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 ライトHノベルの部屋  ライトHノベルの部屋  ライトHノベルの部屋
     ~ラブラブハーレムの世界へようこそ♪~


恋文(4) 恋文(4) 美姉妹といっしょ♪~新婚編
 
(ふぅ。今日は何だか調子が悪いわね。冬晴れの爽快な朝のはずだのに、気分が全く盛り上がりませんわ)

 朝食の片付けをしている多恵子(御年三十八歳)は、自身の違和感に戸惑っていた。
 長い黒髪をアップに纏め、七分袖のワンピースに白の割烹着を纏ったいつもの家事スタイルなのだが、普段よりも足取りが重く、動きに精彩を欠いているのが自分でも判るのだ。
 台所やリビングの大窓から見える、どこまでも吸い込まれそうな蒼空とは雲泥の差だとも思う。

(いつもなら目覚ましが鳴るより前にスッキリと目が醒めるのに、今朝は無粋なアラームで起こされましたし……少し寝不足気味かしら? 頭も重いですし)

 頭の芯に鉛が詰まり、鼓動に合わせて脳ミソが木槌で叩かれている感じなのだ。

(昨夜は宏さんにたっぷりと可愛がって貰いましたから、その分、睡眠時間が削られた所為でしょうか。しかも、胎内(なか)がまだ熱く火照った感じもしますし♥)

 昨夜の睦事は平日の朝を控えているにも係わらず普段より激しく求め合ってしまい二時間は寝足りませんわね、六歳下の夏穂ちゃんと張り合って年甲斐も無くハッスルするのは程々にしないと、などと洗い終わった人数分の茶碗を、それでも丁寧に拭きつつボンヤリ考えていると。

「多恵子さん? 今朝はいつもよか顔色が好くないようですが、大丈夫ですか? 溜息吐(つ)いて何だかしんどそうだし、動くのも辛そうですが?」

「……体調不良は時場所状況を選ばず誰にでも起こるが、無理は禁物。片付けや洗濯物、掃除に買い出しはボク達で出来るから今日は休むと好い」

 憂いた声に反射的に顔を上げると、眉根を寄せた美顔が二つ、揃ってこちらを向いていた。
 真奈美と優だ。

「へ? あ、いえいえ、大丈夫ですわ。少し考え事をしていたものですから、つい、顔が強張ってしまいました。お気遣いありがとうございます」

 多恵子はニコリと微笑み、小さく頭(こうべ)を下げる。
 皿を仕舞う手をわざわざ止め、心配してくれる心が嬉しい。

「にゃぁ~」

 そして足下から聞こえる啼き声の主、三毛(みけ)が身体を擦り付け、つぶらな瞳で見上げてもいた。
 三毛は真奈美が縁あって助けた仔猫で、今やこの屋敷を根城にしている雌の三毛猫だ。
 ピンクの小鼻と三角にピンと立った大きな耳、そして水晶のような澄んだ瞳と小さな顔――そんな三毛は、今や屋敷の全員から寵愛を受けている現役バリバリのアイドルなのだ。

「三毛もありがとう♪」

 多恵子は膝を折ると仔猫の頭を優しく撫で、柔らかな顎の下も指先で何度も撫で擦る。
 すると仔猫は喉をゴロゴロと鳴らし、瞳を細めて満足そうな笑み(?)を浮かべては膝に顔を擦り付けて来た。

(三毛もそうだけど、真奈美さんは宏さん達が仰る通り、いかにも人を和ませてくれる雰囲気を持っていますわね。真奈美さんの、優しい笑顔を見るだけで頭痛が和らぎ気分も落ち着きますわ)

 二十五歳の真奈美は身長百六十五センチ、背中の中程まで真っ直ぐ伸ばした黒髪と少し垂れ目がちな瞳が愛らしい癒し系美女だ。
 お屋敷では専ら家事に専念し、主婦組の中核として千恵や若菜をサポートする頑張り屋さんでもある。
 纏うピンクのトレーナーを大きく押し上げ、ゆっさゆっさと揺れる二つの膨らみ(お屋敷最大の八十六センチのDカップだ)とスリムジーンズ姿が相まって、如何にも若妻な雰囲気が微笑ましい。

(優さんも、わたくしがこちらに来た頃から少しも変わらず親身になってくれていますわ)

