 この恩師、明らかにこの状況を楽しんでいる。
 さっきまでの怒りはどこへ行ったのだろう。

「や、ヤバいですって! このままじゃ……」

 宏の額に汗がじんわりと浮かぶ。
 千恵の甘い香りに始まり、ツインテール美少女の手の温もり、優の優しい瞳と続き、今度は恩師のバスト&手コキ攻撃。
 これでフル勃起しない男はいないだろう。

「ほ~んと。千恵ちゃん相手にしてた時から、こ~んなにバッキバキに膨らませちゃってて、イケナイ生徒ねぇ。いったい、何人の未通女(おぼこ)をコレで貫いたのかしらぁ?」

 貴女も貫かれたひとりでしょ、などと突っ込む余裕も無く。

「げっ!? ば、バレてた!?」

「当たり前だのクラッカーよ。こ~んなモッコリさせてたら、ひと目で判るって。ねぇ、千恵ちゃん」

 股間をスリスリ、コスコス撫でながらクスクス笑う恩師に、図星を指された宏は何も言えなくなる。
 突如名前を言われた千恵も瞬間湯沸かし器みたくあっという間に耳まで朱(あか)くなり、(何故か)股間を両手で押さえ口をパクパクさせながら一歩後退っている。
 その間にも夏穂の悪戯が続く。

「おんやぁ? この湿った感触は、ナニかな~?」

 耳に掛かる甘い囁きと肉槍の先端を弄る指先が、更なる勃起を促して来る。
 しかも背中に張り付く恩師からの香しい匂いが脳ミソを蕩けさせもする。

「あ、いや、だからそれは……気持ちイイから出る……って、朝っぱらから、こんなコト――」

 頭の片隅ではイケナイ事だと思うも、好きな女性(ひと)に囲まれ性的刺激を受ければ一溜まりもない。
 妙齢の美女が己の勃起を扱き、胸も押し付けているのだから先走り液がジーパンに染み出て当然だろう。

「か、夏穂先生、そんな胸を揺らさないで! 耳に息を吹き掛けないで――って、うひゃぁあっ!?」

 今まで握っていた飛鳥と美優樹の手が離れたと思ったら、すぐにそのまま股間へと伸びて来た。

「夏穂姉さんばっか、ずるいっ!」

「夏穂お姉さん、独り占めはダメよ」

 飛鳥と美優樹が膨らみに手を伸ばし、競うよう上下に擦り始めた。

「あ、こら! お子チャマは触っちゃダメよ。今はウチだけのモノなんだからっ」

「夏穂姉さんは、もう好いでしょ。今度は私達の番!」

「夏穂お姉さんは美優樹達より遥かに歳上なのだから、ここは年少者に場所を譲るべき」

「何、優先席みたいなコト、言ってんの! ――って、誰が『遥かに歳上』よ! ウチはまだピッチピチの女の子だ!」

 それまで独占していた夏穂の手が弾き出されるも、そのまま大人しく引き下がる夏穂では無かった。
 姪二人の手を押し退け、棒状に膨らんだ部分を離さないとばかり強く握っても来る。
 宏の股間には三人の掌、六つが蠢いている状態となった。

「あ、そこダメだって……あひゃひゃひゃっ! 先っぽツンツンしちゃ、らめぇ~」

 指先で弾かれ、掌で撫でられる度に強烈な性電気が全身を駆け巡り、脳ミソを直に揺さ振って来るので思考すらままならない。
 逃げようにも背後に体温の上がった恩師が覆い被さっているし、目の前には究極の美少女二人が立ちはだかっているので、どこにも逃げ道は無い。
 しかもこの淫魔達、いつしか鼻息が荒く、激しくなっている。
 首筋には夏穂の、顔には飛鳥と美優樹の熱い吐息がステレオで降り掛かるのだ。
 どうやら三人して完全に発情状態にあるらしい。
 目の前の姉妹をよくよく見ると小鼻を膨らませ、切れ長の瞳も完全に血走っているではないか。

「あ、あ、あ、そ、そこ、擦っちゃダメだって! そんな強く扱いたら――あぁ!?」

 ジーパンのベルトがいつの間にか外され、チャックも下ろされ『いざ鎌倉!』な段になろうかとした、その時。

「こらこらこら! アンタ等、朝っぱらから発情してんじゃ無いわよっ!」

「痛っ!」

「いやん」

「へ?」

 空気を切り裂くような鋭い声と鈍い打撃音が部屋に響くと同時に、欲情に塗れた淫魔達の動きがピタリと止んだ。
 背中に張り付いていた夏穂は頭を抱えてその場に蹲り、目の前に誰かが割って入ったと思ったら美優樹は残念そうな、飛鳥は我に返ったかのような間の抜けた声をそれぞれ上げて一歩下がった。

