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ほのかと真奈美(2)
ほのかと真奈美(2)
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美姉妹といっしょ♡
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「……宏ぃ」
「宏君……」
宏と千恵、優の発する気に当てられたほのかと真奈美は身体を火照らせ、無意識に宏の名を呟く。 二人の穿いているショーツは大量の蜜を吸い、隠すべき淡い翳りやその下に続く深い一本の縦筋をクッキリと浮かび上がらせ、肌に張り付いている。 そんな二人に晶と若菜が背後に近寄るとそれぞれの両肩に手を置き、耳元でそっと囁いた。
「今度は貴女達の番よ♪ ヒロにお願いして御覧なさい。必ず応えてくれるわ♪」
「大丈夫♪ 宏ちゃん、優しくしてくれるよ~♪」
二人は一瞬嬉しそうに破顔したものの、ほのかは表情を曇らせると顔を伏せてしまう。
(今度は……オレの番。オレは……オレでは……)
ほのかは急に気後れしてしまう。 二十五年間、誰一人として肉体を交えなかったほのかは、千恵や優の様に宏を悦ばせる自信が無かったのだ。 普段は何事にでも楽天的なほのかでも、流石にセックスは未経験とあって二の足を踏んでしまう。 そんなほのかの葛藤が顔に出ていたのだろう、千恵がほのかの右手をそっと握ってアドバイスする。
「ほのかさん。宏を信じて心と身体を全て任せるの。そして、宏と触れ合える喜びだけを考えるの♪」
(宏を信じて……触れ合える喜び……夢にまで見た宏との……)
年下だけど妻として先輩である千恵の微笑みに、手から伝わる温かい温もりに、ほのかの揺らいだ心が決まる。
(ど、どうしよう。……か、身体が……動かないっ)
真奈美も心は宏を求めてはいるものの、いざ本番となると身体が強張って言う事を聞かない。 二十三年間守り続けた処女を捧げる時が来た事は頭では判っても、破瓜の痛みに身体が固まり、宏に対して何も出来無くなるであろう自分を恐れたのだ。
(こ、このままじゃ……宏君に嫌われちゃうっ!)
落ち着き無く視線を泳がせる真奈美に若菜が心情を察し、ニコリと微笑んで助け舟を出す。
「あのね、宏ちゃんが与えてくれる痛みは生涯でたった一度だけ。だけどその痛みは私達の幸せな時間が始まる合図でもあるんだよ~。だからその痛みを喜ばなきゃ勿体無いよ~♪」
「最初から全てをこなす女性(ひと)なんていないわ。それに、ヒロは貴女も選び、あたし達も認めた女よ。自信を持ちなさい。だから今はヒロと一つになる事だけを考えていればいいのよ♪」
若菜の励ましに晶が続き、不安気な真奈美に向かって微笑むと安心させる様に大きく頷く。 真奈美は二人の言葉を何度も口の中で反芻していると、いつの間に身体の強張りが解けている事に気付く。 上手く振舞おうとしていた余分な力が抜け、自然体でいられる様になったのだ。
(宏君と……ひとつに……♥)
宏と見つめあいながらの合体をイメージした真奈美は首から上を真っ赤に染め、上目遣いに想い続けたたった一人の男へと視線を送る。 鼓動はどんどん早まり、今にも口から飛び出て来そうになる。 ほのかの潤んだ瞳も愛する一人の男に向けられ、同時に宏の優しい瞳が二人を捉えると、ほのかも真奈美も身体が独りでに動き、宏の正面で横座りの格好になる。
「……宏ぃ♥ オレの唇、宏に捧げるよ♥」
小さく頷いた宏とほのかの顔が次第に近付き、胸の高まりで他の音が聞こえないまま、ほのかは瞳をそっと瞑る。
「ん……♥」