 二十六歳の優は筆頭妻の晶の双子の妹で、身長は真奈美と同じ百六十五センチ、ボディラインは見るからに細く、シャギーにしたショートヘアのお陰でともするとクールで華奢な美少年に見えなくも無いが、胸の慎ましやかな膨らみ(七十七センチのCカップだ)が立派な女性だと主張しているスレンダー美女だ。
 お屋敷では株やFX等で資産を増やし、利益の分配や生活費の管理を宏から一任された財政担当大臣でもある。
 今日も薄蒼のチュニックにホットパンツ姿と真冬とは思えない格好をしているが、家事をする為にはかような軽装が動き易く都合が好いとの由。
 それに、お屋敷の南面の窓は床から天井までの大窓が多く、廊下にも暖房が効いているので薄着でも大丈夫なのだとか。

(みなさん、本当に好い女性(ひと)達ですわ。流石、宏さん。女性を見る目は確かですわ♥)

 愛する男性(ひと)を想い浮かべつつ立ち上がると、新たな澄んだ声が掛かった。

「多恵子さん~、昨日は宏ちゃんとハッスルしたから寝不足なんじゃない~?」

「オマエはセクハラオヤジかっ! 多恵子さん、コイツの戯れ言は無視して構いませんから。でも、辛いようなら優さんの言う通り、休んでて下さい」

「え~! 姉さんのいけずぅ! ジョークじゃ無いよぅ~」

 若菜と千恵の美姉妹(しまい)も、拭き終わった皿を仕舞いつつ笑顔を交えながら気遣ってくれる。

(若菜さんは常にポジティブで、こちらも釣られて笑ってしまうような素晴らしい笑顔ですわ)

 若菜はお屋敷の総料理長を務め、宏の幼馴染にして二十四歳の美女だ。
 今朝は紫のセーターと黒のスキニーを纏い、その上に薄緑のエプロンを着けているので真奈美同様、新妻の匂いがプンプンと漂っている。
 濡れ羽色の髪は腰まで真っ直ぐ届き、細く長い眉と切れ長の澄んだ瞳、七十八センチのCカップと百七十五センチの長身は海外での一流ファッションモデルと同等以上のスペックを有している。
 しかも、高校時代は薙刀でインターハイ上位に食い込んだ実力を持つ大和撫子でもある。

(千恵さんは噂に違(たが)わず誰にでも面倒見が宜しいのですね。わたくしにも好くして下さってありがたいですわ)

 千恵は若菜の双子の姉にして身長百五十センチと、お屋敷最小の自分より二センチ高い女性(ひと)だ。
 黒のトレーナーに濃紺のデニムのミニスカートを穿いているので、豊かに大きく揺れる胸と日に焼けていない白くムッチリとした太腿から脛のラインは同性から見ても妙に艶めかしい。
 蒼味掛かった黒髪をリボンでポニーテールに纏め、長い手脚に大きな瞳、そして上から八十四(Dカップだ)、五十八、八十三と小柄ながら均整の取れたナイスボディを誇る美女でもある。
 お屋敷では副料理長を務め、生活環境維持にも気を配ってくれる頼もしき女性でもあった。

(わたくし、皆さんに想われて幸せですわ)

 単なる言葉のやり取りに過ぎないが、みんなから向けられる温かな心と澄んだ瞳が沈んだ気分を遥か高みへと持ち上げてくれる。

「みなさん、ありがとうございます。でも大丈夫ですわ。若菜さんの仰る通り、昨夜は少々、ハメを外し過ぎたようですし……おほほ♥」

(若菜さんだって宏さんと激しく求め合ってましたのに……わたくしと違い、疲れ知らずで羨ましいですわ)

 頬を僅かに紅(あか)く染め、小さく笑う多恵子。
 その脳裏には昨夜の自分の痴態――騎乗位で激しく腰を使ってしまった――が鮮明に浮かび上がっていた。
 大量の精を受けて満足気な若菜に強く勧められるまま夫(宏)に跨り、愛情と欲情に酔いしれる余り熱い精を何度も貪って(搾り取って?)しまったのだ。

「まぁ、多恵子さんがそう言うなら強くは言いませんが……ホントにしんどかったら言って下さいね。あたい達だけでも残りの家事、充分こなせますから」

 千恵の、腰まで届くポニーテールが小刻みに揺れている。
 真っ直ぐに見つめて来る真摯な眼差しと相まって、どうやら本気で心配してくれているようだ。

「千恵さん、お心遣いありがとうございます。皆様のお心ですっかり気分爽快になりましたわ。それでは、わたくしは洗濯物を干して参りますわね。おほほほほ♪」

 四人に小さく会釈し、脱衣所から洗濯物の入った籠二つを抱えた多恵子は二階の空き区画(スペース)――部屋に向かう。
 ここは飛鳥と美優樹が使っている部屋と宏の部屋に挟まれた四十畳弱の広さを持ち、今は主に大量の洗濯物を干す為に使っている多目的な空間だ。