「あ、晶姉!」

 淫魔達を止めたのは宏の四歳上の従姉にして妻達を束ねる晶だった。

「夏穂先生! 好い歳してみっともない! 聖職者が性職者に化けてどーする!」

 晶の右手が空手チョップの型になっているので、どうやら恩師への一撃はこれだったらしい。

「飛鳥ちゃんと美優樹ちゃんも、色ボケ女教師相手に律儀に張り合わなくてイイの! 夜になればたっぷりヒロとイチャイチャ出来るんだから今は控えて!」

「ご、ごめんなさい。つい……」

「す、すみません。宏さんの傍にいたら段々昂ぶってしまって……」

 腰に手を当て仁王立ちする筆頭妻に、年少者二人は眉を大きく下げ、しおらしく頭(こうべ)を下げる。

「まぁ、そうなる気持ちは判らなくも無いけど、今は、ね」

 最後はにこやかにウィンクし、ツインテール姉妹をきちんとフォローする晶。
 流石、いち企業を預かる身(部長職であり実質トップなのだ)だけあって、人心掌握に長けた指導だ。
 イエローカードを示された姉妹も、今は安堵の表情を浮かべている。

「ちょっと~、なんでウチだけ鉄拳制裁なのよ~」

 頭を抱えたまま立ち上がった夏穂に、切れ長の瞳を更に眇めた晶の視線が突き刺さる。

「いえ、単に叩き易そうなモノがあったので、つい」

「つい、じゃ無いわよっ! それが元担任にする仕打ち? ウチ、そんな生徒に育てた覚え無いわ」

「育てられた覚え、無いですし。泣き真似したって無駄です。第一、この程度で泣くようなタマですかっ」

「ちぇ~。晶ちゃんの、いけず。ナニよ、昨晩、宏クンにた~っぷり可愛がって貰ったからってさ~。肌艶なんてツルツルじゃない」

「な゛っ!? そ、それとコレとは別問題ですっ!」

 頬を染めるや途端に焦り出す晶。
 どうやら肌艶に関しては自覚があるらしい。
 因みに、夏穂は晶と優が高校二年になった春に新任で教壇に立ち、以降、卒業までの二年間はクラス担任を務めていたのだ。

「まぁまぁ、夏穂先生に晶姉。朝っぱらからバトルは……さ」

 このまま恩師と元生徒の漫才(?)を眺めていたい気もするが、今は止めておく。
 宏は軌道修正してくれた従姉に感謝の視線を向け、次に満面の笑みで観覧していた面々に向き直る。