柔らかく、暖かい宏の唇がほのかの薄く引き締まった唇と重なった瞬間、ほのかの心が一瞬で蕩けてゆく。 二十五年間守り続けたファーストキスが宏に渡ってゆく感覚に涙腺が緩み、一滴の真珠が零れ落ちる。
(……宏……宏ぃ♥)
宏は優しく親指で拭い、もう一度、今度はほのかの唇を割って舌を挿れる。 ほのかは一瞬驚いて切れ長の瞳を開いたものの、すぐに目を閉じ、おずおずと舌で応える。 暖かい舌が絡み合い、ほのかの四年間想い続けた尊い想いが舌を通じて宏に流れてゆく。
(ほのかさん、愛してるよ♥)
(宏~♥)
宏の熱い想いを、ほのかは次第に慣れて来た舌の動きから感じ取り、目元を紅く染め上げる。 愛する者とのキスがこんなにも気持ち好く、幸せに感じるとは思わなかったのだ。
「次は真奈美さんだよ♥」
暫く舌を絡め合った宏はそっと顔を離し、真奈美を目線で呼ぶ。 真奈美は瞳を潤ませ、ゆっくりと宏の手を握る。 指を絡め合い、強く握るとそっと顎を上に向ける。
(あっ……宏君の顔がこんな近くにっ……は、恥ずかしいっ! ……けど、嬉しい♥)
二十四年間、大切に取っておいたファーストキスを愛する宏に捧げられる嬉しさに涙が浮かぶ。 四年前に出逢ってからずっと夢見て来た瞬間に、今まさに到達したのだ。
(あぁ……宏君♥ 宏君♥)
唇が重なった瞬間、愛する人の温もりと息遣いを感じた真奈美は頭の中が真っ白になり、何も考えられなくなった。 身体は芯から熱く火照り、今にも身体中から恋の灼熱の炎が吹き出しそうになる。
「ほのかさん♥ 真奈美さん♥」
宏は両手で二人を抱き締め、右頬にほのか、左頬に真奈美の頬を密着させ、囁いた。
「俺、出逢った時から二人の事が好きだった。まだまだ若輩だけど、俺の嫁さんになってくれて本当にありがとう♥ 一生大切にするよ♥ これからはずっと俺の傍にいて欲しい」
「「……うん、うんっ!!」」
宏の言葉を漏らさず聞いた二人は大きく頷き、歓喜の涙を惜し気も無く流す。 ほのかにとって、宏は日本に来てから初めて自分を一人の女性として扱ってくれた男性(ひと)だった。 それまではハーフという好奇の目でしか見られなかった自分が、宏だけが「ほのか」として見てくれた。 四年前に出逢ったその日から、ほのかの心の中心には常に宏がいたのだ。 その宏が自分を欲し、必要と言ってくれている。
「宏ぃ♥ う……嬉しい……」
ほのかの言葉は涙と一緒に流れてしまう。 普段は豪快なほのかだが、今は恋が成就した一人の繊細な乙女なのだ。 宏はほのかを抱く腕に力を篭める。
「ほのかさん♥」
ほのかが流した真珠は宏の頬を伝い、シーツに淡く拡がってゆく。 一方、真奈美にとって、宏は正に白馬に乗った王子様だった。 四年前、困り果てて泣いていた所を助けてくれた唯一の人。 そして何事も無かったかの様に去って行った後姿に、真奈美の心も連れ去られたのだ。 以来、再会するまでの半年間、真奈美の心はいつも宏を追っていた。 再会後は更に心の中に占める宏の割合が増え、大学で優や千恵から宏の話を聞く度に鼓動が早まり、顔が火照る毎日だった。 そんな宏の温もりが、抱かれる力強さが真奈美を更に泣かせてしまう。
「……う、嬉しい♥ 宏君……大好き♥」
「真奈美さん♥」
真奈美が流した温かい泉は宏の頬を伝い、二人の繋いだ手の上に滴り、弾けて光に変わる。 宏は両腕に力を篭め、力一杯二人を抱き締めた。
「宏ぃ♥」
「宏君♥」
夢にまで見た宏との抱擁に、二人はこのまま時が永遠に止まれば好いと本気で願った。
(つづく)
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