「~♪」

 鼻歌ひとつ、多恵子は梁に張られたロープに自分のショーツと宏のパンツを並べて干すのだった――。


     ☆     ☆     ☆


「多恵子さん、ホントに大丈夫なのかなー? 何だか無理してるように感じるのはあたいの気の所為……だと好いんだけど」

 脱衣所に向かう割烹着を見送った千恵は、ダイニングテーブルを布巾で拭きつつ僅かに眉を寄せ、小さく首を傾げた。
 そんな独り言を聞き取ったのか、妹の若菜がすぐに応えた。

「う~ん。今は何とも言えないな~。見た感じはいつも通りだし~、ホントに寝不足が原因かもしれないしね~。それに~、内情に関しては外野があれこれ言っても仕方無いと思うよ~」

「へっ!? あ、あぁ、それは……そうだけどさ」

 普段のオチャラケ振りを忘れたかのような至極ごもっともなお言葉に、千恵は思わず手を止め、妹の顔を繁々と見つめてしまった。
 視界の隅では優と真奈美も手と足を止め、目を丸くして妹を見つめている。
 そんな三人の態度が気に食わなかったのか、若菜が眉を逆立て、頬を風船の様に膨らませた。

「なによぅ~。私が珍しい事言ってる~、とかみんなして思ってるでしょ~」

「あ、いや、そうだけどさ」

 想像外の事態に、つい、素で返してしまった。
 優と真奈美も、ププッ、と小さく噴き出している。
 どうやら三人して同じ感想を抱いていたようだ。

「む~、みんなして非道いよ~。私を何だと思ってたのよ~」

「脳天気なエロ娘」

 これは考えるまでも無い事なので、速攻で応えてやる。
 すると真奈美と優は堪えきれ無くなったかのように声を立てて笑い始めた。

「うふふふふふっ! 流石、双子のお姉さんだけあってすぐに判るのね」

「……ププッ! あははははっ! 千恵さん、ピンポイント過ぎ」

 真奈美は目尻を下げて口に両手を当て、優は両手を腹に当てて臆する事無く相好を崩している。

「ね、姉さんのいけず~! 私、そんなおバカな娘(こ)じゃ無いよ~っ!」

 地団駄踏んで長い髪を振り乱す若菜に、台所は真奈美と優の大きな笑い声で満たされた。

「まぁ、お遊びはこれ位にして話を戻すわね。多恵子さん、ああ言ってるけど、ホントに放って置いて大丈夫かな? あたいが見る限り、年末年始の旅行の疲れが今になって出てるんじゃ無いかな、って思うの。あたいもそうだけど、時差ボケが今も多少、残ってるかもしれないし」

 声を控え、少し眉間に皺を寄せつつ心当たりを披露すると、真奈美と優、若菜が自然と集まって来た。

「千恵ちゃんの推理は間違いとは言い切れ無いかも。でも、若菜ちゃんの言う通り、多恵子さんの体調は本人しか判らないから、私達は強くは言えないのも確かだし」

「……若菜さんや千恵さん、真奈美の言う事はそれぞれ一理ある。しかし、だからと言って丸っきり本人任せも好くない。多恵子さんは自分を押し殺して人の為に無理するタイプ。当面は多恵子さんに負担を掛けないよう、ボク達でさり気無くフォローするのが好い。体調不良の原因を突き止め解消させるのは、それからでも遅くは無い」

 お屋敷では最も冷静な分析力と判断力を備えている優が腕を組みながら今後の方針を示してくれる。
 真奈美も真剣な顔付きで何度も頷いているのを見ると、異論は無いらしい。

「優さんの言う通りね。今まで多恵子さんの家事万能振りにあたい達、無意識におんぶに抱っこ、し過ぎてた点が多々あったかも。これからは率先して家事をこなすようにしようか」

「……ボクも、出来うる限り協力する。特に力仕事は……真奈美に任せる」

「うん! 私も頑張る――って、優先輩!?」

 拳に力を入れ、力説する千恵に大きく頷き賛同する優と最後は絶句する真奈美。
 三人共、瞳に光を宿してヤル気、満々だ。
 しかし、何事にも例外があるように、ここにも約一名、話が通じない相手が存在する訳で……。