「さて。みんな見た通り、窓の外は大吹雪で太陽は遥か上空にお出掛け。故に今日の屋外アトラクションは全て取り止めになってるんだ。そこで」

 宏は宿泊しているリゾートホテルの日本語版パンフレットをおもむろに掲げ、一同を見渡し言い切った。

「今日は屋内にある温泉プールで一日を過ごそうか♪」


     ☆     ☆     ☆


「――とは言ったものの」

 宏は妻十人を従え、意気揚々と温泉プールに足を向けた――のだが。

「宏ちゃん~。これはいくら何でも、ちょっと、だよ~」

「宏? この状態じゃ流石に楽しめそう……も無い……わね」

 ビーチボールを抱えた若菜が申し訳無さそうに眉を顰め、浮き輪を手にした千恵も視線を逸らしつつ言葉を濁す。

「あ~、うん。まぁ、あの天気なら必然的にこうなる……わなー」

「夏穂ちゃん。宏さんを悪く言うのは赦しませんよ?」

 頭をボリボリ掻いて苦笑いする夏穂に、眉を吊り上げた多恵子が窘める。

「「「「「……………………」」」」」

 優、真奈美、ほのか、飛鳥、美優樹も目を見開いたり目が点になっていたりして固まっている。

「みんな、ゴメン。俺の考えが浅はかだったかも」

 意気消沈していると、唯一まともな(?)晶の声が宏の意識を半ば呼び覚ました。

「ヒロ、どうする? このままプールに入る? それとも撤退して部屋でゲームでもする? トランプとか各種ボードゲームにDVDソフトはフロントで貸し出してるし」

「へ? あ……うん、そうだね」

 ずっと唖然としていた宏は、肩に置かれた晶の手で完全に我に返った。
 目の前には『千人入れる広い温泉プール』の謳い文句そのままに、ただ広いプールがあるのだが……。

「まるで、ひと昔前の湘南の海みたく芋洗い状態だな」

 屋外に出られない――ホテルに缶詰になったお客の殆どがこの温泉プールに集まっているかのような有様なのだ。
 プールサイドに所狭しと並べられたデッキチェアには水着を着た人達で全て埋まり、縦横百メートルは優に超えるプールには水面を見つけたら奇跡な位に人々が密集し漂っている。
 そう、手脚を伸ばして泳ぐ隙間すら無い程の混みようだったのだ。

「あ、そうか! 思い出した」

 どこか見覚えのある光景に宏はパチンと手を打ち、両手を腰に当て仁王立ちして声高に曰(のたま)った。

「あ~はっはっは! まるで人がゴミのよう――って、痛いって!」

「ナニ、バカなコト言ってんのよっ! クレーム来たらどーするっ!」

 頭をド突かれ涙目で抗議するも、晶が猛然と噛み付いて来た。

「お、オマエ等……」

 しかも、何故か顔を手で覆いガックリとうな垂れるほのかの姿が隣にも。

「ほのかさん? どーしたの? 悲愴な顔して」

「宏……自覚無いならイイや。晶も律儀に突っ込むよなぁ。流石、ツーカーの仲だけあるわ」

「へへ~ん。羨ましいだろ~」

「……………………」

 自慢気に胸を張る晶に、眉を下げ、やれやれと言った表情で首を振る金髪碧眼ハーフ美女だった。

「ま、それはともかく」

「あ、無理矢理話を変えた」

「都合悪くなると強引に変えるんです」

 ニヤケた顔の夏穂と瞳を眇めた千恵の突っ込みを無視(スルー)し、表情を戻した晶がこちらに向き直る。

「外がダメなら中で、って、みんな考える事は同じね」

 諦めとも苦笑いとも取れる表情で肩を竦める晶。
 その瞳は「これからどうする?」と暗に語っているのが判った。

「確かにそうだけど、ここまで混むかなぁ? 遊び場ならカジノとかビリヤードとかダーツとかもあるのに……」

 宏はホテルの収容人員は何人だっけ、プールには何人入れるんだっけ、などと記憶を探るも、考えるだけ無駄なのですぐに諦めた。

「仕方無い。みんな、プールは諦めようか。せっかく水着に着替えたのに残念だけど、これじゃ心底楽しめないもんね。部屋に戻って着替えたら他に遊べる施設を探してみようか。他は空いてるかもしれないし」

 宏はみんなに顔を向け、ここからの撤退と今後のプランを提案する。
 すると。

「そうだな。この混みようじゃ逆に気を遣って疲れちまうからな。だったら――」

 ニヤリと笑うほのかに、他の奥方達が瞬時に同じような反応を示した(目を光らせたに近い)。
 それはまるで視線による伝言ゲームのようで。

「ほのかさん? みんなも、なして頷き合ってニヤニヤしてるの? 若姉、なして涎を啜ってるっ!? 夏穂先生、目が血走ってますっ!」

 漂い始めた不穏な空気に宏の腰が少し(かなり)、退ける。
 背中に冷や汗を垂らしていると、如何にも悪巧み考え付きました、と顔に堂々と書いてある恩師が薄ら笑いを浮かべ一歩前に出た。

「まぁまぁ、そうと決まったら、さっさと撤収よ! みんな、我に続け~!」

「「「「「「「「「お――っ」」」」」」」」」

 プールの入り口で気勢を上げる女教師と美女九人。

「へ? え!? えぇっ!? ま、まさか――んぐぅっ!?」

 呆気に取られたまま宏は夏穂と若菜に両腕を掴まれ、しかも頬を紅(あか)く染めた優に猿轡をされ(匂いから優本人のショーツだと判った)、そのまま引き摺られるようにして部屋に戻された――。


     ☆     ☆     ☆


 その後、昼食と夕食を挟んで明朝までの二十時間余りは宏(男)にとって最高の酒池肉林状態となったのだが、ご当主たる宏自身にその記憶は無いと云う――。


                                            (つづく)

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