「おんぶに抱っこしてた――って、それって姉さんの事じゃない~?」

「は? ナニを言っとるんじゃ、オマエは?」

 何をとんちんかんな事を言ってるのだ? 今は多恵子さんの事だろ! と思いっ切り片眉を顰め、妹を咎めようとした矢先。

「だって昨晩~、優姉さんをバックで突いてる宏ちゃんの背中にコアラの如くしがみついてビンビンに尖った乳首と濡れ濡れグチョグチョのパイパンおまんこ擦り付けてたのは姉さんじゃない~。しかもその後すぐに両手両脚絡めての対面座位でディープキスしながら連続アクメを極めてその度に鯨みたく潮をプシュプシュ盛大に吹いて最後は失神脱力してベッドを黄金水塗れにしたのは姉さん自身――」

 若菜の強烈な攻撃が千恵を直撃した! 千恵のHPが激減した! MPがゼロになった! ――。

 ――のかは、ともかく。

「だ――――――――っ!! ななななななナニを言っとるんじゃ、オノレはっ!? い、いいいい言うに事欠いてなんつー事、言いやがるかなっ!?」

 若菜(妹)からの身も蓋も無い暴露(?)に、頭に一気に血が昇る千恵。
 呂律も怪しく、視線もあちこち彷徨ってしまう。
 それでも。

「きゃいんっ! 痛った~い! 何すんのよ~、姉さんのいけず~! 横暴~! 暴力反対~!」

「お、オマエが変なコト言うからだろ! こ、こんな真っ昼間っから、ナニ、言いやがるかなっ」

 飛び上がってド突いたまでは好かったが、石頭の所為でこちらの拳もジンジン痺れてしまった。
 それでも、こちらの被害(傷口?)が拡大する前に諸悪の元凶は一刀両断するに限る。
 でないと、自分の存在価値(アイデンティティ)が失われてしまうではないか。
 そんな鼻息荒く血走った瞳を吊り上げ、怒り心頭の余り紅潮している千恵だが、若菜は全く臆する事は無い。
 むしろ、堂々と(?)対抗して来る訳で……。

「ナニって、姉さんの、充実した性生活?」

「何でそこで疑問形になるっ!? あたいと宏のエッチは人並み以上に充実しとるわっ! ……ハッ!?」

 ここで己の発言内容と周囲の視線に気付く千恵。
 油の切れたロボットの如く、ギギギとゆっくり首を巡らせるとそこには……。

「千恵ちゃん、宏君とエッチする時は燃えまくるものね♪ いつ見ても私、濡れ濡れになっちゃうもの♪ 昨晩は特に『萌え』ちゃったみたいね♥ まさに、『充実したエッチ』、そのものね~♪」

 癒し系美女と謳われて久しい真奈美の、温かくも濡れた瞳。
 昨夜は同衾しなかったので、きっと脳内では濃厚なエッチシーンを思い描いている事だろう。

「……千恵さん、小柄な体格を活かした体位で交わり、連続して絶頂(オルガズム)迎えて幸せそうに失神してた。ボクも、たまにはあんな風に乱れてみたい……かも♪」

 昨夜の目撃者、優は胸を両手で押さえつつ目元を赤らめ、内腿をモジモジと擦り合わせていた。
 更に。

「千恵さんは宏さんとの睦事になると、途端に甘えん坊さんになりますものね。わたくしには年齢的に無理ですから羨ましい限りですわ。おほほ♪」

 いつの間に戻ったのか、リビングと廊下の境目に掛かる暖簾の所で空になった洗濯籠を下げた多恵子のニコ目がまっすぐ千恵を捉えていた。
 その澄み切った瞳は何処までも見透かしていそうで……。

「!!」

 六つの瞳を一身に浴び、脈拍は急上昇し顔の火照りも尋常では無い程に――炎が噴き出ているのかと思う程に熱くなるのが判る。
 何か喋ろうものなら、口から心臓が飛び出る事、間違い無いだろう。

「姉さん~。何だかんだ言いつつも宏ちゃんとのエッチが人並み以上に充実し満足してるって自覚、あるんだね~♪ う~ん、ラブラブ濃厚エッチって素敵だね~♥」

「――――――――っ!!」

 妹の冷やかす声を背後に、声にならない叫びを上げ全身を震わせ脱兎の如く自室へ逃げ込む千恵だった――。


                                            (つづく)

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